組織病理学

組織病理学 · H2-007A

反応性濾胞過形成

Follicularis hyperplasia (HE)

疾患
濾胞性リンパ腫

🧠 全体像:は、感染や炎症に対するB細胞性である。大きさ・形の異なる二次濾胞、明、明瞭な、多数のを確認する。

胚中心反応

flowchart TD
    A["抗原刺激"] --> B["B細胞が濾胞へ移動"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='germinal center'>胚中心</span>形成"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Centroblasts'>中心芽細胞</span>の増殖"]
    D --> E["体細胞超変異・選択"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Centrocytes'>中心細胞</span>"]
    F --> G["形質細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='memory B cell'>記憶B細胞</span>"]
    E --> H["選択されない細胞はアポトーシス"]
    H --> I["核<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fragmentation'>破砕</span>物貪食マクロファージが貪食"]

HE標本

所見 意味
の二次濾胞 反応性分布
大型で核小体が目立つ増殖B細胞
小型〜中型で切れ込み核をもつB細胞
核物貪食マクロファージ を含む淡明なマクロファージ
を取り囲む小型B細胞
T細胞領域
門・被膜 血管・リンパ管の出入口と

濾胞性リンパ腫との比較

リンパ腫
濾胞のと極性 均一で密な濾胞
核物貪食マクロファージが多い 少ないことが多い
が保たれる 不明瞭になりやすい
BCL2は通常陰性 多くでBCL2異常発現1

⚠️ BCL-2染色は「どこが陰性か」を見る染色である。 反応性リンパ組織ではBcl-2陽性は広範に分布する——、のT細胞領域、そして内に散在する陽性細胞(内T細胞など)はいずれも陽性になる。明確に陰性なのはの大多数だけであり、この陰性パターンは強い(florid)過形成でも崩れない。やT細胞の陽性をの陽性と読み違えると、反応性を腫瘍とする1。

💡 形態が紛らわしいときは分子へ移る。 の大半は形態だけで診断できるが、一部はと紛れる。その場合はbcl-2染色の評価に加え、性やt(14;18)の分子学的証明を当てる2。

⚠️ 反応性の背景に腫瘍性濾胞が混じることがある。 リンパ節の大部分がBcl-2陰性のでありながら、一部のだけがBcl-2強陽性のを含む症例が報告されている。マイクロダイセクションで調べると、Bcl-2陽性濾胞は5例中4例が単クローン性、同一リンパ節のBcl-2陰性はだった。経過観察できた13例のうち3例が後にを発症している3。この現象は第5版でin situ follicular B-cell neoplasm(ISFN、第4版改訂のin situ follicular neoplasiaから改称)として扱われる4。「濾胞が均一に陰性か」を全体で確認するという読み方になる。

まとめ

  • は抗原刺激に対する良性B細胞反応である。
  • 濾胞の極性、、核物貪食マクロファージを読む。
  • との鑑別には構築とを統合する。

出典

  1. 1.Bcl-2 oncoprotein is widespread in lymphoid tissue and lymphomas but its differential expression in benign versus malignant follicles and monocytoid B-cell proliferations is of diagnostic value(APMIS・1995)反応性リンパ組織ではBcl-2免疫染色の陽性が広範に分布し、胚中心の周囲(マントル帯)・胚中心内に散在する細胞・T細胞領域全般が陽性となる一方、明確に陰性となるのは胚中心細胞の大多数であり、この陰性パターンは強い(florid)過形成でも保たれること、対照的に濾胞性リンパ腫細胞は一貫してBcl-2陽性であり、その陽性は免疫グロブリン重鎖遺伝子のクローン性PCR所見と一致し、Bcl-2陰性の過形成はすべて非クローン性であったことを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Benign lymphadenopathies(Modern Pathology・2013)良性リンパ節腫大は悪性リンパ腫と紛らわしいことが多く、反応性濾胞過形成の大半は診断が容易だが一部は濾胞性リンパ腫と紛れること、両者の区別には形態・免疫組織化学(とくにbcl-2染色の評価)・分子所見が有用で、難しい症例ではB細胞クローン性やt(14;18)の分子学的証明が助けになることを確認した閲覧 2026-08-24
  3. 3.In situ localization of follicular lymphoma: description and analysis by laser capture microdissection(Blood・2002)リンパ節の大部分がbcl-2陰性の反応性濾胞過形成でありながら、一部の胚中心のみがbcl-2強陽性の中心細胞を含む症例が23例同定されたこと、レーザーマイクロダイセクションでbcl-2陽性濾胞5例中4例が単クローン性IgH再構成を示し同一リンパ節のbcl-2陰性胚中心はポリクローナルであったこと、BCL2/JH再構成が評価可能14例中6例(43%)で検出されたこと、経過観察できた13例のうち3例がその後濾胞性リンパ腫を発症したことを確認した閲覧 2026-08-24
  4. 4.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Lymphoid Neoplasms(World Health Organization Classification of Tumours Editorial Board・2022)WHO分類第5版(2022年)が濾胞性リンパ腫のファミリーに濾胞性リンパ腫・in situ follicular B-cell neoplasm(ISFN)・小児型濾胞性リンパ腫・十二指腸型濾胞性リンパ腫を含めること、ISFNは第4版改訂のin situ follicular neoplasiaからの改称であり後3者には第5版で大きな変更が無いことを確認した閲覧 2026-08-24