Histopathology

Histopathology · H2-096B

乳頭状甲状腺癌

Papillary thyroid carcinoma

描出疾患
甲状腺癌

🧠 全体像(papillary thyroid carcinoma:PTC)はの中で最も頻度が高い組織型で、構築の有無ではなく特徴的な核所見によって診断される点が病理学的な要点である。に頸部リンパ節へ転移しやすいが、一般に予後は良好である。

診断の考え方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ionizing radiation'>電離放射線</span>曝露などの危険因子"] --> B["BRAF・RET遺伝子異常などの獲得"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular cells'>濾胞細胞</span>の腫瘍性変化"]
    C --> D["特徴的核所見の出現"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papillary'>乳頭状</span>構築を示す典型例"]
    D --> F["濾胞状構築を示す亜型"]
    E --> G["頸部リンパ節への転移"]
    F --> G

診断は構築の有無ではなく核所見に基づく。濾胞状の構築を示す症例でも、特徴的な核所見があればPTCと診断される。

標本で確認される所見

所見 解釈
構築 の軸を伴う増殖。典型例で認めるが必須所見ではない
(Orphan Annie eye nuclei) クロマチンが微細に分散し、核内が均一に淡く抜けて見える所見
・核内偽(pseudoinclusions) の陥入や細胞質の核内への様所見で、核所見診断の柱の一つ
硬化 線維化を伴う間質反応
の石灰化構造で、構築部にみられやすい
腫瘍・甲状腺組織の対比 周囲正常甲状腺実質との境界・浸潤様式の評価に用いる

分子病理と現行分類の要点

BRAF V600E変異が高頻度の主要な駆動変異であり、放射線曝露関連例ではRET(RET/PTC)が知られる。され浸潤を伴わない濾胞型の一部は、現行のWHO分類では「核所見を有する(noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features:)」として、悪性度の低い独立したカテゴリーに再分類されている。

臨床的特徴と治療

腫瘍であり、甲状腺内の無痛性腫瘤、または頸部リンパ節転移として初発することが多い。が主に血行性に転移するのに対し、は主にに頸部リンパ節へ転移する点が鑑別上重要である。治療はまたはに、リンパ節転移例ではを組み合わせ、必要に応じ放射性ヨウ素療法・を追加する。予後は一般に良好である。

全般は、過形成による結節との鑑別はを参照する。

まとめ

  • PTCの診断は構築ではなく特徴的核所見(・偽)に基づく。
  • 構築部でみられる支持所見である。
  • の濾胞型の一部はとして再分類されている。
  • に頸部リンパ節転移を来しやすいが、一般に予後は良好である。