薬理学

薬理学 · Core2

臨床試験の種類

Core2: Types of clinical trials

前提:病態
Core1:薬物開発の段階(概要)
応用トピック
鎮痛薬の臨床開発腫瘍学における臨床試験オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)

🧠 全体像:には2つの独立した軸がある。ひとつは相(いつ・誰に・何を問うか)で、第I相の安全性 → 第II相の用量と予備的な有効性 → 第III相の検証 → 第IV相の市販後安全性と進む。もうひとつは設計の型(何と比べ、何を示し、誰をし、誰を解析に入れるか)で、これは相とに選べる。⚠️ 設計の選択は統計の問題であると同時に倫理の問題でもあり、を置いてよい条件はヘルシンキ宣言が明示的に限定している。

相——いつ・誰に・何を問うか

は、新しい薬物や治療の安全性と有効性をヒトで評価する。は承認の前または後に、それぞれ違う臨床的な問いに答える。

相 典型的な対象 規模の目安(米国規則)1 主な目的 重要な問い
第I相 患者または健常志願者 おおむね20〜80人 安全性、毒性、・ 安全か?
第II相 をもつ患者 通常は数百人を超えない 特定の適応での有効性と、よくある短期の副作用 患者で効くか?
第III相 な患者集団 数百人〜数千人 安全性・有効性の確認、または標準治療との比較 承認に十分な有効性と安全性があるか?
第IV相 市販後の実臨床の患者 — 長期の安全性と実臨床での有効性 承認後に何が起こるか?

⚠️ 相の区切りは絶対のものではない。 米国では相は法令上の区分だが、その規則自身が「一般に順番に行われるが、重なりうる」と書いている1。さらにICH E8(R1)はを相ではなく目的で分類し(ヒト薬理・探索的・検証的・承認後)、ある類型に挙げた目的が別の類型でも生じうると明記している2。相の詳細と探索的(通称「第0相」)は → Core1:の段階(概要)。

設計の型

(RCT)を基本形として、対照の置き方・示したい主張・の範囲・解析集団・割り付けの型という独立した軸の組み合わせで設計が決まる。

flowchart TD
  A["この適応に、証明された有効な治療があるか"] --> B["ない"]
  A --> C["ある"]
  B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='placebo-controlled'>プラセボ対照</span>を置ける<br>ヘルシンキ宣言 第33項"]
  C --> E["やむを得ない科学的・方法論上の理由があり<br>重篤または不可逆的な害の<br>追加リスクが無いか"]
  E --> F["条件を満たさない<br>→ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='active drug (as opposed to placebo)'>実薬</span>対照"]
  E --> G["条件を満たす<br>→ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='placebo-controlled'>プラセボ対照</span>も可<br>ただし乱用を避ける細心の注意"]
  F --> H["新治療が対照より優れると示したい<br>→ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='superiority'>優越性</span>試験"]
  F --> I["許容範囲を超えては劣らないと示したい<br>→ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-inferiority trial'>非劣性試験</span>"]
  D --> H

何と比べるか——プラセボ対照と実薬対照

対照試験はの代わりに既存の標準治療と比較する設計で、有効な治療が既にある疾患ではこちらが選ばれやすい。これは利便性の問題ではなく倫理上の要請である。

⚠️ ヘルシンキ宣言(2024年10月改訂版)第33項は、新しい介入は「最善の証明された介入」と比較するのが原則だとしたうえで、・無介入を使ってよい場合を2つに限定している3。

  1. 証明された介入が存在しない場合。
  2. やむを得ない科学的に妥当な方法論上の理由から最善の証明された介入以外・・無介入が必要であり、かつそれを受ける参加者が最善の証明された介入を受けないことで重篤または不可逆的な害の追加的リスクを負わない場合。

⚠️ 同項はこの2つを挙げた直後に「この選択肢の乱用を避けるため細心の注意を払わなければならない」と釘を刺している3。例外条項だけを覚えると、この但し書きが落ちる。

