Histopathology

Histopathology · H1-034

肺褐色硬化

Induratio brunea pulmonis (Berlini-kék, Prussian blue)

描出疾患
僧帽弁狭窄症
画像所見
肺胞出血

🧠 全体像は、長期のうっ血による反復性肺胞出血、が重なった病変である。では鉄を含むが青色に染まる。

発症機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mitral stenosis'>僧帽弁狭窄</span>・慢性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Left-sided heart failure / LHF'>左心不全</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary venous pressure'>肺静脈圧</span>上昇"]
    B --> C["肺毛細血管うっ血"]
    C --> D["赤血球が肺胞内へ漏出"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar macrophages'>肺胞マクロファージ</span>が赤血球を貪食"]
    E --> F["ヘモグロビン分解と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemosiderin'>ヘモジデリン</span>形成"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heart failure cells'>心不全細胞</span>"]
    C --> H["慢性低酸素・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial fibrosis'>間質線維化</span>"]
    G --> I["褐色調"]
    H --> I
    I --> J["肺<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brown induration of lung'>褐色硬化</span>"]

標本の読み方

所見 意味
青色顆粒をもつ
慢性肺うっ血を反映する
拡張した毛細血管と赤血球充満 肺うっ血
肺胞隔壁の線維化 「硬化」を生む慢性変化

は喀痰にも出現しうるが、心不全に特異的ではなく、肺胞出血を起こす他疾患でもみられる。

色素の整理

色素 由来・局在 鑑別点
外因性。からリンパ節へ運ばれる 黒色でベルリン青陰性
に由来する細胞内の性色素 黄褐色、核周囲に蓄積
ヘモグロビン由来の鉄貯蔵顆粒 黄褐色、ベルリン青陽性
メラニン が産生 鉄染色陰性で、分布と形態が異なる

炭粉沈着

吸入された炭素粒子はに貪食され、に沿って肺間質やへ運ばれる。単純な炭粉沈着(anthracosis)は黒色調を示しても組織障害が軽いことが多い。一方、では炭粉を含むマクロファージの、炭粉斑、線維化が生じ、進行例では肺高血圧につながる。

リポフスチンと褐色萎縮

は、酸化された脂質・蛋白質を含むオートファジー後のとして核周囲に蓄積する。加齢やが萎縮すると、心臓は小さく褐色調を呈する(brown atrophy)となりうる。これはとは異なり、ベルリン青染色では陰性である。

関連する鉄沈着

  • は、肺胞出血や皮下出血など局所で起こる。
  • ではを中心に鉄が広く蓄積し、程度・原因によっては臓器障害を伴う。
  • (hereditary hemochromatosis)は、制御異常などによりへ鉄が蓄積し、肝・膵・心などを傷害する。

💡 は同義ではない。混合曝露はありうるが、前者は石炭、後者はが主因である。

まとめ

  • は慢性うっ血、肺胞出血、、線維化の組合せである。
  • を含むである。
  • ベルリン青染色は三価鉄を含むを青く示す。
  • 炭粉、、メラニンとは由来・局在・染色性で鑑別する。