組織病理学

組織病理学 · H1-064

全身性強皮症の皮膚病変

Scleroderma (HE) - SKIN

描出疾患
全身性強皮症

🧠 全体像:(systemic sclerosis)は、免疫異常、、線維芽細胞活性化を介して皮膚と内臓に線維化を起こす自己免疫疾患である。皮膚では、真皮の緻密化、付属器萎縮、小血管をみる。

病態の連鎖

flowchart TD
    A["免疫異常・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genetic predisposition'>遺伝的素因</span>"] --> B["内皮細胞傷害と微小血管機能障害"]
    B --> C["血管内膜増殖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luminal narrowing'>内腔狭窄</span>"]
    A --> D["サイトカインによる線維芽細胞活性化"]
    D --> E["過剰な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular matrix'>細胞外基質</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collagen fiber'>膠原線維</span>沈着"]
    C --> F["虚血性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue injury'>組織傷害</span>"]
    E --> G["皮膚・肺・消化管・腎・心の線維化"]
    F --> G

HE標本の所見

部位 所見
表皮 萎縮との平坦化
真皮 太く緻密でした
毛包・汗腺の萎縮、による置換
小動脈・細動脈 内膜増殖と壁肥厚、。は保たれうる
炎症 初期には血管周囲リンパ球・形質細胞がみられうる

💡 触診の皮膚スコアは組織の変化を映している。 皮膚硬化の量的評価にはmodified Rodnan skin score(mRSS)を用い、17部位の皮膚の厚さを触診で採点して合算する(満点51点)1。141例の前腕との対比では、総スコアがの湿重量(r=0.553)・乾燥重量(r=0.517)と相関した。湿重量/乾燥重量比はとで同じ30.7%で、湿重量だけがで大きい(17.75 g対13.03 g)2。ただし部位差は大きく、を捉えやすいのは胸部・前腕・手で、下肢・顔・腹部・手指は効果量が小さい1。

線維化は血管の「破裂」に対する単純な瘢痕ではない。持続すると免疫シグナルが線維芽細胞を活性化し、過剰な基質産生を引き起こす。

が保たれたのは、のような血管壁破壊よりもを支持する。病変の本体はと慢性虚血であり、血管破裂を線維化の起点とはしない。

全身病変

臓器 代表的病変
肺 、
消化管 低下、平滑筋萎縮・線維化
腎 腎クリーゼで小動脈内膜増殖・
心 、不整脈、心膜病変

💡 分類基準に皮膚生検は入っていない。 2013年のでは、より近位に及ぶ手指の皮膚硬化があればそれだけでに分類でき、無ければ手指の皮膚硬化、部病変、、、または、Raynaud現象、強皮症関連自己抗体の7項目を重みづけて加算する。検証集団での感度0.91・特異度0.92は、1980年ACR基準の0.75・0.72を上回った3。組織像は病態の理解と他疾患の除外に効くが、分類基準の項目そのものではない。

まとめ

  • はと線維芽細胞活性化を中心とする。
  • 、真皮増加、付属器萎縮、血管を確認する。
  • 皮膚だけでなく肺、消化管、腎、心の病変を一つのとして理解する。

出典

  1. 1.Sensitivity to change of the modified Rodnan skin score in diffuse systemic sclerosis--assessment of individual body sites in two large randomized controlled trials(Rheumatology (Oxford)・2009)modified Rodnan skin score(mRSS)は全身性強皮症の皮膚病変の標準的評価尺度で、17部位の皮膚の厚さを合算して算出する(満点51点)。2つのランダム化比較試験の解析では、総mRSSの効果量は0.85〜0.98と大きく、胸部・前腕・手は0.50〜0.74と中等度、下肢・顔・腹部・手指は0.16〜0.49と小さく、部位により経時変化の検出力が異なる閲覧 2026-08-24
  2. 2.The modified Rodnan skin score is an accurate reflection of skin biopsy thickness in systemic sclerosis(The Journal of Rheumatology・1998)全身性強皮症141例の前腕背側から4mmパンチ生検を採り、17部位を0〜4+で採点した皮膚スコアと対比した。総皮膚スコアは生検組織の湿重量(r=0.553)・乾燥重量(r=0.517)と相関し、生検部である前腕の局所スコアも同様に相関した(それぞれr=0.536、0.530)。湿重量に対する乾燥重量の割合はびまん皮膚硬化型と限局皮膚硬化型で同じ30.7%だったが、湿重量はびまん型で大きかった(17.75 g対13.03 g、p<0.001)。触診による皮膚スコアは全身性強皮症の基礎にある病理を反映している閲覧 2026-08-24
  3. 3.2013 classification criteria for systemic sclerosis: an American College of Rheumatology/European League against Rheumatism collaborative initiative(Arthritis & Rheumatism・2013)1980年のACR分類基準は早期例と限局皮膚硬化型に対する感度が不十分だったため、ACRとEULARの合同委員会が新基準を作成した。中手指節関節より近位に及ぶ手指の皮膚硬化があれば、それだけで全身性強皮症と分類してよい。無い場合は、手指の皮膚硬化、指尖部病変、毛細血管拡張、爪郭毛細血管異常、間質性肺疾患または肺動脈性肺高血圧、Raynaud現象、強皮症関連自己抗体という7項目を重みづけて加算する。検証集団での感度は0.91、特異度は0.92で、1980年ACR基準の0.75、0.72を上回った閲覧 2026-08-24