何を示したいか——優越性と非劣性

設計 示そうとすること 使いどころ
試験 新治療が対照より優れている 新治療にの効果を期待する場合
新治療が対照に比べ許容できる範囲を超えては劣らない 効果は同程度でも、安全性・利便性・費用など以外の利点がある場合

「許容できる範囲」を数値で決めたものがで、ここが設計の急所になる。

⭐ の決め方は恣意的になりうる。 273件(2000〜2015年発表)の系統的レビューでは、が対照薬の過去の有効性エビデンスに基づいて定義された件数とそれ以外の方法で定義された件数に有意差はなく、時代による改善も見られなかった。さらに273ののうち158件(57.9%)は決定方法そのものが報告されていなかった4。💡 ただし2010年のの指針案の公表後は fixed-margin 法の報告が増えており(3.54)、の文書が報告のしかたを動かすことは確かめられている4。

誰が盲検化されるか

されうるのは参加者・治療提供者・評価者・データ解析者で、どこまでするかは試験ごとに違う。

💡 「」という語だけでは意味が定まらない。 2001年発表のRCT 200件をし著者へ質問紙調査を行った研究では、156件(78%)が「double blind」と記載していたのに、患者・医療提供者・者のの状態を明示していたのは3件(2%)、いずれについても記載が無かったのが88件(56%)だった。回答した著者は「double blind」に15通りの異なる運用上の意味を与えており、しかも自分の定義が最も一般的だと考える傾向があった5。

⚠️ さらに、著者から回答が得られた「double blind」試験のうち20件(19%)は、患者・医療提供者・者のいずれもしていなかった5。この19%の分母は回答が得られた試験であって、上の156件ではない。

これを受けてCONSORTの説明資料は、「」と書くだけで済ませず、割り付け後に誰がされたかを明示して報告するよう求めている6。

誰を解析に含めるか

解析集団 含める対象 何が守られるか
最大の されたすべてのを含むというの理想にできるだけ近づけた集合7 で作った群間の比較可能性。脱落や治療変更による偏りが入りにくい
あらかじめ定めた最小限の曝露を完了し、主要の測定があり、重大な逸脱が無いだけ7 「計画どおり治療を受けたときの効果」の推定。ただし残す人を選んだ時点で偏りが入りうる

⚠️ どちらが保守的かは、示したい主張によって逆転する。 ICH E9は、試験では例外的な場合を除きFASを主解析に用いるとする一方、等価性・ではFASの使用は一般に保守的ではなく、その役割を慎重に検討すべきだと明記している7。理由は単純で、脱落したは両群とも反応が乏しい方向へ寄るため、FASの結果は「差が無い」=等価性を示す方向へ偏りうるからである7。

E9は、検証的試験ではFASとPPSの両方の解析を計画し、差があればそれを明示的に議論・解釈するのが通例だとしている7。

⭐ ただしこの枠組みは2019年に更新されている。 ICH E9(R1)附録は、まず=試験の目的が問うている臨床的な問いを反映した治療効果の正確な記述を定義する枠組みを導入したうえで、「この附録の枠組みでは、PPSの解析が整合する推定目標を構成できないことがある」と述べ、PPSの解析の意味と役割を再検討している8。「ITTとPPの2つを並べる」で止めず、何を推定しようとしているのかを先に決めるという現行の考え方まで押さえる。

割り付けの型

  • 並行群間:を群に分け、別々の治療を同時に受ける。最も一般的。
  • 交差試験():同一のが複数の治療を順番に受け、個人内で比較する。慢性で安定した病態で、前の治療の(キャリーオーバー)ができる場合に向く。
  • :対照群を置かず、全員が同じ治療を受ける。や、がほぼ確実に不良で対照を置く意味が乏しい場面で使われる。

新しい型——アダプティブデザインとマスタープロトコル

⚠️ この2つは別の概念で、混ぜて数えない。

型 何が新しいか
アダプティブデザイン 蓄積されるデータに基づいて、あらかじめ計画した範囲で試験の途中に変更を加える(の変更、用量の変更など)2
1つの包括的なプロトコルの下で複数の薬剤や複数の病態を調べる2

