Histopathology

Histopathology · H2-109B

脂肪肉腫(後腹膜)

Liposarcoma – RETROPERITONEUM

描出疾患
軟部肉腫
疾患
脂肪腫

🧠 全体像を示す悪性で、後腹膜は下肢と並んで好発部位の一つである。後腹膜という部位の性質上、腫瘍がかなり大きくなるまで症状が出にくく、亜型によって分子背景・生物学的悪性度が大きく異なる点が診断・治療上の要点になる。

現行分類における亜型

亜型 特徴
低悪性度で成熟脂肪組織に類似するが、と大型異型核を伴うを含む 12q13-15領域のMDM2・CDK4遺伝子増幅が診断・鑑別の中心となる(良性との鑑別に有用)
ALT/WDLPSから移行する(まれに新規発生も)成分を伴う。後腹膜での代表的な進行例 ALT/WDLPSと同じくMDM2・CDK4増幅を共有し、そこに追加の異常が加わって化する
間質と特徴的な樹枝状(鶏冠状)血管網、多性の。四肢に多い DDIT3(CHOP)とFUSまたはEWSR1の融合遺伝子。円形細胞成分の増加は化を意味する
まれで。著明なを示すを含む 特定の再現性ある融合遺伝子を欠く

⚠️ 後腹膜という部位では特にALT/WDLPS〜DDLPSの系列が代表的であり、MDM2・CDK4増幅の証明(蛍光in situや免疫染色)が、細胞に乏しいとの鑑別、および高分化型と型のを理解するうえで中心的な役割を果たす。

発生から進展までの流れ

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adipocyte differentiation'>脂肪細胞分化</span>を示す<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Mesenchymal'>間葉系</span>前駆細胞"] --> B{"分子異常のタイプ"}
    B -->|"MDM2・CDK4増幅"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ALT/WDLPS'>高分化型脂肪肉腫</span>"]
    C --> D["追加の分子異常"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='DDLPS'>脱分化型脂肪肉腫</span>へ移行"]
    B -->|"DDIT3-FUS/EWSR1融合"| F["粘液型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Liposarcoma'>脂肪肉腫</span>"]
    F --> G["円形細胞成分の増加"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-grade (aggressive)'>高悪性度</span>化"]

肉眼・組織所見

肉眼的には境界明瞭なとして発見されることが多いが、大型病変ではを伴う。組織学的にはが鍵となる細胞で、多性の細胞質と、脂肪滴にされて扇形・に変形した異型核を示す。周囲の骨格筋への浸潤がみられることもある。

臨床的特徴と治療

無痛性の腫瘤として、あるいは増大に伴う圧迫症状として気づかれる。後腹膜という広い空間の性質上、症状が出る頃には相当な大きさに達していることが多い。治療の基本は広範切除であるが、後腹膜では周囲臓器との位置関係から完全切除が難しいことが多く、特にDDLPSは局所再発率が高い。放射線療法・化学療法は補助的に検討されるが、手術単独に比べた効果は亜型・症例により異なる。

軟部腫瘍全般の疫学・病因・組織型・軟部腫瘍の疫学・病因・組織型・病期・症状・診断、治療の軟部腫瘍の治療を参照する。

まとめ

  • 後腹膜の系列が代表的で、MDM2・CDK4増幅が診断の中心的マーカーである。
  • 粘液型はDDIT3-FUS/EWSR1融合を特徴とし、円形細胞成分の増加が化を意味する。
  • (多性細胞質+扇形異型核)が断の鍵となる細胞である。
  • 後腹膜という部位のため発見が遅れやすく、完全切除の困難さと局所再発率の高さが治療上の課題になる。