組織病理学

組織病理学 · H2-082A

異所性妊娠の摘出標本

SPECIMEN - Graviditas extrauterine

描出疾患
異所性妊娠

🧠 全体像:の摘出標本では、着床部位、壁の破綻、血腫、妊娠組織を系統的に検索する。や胎児が明瞭でなくても否定せず、を含めて十分に組織検索する。

観察と切り出し

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ectopic pregnancy'>異所性妊娠</span>の摘出標本"] --> B["臓器・着床部位を同定"]
    B --> C["腫大・壁欠損・出血を確認"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood clot'>血餅</span>と妊娠組織を検索"]
    D --> E["壁との位置関係を保って採取"]
    E --> F["絨毛・栄養膜を組織確認"]
観察点 記載内容
着床部位 卵管、卵巣、腹膜など
壁・漿膜 腫大、破裂、癒着
内容 、様・絨毛様組織
組織 絨毛、細胞性・、出血
背景 、瘢痕、癒着など

が最多だが、標本名だけで臓器を決めず、実際の解剖構造を同定する。手術治療された1800例の地域登録では70.0%、12.0%、部11.1%に対し、卵巣3.2%、2.4%、腹腔1.3%と卵管以外の着床も数%ある1。栄養膜の生理的浸潤を悪性腫瘍と誤認しない。絨毛外栄養膜の増殖はでとくに目立ち、絨毛周囲をに取り巻く栄養膜増殖とがそろわない限りと診断しない2。

💡 切り出し量が背景病変の検出率を決める。 標本200例の検討では、が後ろ向き100例の当初報告では7例だったのに対し、のために十分に切り出した前向き100例では57例に見つかった(対照卵管100例では5例)3。「背景に所見なし」は、切り出しが足りないだけのことがある。

循環不安定例では病理結果を待たず蘇生と緊急手術を行う。切り出しの詳細はの肉眼標本、臨床はを参照する。

まとめ

  • 着床臓器を確認し、壁・出血・妊娠組織を対応させる。
  • 内にも絨毛が混在しうるため十分に検索する。
  • 標本名から個別の着床部位や破裂所見を補わない。

出典

  1. 1.Sites of ectopic pregnancy: a 10 year population-based study of 1800 cases(Human Reproduction・2002)フランスの地域登録に基づく手術治療された異所性妊娠1800例で、着床部位は卵管膨大部70.0%、卵管峡部12.0%、卵管采部11.1%、卵巣3.2%、卵管間質部2.4%、腹腔1.3%であった。卵管以外の着床が数%あり、合併症と治療法は部位によって異なる。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Over-diagnosis of hydatidiform mole in early tubal ectopic pregnancy(Histopathology・2001)卵管の異所性胞状奇胎が疑われた25例のうち17例(85%)は奇胎ではなく、65%が早期胎盤形成、35%が水腫性流産であった。絨毛外栄養膜のシート状増殖は卵管妊娠でとくに目立つため、絨毛周囲全周性の栄養膜増殖と水腫性変化がそろわない限り妊娠性絨毛性疾患と診断すべきでない。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Salpingitis isthmica nodosa: a high-risk factor for tubal pregnancy(Obstetrics and Gynecology・1983)卵管妊娠標本200例の検討で、後ろ向き100例では峡部結節性卵管炎の報告は7例だったが再検討では27例に見つかり、顕微鏡検査のために十分に切り出した前向き100例では57例に認められた。対照卵管100例では5例にとどまり、切り出しの量が背景病変の検出率を大きく左右する。閲覧 2026-08-24