マスタープロトコルはさらに3つに分かれる9。

型 組み立て 覚え方
共通の予測などを組入れ基準とし、複数の疾患を1つの試験に入れる 1つの薬を、同じ分子異常をもつ多くの病気へ
単一の疾患の集団を予測などで複数の部分集団に層別する 1つの病気を、分子ごとに複数の薬へ
試験の途中で介入群を中止でき、新しい介入を追加できる。事前に定めた判断規則で薬が出入りする 試験を「場」として継続させる

2019年7月8日時点の系統的レビューでは、マスタープロトコルは83件(バスケット49件・アンブレラ18件・プフォーム16件)で、直近5年間で急増していた。米国で実施されたものが44/83、実験的薬剤を扱うものが82/83、腫瘍領域のものが76/83である9。

💡 型ごとに成熟度が違う。 バスケット試験は47/49が探索的(第I/II相)で44/49が非、症例数の中央値205例にとどまるのに対し、プフォーム試験は15/16がされている9。「新しい設計=検証力が高い」ではない。

試験登録と出版バイアス

試験の結果が出てから何を報告するかを決められると、都合のよい結果だけが世に出る。これを防ぐ仕組みが事前の試験登録である。

  • ヘルシンキ宣言第35項は、最初の参加者を組み入れるより前に、公開されたデータベースへ登録することを求めている3。
  • 医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は2004年9月、2005年7月以降は登録されていないを掲載しないと発表した。以降、国際登録プフォーム(ICTRP)への年間登録は2004年3,294件 → 2005年15,752件 → 2013年23,384件と増えた10。
  • ⚠️ ただし普及の速さには地域差がある。インドと日本では、宣言だけでなく各国での義務化の措置を経て初めて登録が進んだ10。宣言は必要条件であって十分条件ではない。

登録が必要になった背景には、実測された・報告がある11。

  • 統計学的に有意な結果を示したほど完全に報告されやすい(3件の研究で2.2〜4.7)。
  • プロトコルと実際の公表論文を比べると、40〜62%の研究で主要が変更・追加・削除されていた。

⭐ だから論文を読むときは「何が報告されたか」だけでなく「登録時に何をとしていたか」を見る。 事前登録を確認できない試験の主要は、後から選ばれた可能性を排除できない。

例

  • 第I相:新規抗がん薬で、安全性・毒性を確認し、も参考にすることがある。
  • 第II相:で、用量・とへの効果をみる。
  • 第III相:で、現在の標準治療と比較する。
  • 第IV相:抗精神病薬で、における長期の安全性・有効性を評価する。

まとめ

  • 相は「いつ・誰に・何を問うか」——1=安全性、2=用量と初期の有効性、3=検証と比較、4=実臨床での監視。⚠️ 米国では法令上の区分だが、同じ規則が「相は重なりうる」と書いており1、ICH E8(R1)は相ではなく目的による分類を採る2。
  • 設計は相とは別の軸。何と比べるか/何を示すか/誰をするか/誰を解析に含めるか/どう割り付けるかの組み合わせで決まる。
  • を置いてよいのは、①証明された介入が存在しないか、②やむを得ない方法論上の理由があり、かつ重篤・不可逆的な害の追加リスクが無い場合に限られる。ヘルシンキ宣言第33項は乱用を避けるための細心の注意まで求めている3。
  • の急所はの決め方で、273件のうち158件(57.9%)は決定方法が報告されていなかった4。
  • 解析集団は最大の解析(FAS、ITTの理想に近づけた集合)と実施計画書適合集団(PPS)。試験ではFASが主解析だが、等価性・ではFASは一般に保守的でない7。2019年のE9(R1)はを先に定義する枠組みへ移り、PPSの役割を再検討している8。
  • 「」は誰をしたかを書かないと意味が定まらない。著者調査で15通りの運用上の意味が出ており、回答が得られた「double blind」試験の19%は誰もしていなかった5。CONSORTの説明資料は誰がされたかの明示を求める6。
  • アダプティブデザインとマスタープロトコルは別概念。マスタープロトコルはバスケット(多疾患・共通)/アンブレラ(単一疾患・多部分集団)/プフォーム(群の出入り)の3型で、2019年7月時点で83件9。
  • 試験登録はヘルシンキ宣言第35項の要請で、最初の参加者の組入れより前に行う3。背景には、有意な結果ほど完全に報告され、40〜62%の研究で主要が動いていたという実測がある11。

