小児科学

小児科学 · 2-18

小児一次・二次救命処置

Pediatric Basic and Advanced Life Support

前提:病態
カテコールアミン
前提:正常
心臓のポンプ機能・心拍出量の調節

🧠 全体像:小児心停止の多くは低酸素・ショックから進行するため、質の高い胸骨圧迫に有効な換気を組み合わせ、AEDを早期装着する。

迅速評価

  • 安全を確認し、反応、呼吸、循環を評価して応援と救急要請を行う。
  • は行動、呼吸、皮膚色で捉え、その後ABCDE、病歴・診察、検査へ進む。
  • で正常呼吸がなければ心停止としてCPRを開始する。
  • 💡 者による人工呼吸を伴う通常のCPRは、以外の原因による小児の院外心停止で、胸骨圧迫のみのCPRより良好なと関連する。同様の場面の成人では圧迫のみでも同等とされることが多く、この点は小児で異なりうる1。

質の高いCPR

項目 基準
圧迫速度 100〜120/分
深さ 胸郭の約1/3、乳児約4 cm、小児約5 cm
手技 完全な胸郭、休止最小化、回避
比率 医療者2人では15:2が基本。単独救助者は訓練体系に従う
AED 小児用減衰器・パッドがあれば用い、到着次第装着

上記の圧迫速度・深さ・比率はERC 2025小児蘇生ガイドラインに基づく2。2025 AHA/AAPでは乳児の2本指圧迫を廃し、両母指胸郭包み込み法または片手掌圧迫を推奨している3。

心停止アルゴリズム

flowchart TD
    A["CPR開始・モニター/AED装着"] --> B["リズム判定"]
    B -->|"VF・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulseless'>無脈性</span>VT"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='defibrillation'>除細動</span>4 J/kg"]
    C --> D["直ちにCPR 2分"]
    D --> B
    B -->|"PEA・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='asystole'>心静止</span>"| E["アドレナリンを早期投与"]
    E --> F["CPR 2分・3〜5分ごとに反復"]
    F --> B
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='return of spontaneous circulation, ROSC'>自己心拍再開</span>"| G["酸素化・換気・血圧・体温・神経管理"]
  • ショック適応では3回目後からアドレナリン10 μg/kgと5 mg/kgを用いる(最大量・反復は最新プロトコル確認)。💡 これはERC方式に基づく。AHA方式ではショック抵抗性・にとのいずれも選択肢となり得るため、所属地域・施設のプロトコルに従う4。
  • 徐脈<60/分で低灌流があり、酸素化・換気でも改善しなければ脈が触れてもCPRを開始する。
  • 高度気道確保後は連続圧迫にし、年齢依存換気数を用いてを避ける。
  • 体重が不明な場合はBroselowテープなど身長基準ツールで推定するが、実測体重の10%以内に収まる例はで全体の50%強にとどまり、低・中所得国の集団では過大評価が顕著となりうる5。

可逆原因

低酸素、、低・高K血症など代謝異常、低体温・、、心タンポナーデ、毒物、血栓症を系統的に検索する。

まとめ

  • 小児蘇生では換気を省略しないことが重要である1。
  • 圧迫の深さ・速度・・休止を継続評価する。
  • AED早期装着と可逆原因治療をCPRと並行する。
  • 北米の地域登録では小児院外心停止の年間は6.7〜10.2%にとどまり、乳児で最も低く周産期・思春期で相対的に高い6。

出典

  1. 1.Conventional and chest-compression-only cardiopulmonary resuscitation by bystanders for children who have out-of-hospital cardiac arrests: a prospective, nationwide, population-based cohort study(The Lancet・2010)日本の全国的登録(2005〜2007年、17歳以下5170例)で、非心原性の院外心停止の小児1〜17歳では、人工呼吸を伴う通常のバイスタンダーCPRが胸骨圧迫のみのCPRより1か月後の良好な神経学的転帰(7.2%対1.6%)と関連したこと、心原性の心停止では両法に有意差がなかったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.European Resuscitation Council Guidelines 2025 Paediatric Life Support(2025)欧州における小児一次救命処置(胸骨圧迫100〜120回/分、深さ胸郭前後径の少なくとも1/3、比率は訓練を受けた救助者15対2・それ以外30対2)と二次救命処置(除細動4 J/kg、可逆的原因の検索)の現行アルゴリズムを確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Part 6: Pediatric Basic Life Support: 2025 American Heart Association and American Academy of Pediatrics Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care(2026)AHA/AAP 2025小児BLSにおいて乳児の胸骨圧迫手技から2本指法が除外され、救助者数によらず両母指胸郭包み込み法(胸郭を包める場合)または片手掌基部法(包めない場合)を用いる更新を確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.2018 American Heart Association Focused Update on Pediatric Advanced Life Support: An Update to the American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care(2018)小児のショック抵抗性心室細動・無脈性心室頻拍において、アミオダロンとリドカインのいずれも投与の選択肢となり得ることを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.The accuracy of the Broselow tape as a weight estimation tool and a drug-dosing guide - A systematic review and meta-analysis(Resuscitation・2017)Broselowテープの体重推定精度に関する系統的レビュー・メタ解析で、実測体重の10%以内に収まった小児は全体で50%強にとどまり、低・中所得国の集団では体重の過大評価が顕著であったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  6. 6.Unchanged pediatric out-of-hospital cardiac arrest incidence and survival rates with regional variation in North America(Resuscitation・2016)北米9地域のResuscitation Outcomes Consortium登録(2007〜2012年、非外傷性院外心停止の小児1738例)で、年間生存率は6.7〜10.2%であり、乳児(生後3日〜1歳)で最も低く、周産期(生後3日未満、25%)・思春期(12〜19歳、17.3%)で相対的に高かったことを確認した。閲覧 2026-08-27