組織病理学

組織病理学 · H2-037

消化管間質腫瘍

GIST

疾患
消化管間質腫瘍

🧠 全体像:は、系への分化を示す消化管である。多くはKITまたはPDGFRAをもち、またはが増殖する。

病態

flowchart TD
    A["KITまたは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet-derived growth factor receptor alpha (PDGFRA)'>PDGFRA</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='activating variant (mutation)'>活性化変異</span>など"] --> B["チロシンキナーゼが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='constitutive activation'>恒常活性化</span>"]
    B --> C["細胞増殖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='survival signal'>生存シグナル</span>"]
    C --> D["GIST"]
    D --> E["局所増大・出血"]
    D --> F["腹膜・肝へ転移しうる"]

診断

項目 要点
好発部位 胃が最多(約60%)、次いで空腸・回腸(約30%)。十二指腸4–5%、直腸4%、結腸・虫垂1–2%、食道1%未満1
形態 、、混合型
免疫 KIT()、DOG1が代表的。KIT陰性が4–15%あり、DOG1はそこを拾う2
分子 KIT、PDGFRAのほかなど
症状 消化管出血、腹痛、腫瘤、閉塞など

再発リスク

因子 意味
腫瘍径 大きいほど高リスク
核分裂数 多いほど高リスク
発生部位 同条件では胃外が高リスクになりやすい1
腹膜再発リスクを大きく高める

を単純に良性・悪性へ二分せず、すべてに悪性化能力があるものとしてする。

💡 「同条件でも部位で違う」の中身。 小腸では、核分裂数によらず径5 cmを超えれば少なくとも中等度の転移リスクを持ち、50 HPFあたり5個超はすべて高リスクになる。低リスクと言えるのは5 cm以下かつ5個以下(50 HPF)の場合に限られる1。同じ径・同じ核分裂数でも胃のほうが転移リスクは低く、径と核分裂数だけを見て部位をすると、小腸・直腸のを過小評価する。

治療安全性

例ではを破らない完全切除を目指す。高リスク術後や進行例では変異に応じてを用いる。は多くのKIT変異に有効だが、PDGFRA D842Vなど変異があり、遺伝子型をして一律投与しない3。

💡 D842Vは「効かない」で終わらない。 PDGFRA D842V変異は従来のに高度耐性だが、この変異を狙って設計されたの第1相試験NAVIGATORでは、D842V変異 56例中49例(88%、95%CI 76–95)がした(5例=9%、44例=79%)3。遺伝子型を調べる目的は「を避けるため」だけでなく、代わりに何を使うかを決めるためである。

まとめ

  • は系のである。
  • KIT/DOG1と分子検査を形態に統合する。
  • 径、核分裂数、部位、破裂で再発リスクを評価する。

出典

  1. 1.Gastrointestinal stromal tumors: pathology and prognosis at different sites(Seminars in Diagnostic Pathology・2006)GISTの発生部位は胃60%、空腸・回腸30%、十二指腸4-5%、直腸4%、結腸・虫垂1-2%、食道1%未満で、Cajal細胞またはその前駆細胞由来とされる。予後は部位で異なり、小腸GISTは核分裂数によらず5 cmを超えれば少なくとも中等度の転移リスクを持ち、50 HPFあたり5個を超える核分裂があればすべて高リスクとなる。5 cm以下かつ核分裂5個以下(50 HPF)の小腸GISTは低リスクである。胃GISTは紡錘形4種・類上皮型4種の組織亜型に分けられ、小腸GISTはより均一でskeinoid fiberという細胞外コラーゲン球を伴うことが多い。閲覧 2026-08-24
  2. 2.A novel monoclonal antibody against DOG1 is a sensitive and specific marker for gastrointestinal stromal tumors(The American Journal of Surgical Pathology・2008)GISTの約4-15%はKIT(CD117)発現を欠く。GIST 447例の検討でDOG1.1抗体は425例中370例(87%)陽性、CD117は428例中317例(74%)、CD34は430例中254例(59%)陽性だった。PDGFRA変異GISTではDOG1.1が29例中23例(79%)陽性なのに対しCD117は32例中3例(9%)、CD34は33例中9例(27%)にとどまった。軟部腫瘍935例中DOG1.1陽性は平滑筋肉腫326例中1例(0.3%)と滑膜肉腫39例中1例(2.5%)のみだった。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Avapritinib in advanced PDGFRA D842V-mutant gastrointestinal stromal tumour (NAVIGATOR): a multicentre, open-label, phase 1 trial(The Lancet Oncology・2020)PDGFRA Asp842Val(D842V)変異GISTはチロシンキナーゼ阻害薬に高度に抵抗性である。アバプリチニブの第1相試験NAVIGATORでは、D842V変異GIST 56例のうち49例(88%、95%CI 76-95)が奏効し、完全奏効5例(9%)・部分奏効44例(79%)だった。最大耐用量は400 mg、推奨第2相用量は300 mg/日で、治療関連grade 3-4事象は82例中47例(57%、最多は貧血17%)、治療関連死はなかった。閲覧 2026-08-24