出典

  1. 1.21 CFR 312.21 — Phases of an investigation(米国連邦規則集(eCFR。米国食品医薬品局の治験薬申請〈IND〉規則)・1987)eCFRの現行版を取得して当該条の全文で確認した(Part 312 の出典表示は 52 FR 8831, Mar. 19, 1987)。米国では相が法令上の区分として定義されており、逐語「The clinical investigation of a previously untested drug is generally divided into three phases. Although in general the phases are conducted sequentially, they may overlap」と、3相に分かれることと相が重なりうることを明記すること。Phase 1 は逐語「may be conducted in patients or normal volunteer subjects」で被験者数は逐語「generally in the range of 20 to 80」、Phase 2 は逐語「usually involving no more than several hundred subjects」、Phase 3 は逐語「usually include from several hundred to several thousand subjects」であること。Phase 2 は逐語「the controlled clinical studies conducted to evaluate the effectiveness of the drug for a particular indication or indications」であること。閲覧 2026-09-21
  2. 2.ICH Harmonised Guideline E8(R1): General Considerations for Clinical Studies(ICH(医薬品規制調和国際会議)・2021)公式PDF(29頁)の全文で確認した。2021年10月6日にStep 4として採択。付録は臨床試験を相ではなく目的で Human Pharmacology / Exploratory / Confirmatory / Post-Approval の4類型に分け、逐語「Study objectives appearing under one type may also occur under another」と述べること。本文は逐語「adaptive design studies allow prospectively planned modifications to the study, such as changes in the population studied or changes in doses of the drug studied over the course of the study, based on accumulating data」「Master protocol studies allow for the investigation of multiple drugs or multiple conditions under a shared framework」「Platform studies allow for multiple drugs to be investigated in a continuous manner, with different drugs entering the study at different times and leaving the study based on pre-specified decision rules」と定義すること。4.3.1項はヒトへの初回投与試験について、健常志願者でも対象疾患をもつ患者から選んだ集団でも行いうるとすること。本文に seamless は0件(陽性対照 clinical stud は57件)。閲覧 2026-09-21
  3. 3.World Medical Association Declaration of Helsinki: Ethical Principles for Medical Research Involving Human Participants(World Medical Association・2024)WMA公式ページの全文で確認した(1964年ヘルシンキ採択、直近の改訂は2024年10月ヘルシンキの第75回WMA総会)。第33項 Use of Placebo は、新しい介入を逐語「the best proven intervention(s)」と比較することを原則とし、例外を2つだけ認めること——(1) 証明された介入が存在しない場合、(2) やむを得ない科学的に妥当な方法論上の理由から最善の証明された介入以外・プラセボ・無介入が必要であり、かつそれを受ける参加者が最善の証明された介入を受けないことで重篤または不可逆的な害の追加的リスクを負わない場合。同項は逐語「Extreme care must be taken to avoid abuse of this option」で締めくくられること。第35項は逐語「Medical research involving human participants must be registered in a publicly accessible database before recruitment of the first participant」と、最初の参加者の組入れより前の試験登録を求めること。閲覧 2026-09-21
  4. 4.Methods of defining the non-inferiority margin in randomized, double-blind controlled trials: a systematic review(Trials・2017)PMC5341347の全文で確認した。1966年1月1日〜2015年2月6日を検索し、採用された無作為化二重盲検非劣性試験273件(273のマージン。実際の発表年は2000〜2015年)の系統的レビュー。マージンが実薬対照薬の過去の有効性エビデンスに基づいて定義された件数と、それ以外の方法で定義された件数に有意差はなく(比2.17、95%CI 0.86〜5.82、p=0.11)、時代による変化もなかったこと。逐語「The method was not reported for 158 of 273 margins (57.9%)」=決定方法そのものを報告していないマージンが158件(57.9%)あったこと。低インパクトファクター誌では報告がさらに少なかったこと(OR 0.20、95%CI 0.10〜0.37、p<0.0001)。逐語「The publication of the FDA draft guidance in 2010 was associated with increased reporting of the fixed-margin method」(OR 3.54、95%CI 1.12〜13.35、p=0.04)。閲覧 2026-09-21
