Histopathology

Histopathology · H2-108B

横紋筋肉腫(脳への進展例)

Rhabdomyosarcoma – BRAIN

描出疾患
横紋筋肉腫

🧠 全体像(rhabdomyosarcoma:RMS)は骨格筋分化を示す由来の悪性腫瘍で、小児期で最も頻度の高い軟部肉腫である。そのものには骨格筋組織が存在しないため、脳に生じたRMSは通常、頭頸部の部位(、副鼻腔、中耳・など)に発生したが頭蓋底・髄膜を介して直接進展したものであり、遠隔として単純に説明できるとは限らない。

好発部位と傍髄膜性進展

頭頸部、尿路生殖器、後腹膜、四肢に好発し、20歳未満での発症が大部分を占める。頭頸部の中でも・副鼻腔・中耳・などの部位に生じた腫瘍は、周囲の骨・軟部組織的な障壁が乏しく頭蓋底を介して頭蓋内へ直接進展しやすいという臨床上重要な特徴を持つ。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parameningeal'>傍髄膜</span>部位(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nasopharynx'>鼻咽頭</span>・副鼻腔・中耳・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='infratemporal fossa'>側頭下窩</span>)の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary tumor'>原発巣</span>"] --> B["頭蓋底の骨・硬膜を介して直接進展"]
    B --> C["頭蓋内・髄膜への浸潤"]
    A --> D["血行性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphatic'>リンパ行性</span>の遠隔転移(肺・骨・骨髄など)"]
    C -.->|"臨床的に脳病変として認識"| E["脳に病変を認める"]
    D -.->|"まれに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brain parenchyma'>脳実質</span>への転移として"| E

組織学的亜型と分子病理

亜型 特徴 分子背景
小児に最多。胞ではなく密な細胞集団、ぶどう状(botryoid)・型の亜型を含む 特定の融合遺伝子を欠くことが多く、11p15領域の異常(IGF2経路)が関与
青年期・若年成人に多く、で仕切られた胞構築を示す。予後不良 PAX3-FOXO1(t(2;13))またはPAX7-FOXO1(t(1;13))融合遺伝子が特徴的(FOXO1は旧称FKHRと同一遺伝子)
型・(spindle cell/sclerosing) 独立した組織型として認識される。乳幼児に多いVGLL2融合遺伝子群は予後良好、年長児・成人に多いMYOD1変異群は予後不良と、背景遺伝子で予後が大きく異なる VGLL2融合(乳幼児型)またはMYOD1変異(年長児・成人型)
主に成人に発生し、横紋を伴う分化像が乏しいことが多い 特定の融合遺伝子を持たない

⚠️ 融合遺伝子はすべてのRMSに一様に見られるわけではない。で特徴的なPAX3/7-FOXO1融合は主にに関連する所見であり、最も頻度の高いの多くは融合遺伝子陰性である。

診断

は好酸性の細胞質を持ち、を示すことがあるが、必発ではない。確定診断にはまたはMyoD1などの骨格筋分化マーカーのが用いられ、特に・MyoD1の核内陽性は骨格筋系分化の特異性が高い。

治療と予後

化学療法、手術、放射線療法を組み合わせた治療が基本である。小児例は治療反応性が高く治癒可能な例が多いのに対し、成人例は一般に予後不良である。頭蓋内・浸潤例では、局所制御に放射線療法が特に重要な役割を持つ。

小児の骨に生じるRMSの一亜型()は膀胱・腟などにも生じ、尿路・の腫瘍で触れた小児の代表例でもある。軟部腫瘍全般の疫学・・治療は軟部腫瘍の疫学・病因・組織型・病期・症状・診断軟部腫瘍の治療を参照する。

まとめ

  • 脳に生じたRMSの多くは、頭頸部部位のが頭蓋底を介して直接進展したものと考える。
  • 組織学的亜型(型/)は背景の分子異常と予後が異なり、PAX3/7-FOXO1融合は主にに関連する所見である。
  • 確定診断には・MyoD1などの骨格筋分化マーカーのを用いる。
  • 治療は化学療法・手術・放射線療法のアプローチで、小児は成人より予後が良好である。