Neuroanatomy

Neuroanatomy · 01

脊髄の微細構造(顕微鏡解剖)

Fine structure (microscopy) of the spinal cord

応用トピック
脊髄損傷の症候脊髄障害の症候筋萎縮性側索硬化症

🧠 灰白質は「後角=感覚・前角=運動・=自律」という機能分担でまず3つの角に分け、Rexedの10層(Lamina I–X)はその機能分担をさらに細かい「番地」に落とし込んだものと読む。 白質はその処理結果を運ぶ配線束にすぎない。この「処理装置(灰白質)+配線(白質)」という構図さえ押さえれば、脊髄の断面図は暗記ではなく理解できるようになる。

灰白質の全体構成

脊髄のでは、灰白質が中心に位置し、周囲を白質が取り囲む。灰白質にはニューロンの細胞体が、白質にはそのニューロンの軸索が存在する。

灰白質は機能的に3つの「角」に分けられる。

部位 英語 由来・内容
後角(背側) dorsal (posterior) horn 由来。求心性系のニューロンを含む
前角(腹側) ventral (anterior) horn 運動ニューロン由来。筋へ向かう性線維=を含む
lateral horn の自律神経細胞を含む
intermediate zone 前角と後角をつなぐ領域
central canal 灰白質中央、の間に位置する

後角・前角・側角

後角は末梢からの情報を受け取り、脊髄の他部位や脳へ中継する。

  • Lissauer路:後根から入ってきたが後角深部へ入り他ニューロンとシナプスするまで通過する部位
  • :痛覚の修飾に重要な部位

前角は伝導路から入力を受ける運動ニューロンを起源とする。

  • 軸索はAα線維と呼ばれ、骨格筋を支配する
  • =α運動ニューロン+Aα線維+骨格筋

T1–L2)にのみ存在する。

  • :交感神経()と副交感神経()のを含む
  • の中枢とみなされる(Clark-Stilling核とも呼ばれる)
  • IML・IMM核自体はT1〜L3まで及ぶ

💡 と核の範囲がズレる理由。 肉眼的に突出した「」として見えるのはT1–L2だが、IML・IMM核(ニューロンの集まり)自体はL3まで連続している。では、IML核はより外側に位置することでという形をとる——つまり「」は核の存在範囲の一部にすぎない。

Rexed層構築

脊髄の灰白質はRexedにより背側から腹側へ10層(Lamina I–X)に分けられる。

Lamina 別名 内容・機能
I Lissauer路からの入力を主に受け、痛覚・温度覚を中継
II (Rolando物質) 後根(特に痛覚・温度受容線維)から直接入力。痛覚修飾に重要
III+IV+V に存在。軽い触覚・痛覚・温度覚を伝える
V+VI 皮膚・筋・関節のからの求心性刺激を処理
VII Clark柱 固有受容性。C8–L2/L3に及び、筋からの固有受容線維が終止
VIII 介在ニューロン、Lenhossek 軸索は白で対側へ交叉
IX 大型運動ニューロン(α・γ) 軸索はを形成する(下記)
X 周囲灰白質
  • Lamina I〜IVは後角に対応する
  • Lamina V〜VIIは灰白質のを満たす
  • Lamina IXの運動ニューロンは2系統に分かれる
    • 。α運動ニューロンは骨格筋を支配し、γ運動ニューロンはより小型で終末にを持つ
    • として節細胞を支配する。胸では交感神経、部では副交感神経となる

脊髄核のまとめ

Rexed Lamina レベル 機能
I
II 痛覚・温度覚の修飾
III, IV, V 感覚処理、
(無名) VI 固有受容情報の処理
VII C8–L2
VII 内臓の受容
VII T1–L3 前細胞
VII S2–S4 前細胞
(無名) VIII 下行性の脊髄上性入力を受容
IX 体幹筋(軸性筋)の支配
IX 四肢筋の支配
IX C3–C5 横隔膜の支配
IX 延髄–C5 の支配

白質と索

白質は灰白質にあるニューロンの軸索からなり、末梢神経と脳をつなぐ上行性・下行性の伝導路を含む。3つのに整理される。

  • 後索:上行性線維の集まり
  • Lissauer路(後根入口)との腹側)は白質の特殊な部分
  • 起始・走行・終止が共通する軸索の束は伝導路と呼ばれる

神経根と脊髄神経

  • 後根=感覚専用
  • =運動専用
  • ・後根それぞれから出る細い根線維
  • 脊髄神経は・後根が合流して形成され、を通ってを出る
  • からなるの神経節で、後根がと合流する直前に位置する

反射弓の基本構成

反射とは特定の刺激に対する自動的・不・迅速な反応であり、その基本単位がである。

flowchart TD
  A["受容器<br>刺激→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='receptor potential'>受容器電位</span>→閾値到達でAP発火"] --> B["求心性(感覚)ニューロン<br>afferent/sensory neuron"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='integration center'>統合中枢</span><br>脊髄 or 脳"]
  C -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monosynaptic'>単シナプス性</span>:介在ニューロンなし"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='centrifugation'>遠心</span>性(運動)ニューロン<br>efferent neuron"]
  C -->|"多<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic'>シナプス性</span>:介在ニューロン経由"| D
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='effector'>効果器</span><br>収縮/弛緩"]
  • が運動ニューロンへ直接シナプスする
  • が介在ニューロンを介して運動ニューロンへ伝わる

⚠️ は生命に関わる。 痛覚は「生存のための感覚」であり、これを欠く患者は外傷・疾患に気づかず、小児期に死亡することが多い。

感覚の3分類と受容器

体性感覚は機能的に3つに分類される。それぞれの伝導路は固有受容反射自律反射、および後ののトピックで詳述する。

分類 内容 意義
・温度覚・・痛覚 生存に
関節・筋の動き・位置の検出 空間内での身体の
・振動覚・ 高精度な触覚識別

受容器は部位ごとに異なる種類が存在する。

部位 受容器 機能
皮膚 触覚(主に手指)
皮膚
皮膚 痛覚・温度覚(熱・冷)
皮膚 触覚
筋(腱) 腱内でを防ぐ
(γ運動ニューロン支配)が(α運動ニューロン支配)とCT被膜で隔てられる
内臓 膵など内臓に存在

まとめ

  • 灰白質は後角(感覚)・前角(運動)・(自律、T1–L2に限局)に分かれ、Rexedの10層(Lamina I–X)がこれをさらに細分化する。Lamina I–IVが後角、V–VIIが、IXの大型運動ニューロンが前角に対応する。
  • 白質は後索・の3索に整理され、伝導路として上行性・下行性の情報を運ぶ。
  • 後根=感覚、=運動という原則のもと、)が感覚情報の細胞体を担う。
  • は受容器→性ニューロン→の5要素からなり、・多に分かれる。
  • 体性感覚はの3つに分類され、それぞれ異なる受容器が対応する。