Obstetrics

Obstetrics · 42

正常産褥

Physiologic puerperium

前提:正常
胎児期と胎盤:分娩妊娠・分娩・授乳の内分泌学

🧠 全体像は胎盤娩出後から概ね6週間で、生殖器・循環・腎尿路・内分泌が非妊娠時へ戻る移行期である。子宮復古、、授乳、排尿、精神状態を継続的にみながら、正常な回復と出血・感染・血栓症・高血圧などのを区別する。

子宮復古

  • 胎盤娩出直後、収縮は胎盤剥離面の血管を圧迫し止血する。
  • 子宮底は分娩直後に臍付近で触れ、その後は日ごとに下降する。約2週で腹壁上から触れにくくなり、約6週で非妊娠時に近づく。
  • 、授乳時にはが強いことがある。授乳によるオキシトシン分泌が収縮を促す。
  • 軟らかく高い子宮底、増える出血、や尿閉を疑う。
flowchart TD
    A["胎盤娩出"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uterine muscle'>子宮筋</span>収縮・血管圧迫"]
    B --> C["子宮底が日ごとに下降"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lochia'>悪露</span>が赤色から漿液性へ"]
    D --> E["白色へ移行"]
    E --> F["約6週で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='puerperium (postpartum period)'>産褥</span>回復"]

悪露

種類 おおよその時期 性状
産後数日 血液、、粘液を含む赤色
褐色・ 3〜4日頃から約10日 褐色〜淡赤色、水分が増える
約10日以降 黄白色、白血球・粘液が主体

授乳や活動で一時的に赤みが増すことはあるが、急に量が増える、大きな、悪臭、発熱、は正常経過とみなさない。胎盤付着部の治癒を理由に「1〜2週で大量出血するのが正常」と説明してはならない。

生殖器と骨盤底の回復

  • は徐々に閉鎖し、経腟分娩後の外子宮口は裂状となることがある。
  • 腟・の浮腫と伸展は数週かけて改善する。・切開創は疼痛、血腫、感染、を観察する。
  • は、疼痛が許す範囲で開始し尿失禁予防・改善を支援する。
  • は徐々に改善するが、持続症状があればを検討する。

全身の生理的変化

系統 変化 観察点
循環 の消失と自己輸血で一時的に心拍出量が増え、その後数週で戻る 心疾患では産後早期も肺水腫に注意
血液 は生理的にみられる。は産後も続く 発熱・症状なしに白血球だけで感染と診断しない。VTEリスクを評価
腎尿路 利尿が増え、妊娠中の水分を排出。膀胱・容量増加 尿閉、、尿路感染、
消化器 腸管運動低下、会陰痛、で便秘しやすい 水分、、必要時
体重 胎児・胎盤・羊水の娩出と産後利尿で減少 急な浮腫・呼吸困難は病的原因を評価
内分泌 エストロゲン・黄体ホルモンが急減し、授乳でプロラクチン高値 排卵は初回月経より先に起こりうる

月経・排卵と避妊

  • 非授乳では月経が6〜8週頃に戻ることが多いがが大きい。
  • 授乳では無月経が長引くが、授乳だけで常に避妊できるわけではない。
  • は、産後6か月未満、無月経、完全またはほぼ完全授乳の3条件すべてを満たす場合に限る。
  • 退院前から本人の希望、授乳、を踏まえて産後避妊を相談する。

産後の危険徴候

次の症状は早急に評価する。

  • 1時間にナプキン1枚以上を濡らす出血が続く、大きな、失神
  • 38℃以上の発熱、悪臭のある、増悪する腹痛・創部痛
  • 、胸痛、片脚の腫脹・疼痛
  • 強い頭痛、、高血圧
  • 排尿不能、激しい会陰部圧迫感
  • 念慮、、強い混乱

まとめ

  • 正常では子宮底下降との赤色→漿液性→白色への変化を追う。
  • 、利尿、などは生理的に起こるが、症状と組み合わせて判断する。
  • 産後も出血、感染、VTE、高血圧、精神症状を見逃さず、授乳・避妊・骨盤底回復を支援する。