組織病理学

組織病理学 · H2-029

末梢型肺癌

Peripheral carcinoma of the lung

描出疾患
肺癌

🧠 全体像:はから離れた肺実質に生じる肺癌の位置的表現であり、独立した組織型ではない。腺癌が多いが、扁平上皮癌、、なども末梢に生じうる。

部位と組織型

所見 解釈
肺末梢の腫瘤 腺癌が多いが、部位だけで組織型を決めない
中心気道の狭窄が乏しい 早期には太い気管支を巻き込みにくい
胸膜陥入・胸膜浸潤 末梢腫瘤で評価すべき
腫瘤 上肺溝腫瘍として胸壁・神経浸潤を評価
flowchart TD
    A["肺末梢の腫瘤"] --> B["形態・免疫で組織型を決定"]
    B --> C["腺癌・扁平上皮癌・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='small cell carcinoma'>小細胞癌</span>など"]
    C --> D["胸膜・脈管・リンパ節浸潤を評価"]
    D --> E["脳・骨・肝・副腎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contralateral lung'>対側肺</span>などを<span class='jp-term jp-term-diagram' title='staging'>病期診断</span>"]
    E --> F["分子所見と病期から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='therapeutic options'>治療選択</span>"]

腺癌との関係

は非のの一つだが、すべての肺腺癌の前段階ではない。腺癌の診断には腺管形成、粘液、TTF-1・などを用いるが、単一マーカーだけで肺原発を確定しない。⚠️ 「TTF-1陽性=肺原発」と読まない。 103例と原発性肺腺癌120例を比較した免疫染色研究では、転移例の13.6%(14例:甲状腺4、子宮内膜2、大腸3、前立腺1、唾液腺1、2、卵巣1)が腫瘍細胞の5-60%にTTF-1核陽性を示した。逆には転移103例すべてで陰性だったが、原発性肺腺癌の側にTTF-1とをしないものがある。PAX8は原発性肺腺癌では全例陰性で、転移例の44.7%(とくに腎・卵巣・子宮内膜・甲状腺由来)が陽性となるため、鑑別の第3のマーカーとして組み合わせる)1。詳しくは 肺腺癌 を参照する。

💡 腺癌では「腫瘍径」の測り方と進展も評価対象になっている。 2021肺腫瘍分類は、形態→→分子検査という順序を保ちつつ2015年版よりを広く求め、浸潤性非では組織パターンの割合を記載して正式なグレーディングに用いること、部分的にlepidicな腫瘍ではの径を全体径ではなく浸潤径のみで測ること(第8版に準拠)、進展(STAS)を予後に関わる組織所見として認めることを挙げている)2。のすりガラス状病変で「見えている径」と「の径」が食い違うのはこのためである。

肺尖部腫瘍

上肺溝腫瘍は組織型ではなくの局所進展様式である。下部浸潤で肩から上肢の疼痛・筋力低下、浸潤でを生じる。

所見
上眼瞼が下がる
瞳孔が小さくなる
同側顔面の無汗・低発汗

は見かけ上みられることがあるが、は、、である。

まとめ

  • 「」は発生部位であり、腺癌の同義語ではない。
  • ではとへの浸潤を評価する。
  • 遠隔転移先をな順位で覚えず、全身を行う。

出典

  1. 1.Diagnostic utility of PAX8, TTF-1 and napsin A for discriminating metastatic carcinoma from primary adenocarcinoma of the lung(Biotechnic & Histochemistry・2012)転移性肺腫瘍103例と原発性肺腺癌120例の免疫染色比較で、転移例の14例(13.6%:甲状腺4、子宮内膜2、大腸3、前立腺1、唾液腺腺様嚢胞癌1、腎細胞癌2、卵巣1)が腫瘍細胞の5-60%にTTF-1核陽性を示した。ナプシンAは転移103例すべてで陰性だった一方、原発性肺腺癌の一部はTTF-1とナプシンAを共発現しない。PAX8は原発性肺腺癌では全例陰性、転移例の44.7%で陽性だった。閲覧 2026-08-24
  2. 2.The 2021 WHO Classification of Lung Tumors: Impact of Advances Since 2015(WHO Classification of Tumours Editorial Board・2022)WHO 2021肺腫瘍分類は形態を第一とし免疫組織化学、次いで分子検査で支える原則を維持しつつ、2015年版より遺伝子検査を広く強調している。浸潤性非粘液性腺癌では組織パターンの割合を記載して正式なグレーディングに用いること、部分的にlepidicなものではT因子の径を浸潤径のみで測ること(第8版TNMに準拠)、気腔進展(STAS)を予後に関わる組織所見として認めること、小検体の分類に独立した章を設けたことを挙げている。閲覧 2026-08-24