  5. 5.Who is blinded in randomized clinical trials? A study of 200 trials and a survey of authors(Clinical Trials・2006)PubMedの構造化抄録で確認した(全文はPMC未収載)。Cochrane中央登録から無作為抽出した2001年発表の盲検化無作為化比較試験200件のコホート研究と、著者への質問紙調査。156件(78%)が自らを「double blind」と記載していたが、患者・医療提供者・データ収集者の盲検化の状態を明示していたのは3件(2%)、いずれの関係者についても記載が無かったのが88件(56%)、「double blind」以外の盲検化情報がまったく無かったのが41件(26%)であること。著者調査には130件(65%)が回答し、患者が盲検化されていたのは101件(97%)、医療提供者は93件(89%)、逐語「Twenty (19%) double blind trials had not blinded either patients, health care providers or data collectors」=20件(19%)はいずれも盲検化していなかったこと。⚠️ この19%の分母は回答が得られた「double blind」試験であって、156件ではない。回答者は「double blind」に逐語「15 different operational meanings」を与えており、自分の定義が最も一般的だと考える傾向があったこと。閲覧 2026-09-21
  6. 6.CONSORT 2025 Explanation and Elaboration — Item 20a: Who was blinded(CONSORT(RCTの報告に関する国際的統一基準)・2025)このurlが返すページの全文で確認した。項目20aは逐語「Who was blinded after assignment to interventions (eg, participants, care providers, outcome assessors, data analysts)」を報告するよう求め、Box 7 は「double blind」等の用語を定義なしに単独で使うのをやめるべきだと述べる。理由として挙がるのは、臨床家の解釈と疫学教科書の定義に大きなばらつきがあること(参考文献323)と、逐語「a study of 200 randomised trials reported as double blind demonstrated 18 different combinations of groups actually blinded when the authors of these trials were surveyed, and approximately one in every five of these trials—reported as double blind—did not blind participants, healthcare providers, or data collectors」(参考文献324)で、いずれも本文書自身のデータではない。⚠️ このページは逐語「The 2025 update of SPIRIT and CONSORT, and this website, are funded by the MRC-NIHR」と記し、全30項目のうちの項目20aを示す CONSORT 2025 の説明資料である。id・title・year が示す2010年版ではない。当該entryは src/content/topics/bioethics-y3/04-medical-research-on-humans.md と逐語で共有されているため、割れを作らないよう本ノートでは id・url・title・org・year を変更していない。閲覧 2026-09-21
  7. 7.ICH Harmonised Tripartite Guideline E9: Statistical Principles for Clinical Trials(ICH(医薬品規制調和国際会議)・1998)公式PDF(39頁)の全文で確認した。Current Step 4 version は1998年2月5日付。用語集は最大の解析対象集団(full analysis set)を逐語「the analysis set which is as complete as possible and as close as possible to the intention-to-treat ideal of including all randomised subjects」と定義し、実施計画書適合集団(per protocol set)を、あらかじめ定めた最小限の曝露の完了・主要変数の測定の存在・重大な逸脱の不在といった基準で特徴づけられる部分集合と定義すること。5.2.3項は逐語「In confirmatory trials it is usually appropriate to plan to conduct both an analysis of the full analysis set and a per protocol analysis, so that any differences between them can be the subject of explicit discussion and interpretation」と述べ、続けて逐語「In superiority trials the full analysis set is used in the primary analysis (apart from exceptional circumstances)」「However, in an equivalence or non-inferiority trial use of the full analysis set is generally not conservative and its role should be considered very carefully」と、優越性試験と等価性・非劣性試験で役割が逆になることを明記すること。3.3.2項は逐語「the results of using the full analysis set may be biased toward demonstrating equivalence」とその理由を述べること。閲覧 2026-09-21
