遺伝学

遺伝学 · 2.3

細胞遺伝学 I

Cytogenetics I

タグ
W2Practice / 実習
検査値
染色体マイクロアレイ検査染色体検査

🧠 の実技は「で見るか、で見るか」という2つの窓で読む。 ではに加え、で標的とした遺伝子・染色体領域やを観察できる。を調製すれば核型全体をで解析でき、を組み合わせれば特定の微小領域まで可視化できる。1

X不活性化と間期染色体

=女性の2本のX染色体のうち1本がランダムに不活性化される現象——を生む(03-2-epigeneticsも参照)。

⭐ 不活性化X染色体は核でも「」として観察できる。 標本(MGG染色)のでは、核の付属突起として状のが観察される。ニューロンではに位置する。さらに核へを行えば、標的染色体や遺伝子領域を直接評価できる。

染色体標本の作製

方法 原理 例
で既に分裂中の細胞から直接調製 骨髄細胞・腫瘍細胞・・・絨毛/羊水細胞
では分裂していない(G0期)細胞をin vitro刺激して分裂させてから調製

核型=染色体構成を記述したもの(例:XXY)。=染色体構成を写真として提示したもの——両者は「記述」と「可視化」という違いをもつ。

中期染色体の構造

染色体を見分ける3つの手がかり:①サイズ(最も簡便)、②パターン(ギムザバンドの大きさ・位置が各染色体で固有)、③の位置(染色体分離の際に働くくびれ)。

位置 定義
が染色体中央付近
が中心からずれ、片腕が長い
が末端に極めて近い

をp(petite)、をq(pの次のベット)と呼ぶ。

核型分析の手順

①染色体を数える(常染色体22対+1対)、②常染色体をA〜G群に分類、③染色体の相対的な長さで並べる(1〜22番常染色体)、④構造(腕比・位置)で確認、⑤NOR(核小体形成部位、nucleolar organizing region:第二狭窄)の数を記録。は通常、の末尾に配置される。

💡 は「そのに特徴的な数」であって「種に特徴的な数」とは限らない。 (例:CHO細胞=)は培養の過程で本来の種の染色体数からずれることがある——の染色体数を鵜呑みにせず、モーダル数として扱う視点が必要。

バンディング技法

個々の染色体・染色体異常の同定のために、・のパターン(染色体対ごとに固有)を可視化する。分解能は約5〜10Mb。

型 内容
Q分染法 蛍光染色
染色体変性後の、で最も多用される
R分染法 G分染とは逆のパターン
C分染法 周囲のを強調
NOR 核小体形成部位を可視化

💡 G分染のは一般にA-T rich領域。 G分染は染色体変性後ので明暗の固有パターンを作る。ただし染色機序をとの相性だけで説明するのは単純化が強い。G分染パターンはQ分染パターンとほぼ完全に対応する(Q明=G暗、Q暗=G明)という関係も押さえておく。

バンディング命名法

染色体は→領域→バンド→という階層でされる(例:Xp22.1=X・領域2・バンド2・1)。

分解能 対象 総バンド数
標準分解能(standard、5〜10Mb/バンド) 約400バンド
約850バンド

⚠️ 染色体標本は自動プログラムで評価・核型化されるが、最終判定はによるチェックが必須。 自動化されたコンピュータープログラムによる核型判定は効率的だが、微細な異常の見落としを避けるため、による確認が不可欠——自動化と人間の判断の分業が精度を保証する。

FISH:蛍光in situハイブリダイゼーション

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescent label'>蛍光標識</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>プローブ(特定の遺伝子・染色体領域・染色体全体に対応)"]
  A --> B["標的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>の変性"]
  B --> C["プローブとの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hybridization'>ハイブリダイゼーション</span>"]
  C --> D["蛍光シグナルの検出<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interphase'>間期</span>核・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metaphase chromosome'>中期染色体</span>スプレッドの両方に適用可能"]

は単一遺伝子や・重複の水準まで標的を可視化できるが、実際の分解能はプローブと標的領域に依存し、一般的な検査を一律に数百とすることはできない。・の両方を検出できる一方、あらかじめ選んだ既知の領域しか検出できないため、網羅的探索には不向きである。1

トリソミー検出の実例: 13・21番染色体のユニークプローブと、18・X・Y染色体の特異的プローブを組み合わせ、主要な常染色体・を迅速に検出できる。2

マルチカラーFISH

24種類の染色体特異的プローブを5種の(または組み合わせ標識、combinatorial labeling)で標識し、1回の実験で常染色体22種類とX・Yの計24種類を同時に色分け表示する——の中期・での位置解析にも応用される。

着床前遺伝子診断への応用

では、歴史的にへ染色体特異的プローブを用いるが適用された。しかしは選択した染色体だけを評価するため、構造再構成と他染色体の異常を同時に調べる包括的検査にはCGHやアレイCGHなどが用いられる。3

NORプローブとc-myc検出の実例

NOR(nucleolar organizer region)=(rDNA)を含む領域。二重蛍光プローブの例:プローブ1(Texas Red標識、c-myc遺伝子、8q24.12-q24.13に位置)+プローブ2(FITC標識、8番染色体)——遺伝子の染色体上の位置を正確に同定する実務的な応用例。

まとめ

  • ではに加えてで標的領域を評価でき、を調製すれば解析で染色体全体を評価できる。染色体標本作製は(既に分裂中の細胞)と(in vitro刺激が必要な細胞)の2通り。
  • 核型(記述)と(写真)は区別される用語。染色体はサイズ・パターン・位置(中部/次中部/)で識別され、p腕()・q腕()というがある。
  • (G分染が標準、Q/R/C分染・NOR)は腕→領域→バンド→という階層をもち、標準分解能(約400バンド)と(約850バンド)がある。
  • は既知の特定領域を標的依存的なで検出でき、M-は24種類の染色体を同時に色分けする。着床前検査では歴史的に用いられたが、包括的評価にはCGH・アレイCGHなどが用いられる。

出典

  1. 1.Fluorescence In situ Hybridization: Cell-Based Genetic Diagnostic and Research Applications(Frontiers in Cell and Developmental Biology・2016)FISHは間期核・中期染色体で特定遺伝子や微小欠失・重複、数的異常、再構成を標的依存的に検出できること閲覧 2026-08-24
  2. 2.Effectiveness of prenatal chromosomal analysis using multicolor fluorescent in situ hybridisation(BJOG・2000)13・21番にはユニークDNAプローブ、X・Y・18番にはセントロメア特異的プローブを用いる多色FISHで主要異数性を迅速検出できること閲覧 2026-08-24
  3. 3.First births after preimplantation genetic diagnosis of structural chromosome abnormalities using comparative genomic hybridization and microarray analysis(Human Reproduction・2011)FISHによる着床前検査は対象染色体に限定される一方、CGH・アレイCGHは染色体再構成と他染色体の異常を包括的に評価できること閲覧 2026-08-24