  8. 8.ICH Harmonised Guideline E9(R1): Addendum on Estimands and Sensitivity Analysis in Clinical Trials to the Guideline on Statistical Principles for Clinical Trials(ICH(医薬品規制調和国際会議)・2019)公式PDF(22頁)の全文で確認した。2019年11月20日にStep 4として採択されたE9への附録。推定目標(estimand)を逐語「A precise description of the treatment effect reflecting the clinical question posed by the trial objective」と定義し、治療開始後に生じて測定の解釈や存在に影響する事象を中間事象(intercurrent events)として扱う枠組みを導入すること。A.5.3項は、E9の5.2.3項が最大の解析対象集団と実施計画書適合集団の両方の解析を計画するのが通例だとしている点を引いたうえで、逐語「In respect of the framework presented in this addendum, it may not be possible to construct a relevant estimand to which analysis of the PPS is aligned」と述べ、実施計画書適合集団の解析の意味と役割を再検討していること。閲覧 2026-09-21
  9. 9.Systematic review of basket trials, umbrella trials, and platform trials: a landscape analysis of master protocols(Trials・2019)PMC6751792の全文で確認した。2019年7月8日時点の系統的文献検索で、マスタープロトコル83件(バスケット試験49件・アンブレラ試験18件・プラットフォーム試験16件)を同定し、直近5年間で急増していたこと。米国で実施されたものが44/83、実験的薬剤を扱うものが82/83、腫瘍領域のものが76/83であること(この3つは別々の数)。バスケット試験は47/49が探索的(第I/II相)、44/49が非無作為化で、症例数の中央値205例。アンブレラ試験は16/18が探索的、8/18が無作為化、中央値346例。プラットフォーム試験は15/16が無作為化。定義は逐語で、バスケット試験=共通の予測バイオマーカー等を組入れ基準として複数の疾患を対象とする、アンブレラ試験=単一疾患の集団を予測バイオマーカー等で複数の部分集団に層別する、プラットフォーム試験=試験中に介入群を中止し新しい介入を追加できる。⚠️ アダプティブデザインはこの83件の内訳に含まれない。同語は検索の感度を上げるための検索語として使われただけである。閲覧 2026-09-21
  10. 10.Trends in global clinical trial registration: an analysis of numbers of registered clinical trials in different parts of the world from 2004 to 2013(BMJ Open・2015)PMC4593134の全文で確認した。医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)が2004年9月に、2005年7月以降はすべての臨床試験を登録しなければ掲載しないと発表して以降、国際臨床試験登録プラットフォーム(ICTRP)への年間登録件数が2004年3,294件・2005年15,752件・2013年23,384件へ増えたこと(2004〜2013年で7倍、臨床試験の論文数に対する相対では5倍)。ICTRPには186,523件の介入試験が収載されていたこと。地域差が大きく、逐語「In India and Japan, two countries with marked but more gradual increases, these increases only happened after several local measures were implemented that encouraged and enforced registration」=インドと日本では現地での義務化の措置の後にようやく増加が進んだこと。閲覧 2026-09-21
  11. 11.Systematic review of the empirical evidence of study publication bias and outcome reporting bias - an updated review(PLoS ONE・2013)PMC3702538の全文で確認した。出版バイアス・アウトカム報告バイアスに関する経験的エビデンス20件(インセプションコホート)をまとめた更新系統的レビュー。逐語「Three studies have found that statistically significant outcomes had a higher odds of being fully reported compared to non-significant outcomes (range of odds ratios: 2.2 to 4.7)」=オッズ比2.2〜4.7という幅は3件の研究の範囲であること。逐語「In comparing trial publications to protocols, we found that 40–62% of studies had at least one primary outcome that was changed, introduced, or omitted」=プロトコルと公表論文を比べると40〜62%の研究で主要アウトカムが変更・追加・削除されていたこと。研究間の異質性のためメタ解析は行っていないこと。閲覧 2026-09-21