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Disease Atlas · 神経 · 先天性疾患

脊髄縦裂

Diastematomyelia

別名
split cord malformation脊髄分離症
臓器系
神経運動器
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-20:脊椎・脊髄の形成異常
合併症
脊髄係留症候群
関連疾患
先天性側弯症
症状
脊柱側弯症筋力低下

🧠 全体像:は、本来1本であるはずの脊髄が正中の骨性・軟骨性・線維性の中隔で縦に2分されるである。⭐ この中隔が脊髄を文字どおり串刺しにして固定するため、は単独の解剖学的珍しさではなく、ほぼ必然的にを伴う病態として扱う必要がある。だからの手術を計画するとき、を見つけたらまず係留を解除してからを矯正するという順序が動かせなくなる。

何が2つに分かれているのか——Pang分類

は、脊髄が正中の中隔によって縦方向に2つの半側へ分割される先天性神経奇形である。中隔の性状と、それぞれの半側が別々の硬膜管に包まれているかどうかで2つの型に分かれる(Pang分類)1。

型 中隔 硬膜管 重症度
Type I 骨性または軟骨性の中央隆起 2つの半側が別々の硬膜管に包まれる より重症。・肋骨異常がより複雑1
Type II 非硬性の線維性中隔 2つの半側が単一の硬膜管を共有する より軽症

外科手術を受けた266例の検討では、Type Iが104例(39.1%)、Type IIが162例(60.9%)だった1。

💡 どちらの型でも、中隔そのものが脊髄を係留する。 Type Iの骨性中隔は硬膜管ごとを貫くため物理的な固定が強く、Type IIの線維性中隔もまた脊髄の自由な移動を妨げる。型の違いは「中隔の硬さ」であって、「係留するかどうか」ではない。

flowchart TD
    A["正中の中隔が脊髄を縦に2分する"] --> B{"中隔の性状は"}
    B -->|"骨性・軟骨性"| C["Type I:半側ごとに別の硬膜管"]
    B -->|"線維性"| D["Type II:単一の硬膜管を共有"]
    C --> E["中隔が脊髄を強固に固定する"]
    D --> E
    E --> F["脊柱の成長・伸展のたびに牽引される"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tethered cord syndrome'>脊髄係留症候群</span>"]

皮膚のマーカー

⭐ 半数を超える症例で、脊柱の分割部位を覆う皮膚に手掛かりが出る。 、、血管腫、、、などが挙げられる2。これらは必発ではなく、を伴わない例も報告されている2。

💡 正中の皮膚所見は、脳・脊髄・皮膚がいずれも外胚葉由来であるという発生学的な近さを反映している——皮膚の異常が、その真下にある脊髄の異常を予告する。

先天性側弯症との合併

患者における脊髄内異常の合併頻度は18〜38%と報告されている1。はその内訳の一つで、・・と並んで挙げられる3。

⚠️ この合併率の高さから、の全例に脊椎が強く推奨される3。266例の検討でも、全例がの型と位置を評価するために脊椎全体のと検査を受けている1。

手術の順序——係留解除が先

⚠️⚠️ を伴うは、の矯正手術より先に解除しなければならない3。266例の検討でも、を伴う病変については矯正手術に先立って予防的な神経外科的処置を行うことが慎重な対応とされている1。

⚠️ 順序を逆にする危険性は、のノートで説明した牽引の力学と同じである。 未診断・未処置の中隔と係留を残したまま脊柱を矯正で伸ばすと、固定された脊髄がそのぶん牽引され、神経障害を招く。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital scoliosis'>先天性側弯症</span>の術前<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diastematomyelia / split cord malformation'>脊髄縦裂</span>を検出"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tethered cord'>脊髄係留</span>を伴うか"}
    C -->|"あり"| D["まず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tethered cord'>脊髄係留</span>解除術<br>(中隔の切除)"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scoliosis (lateral spinal curvature)'>側弯</span>矯正手術"]
    C -->|"なし・軽微"| E

まとめ

  • は、正中の中隔(骨性・軟骨性・線維性)が脊髄を縦に2つの半側へ分割するで、Pang分類でType I(別々の硬膜管、rigidな中隔)とType II(単一の硬膜管、線維性中隔)に分かれる。
  • ⭐ 半数を超える症例で・・血管腫・などの皮膚マーカーを伴う。
  • 患者の18〜38%に脊髄内異常が合併し、はその代表格である。この頻度の高さからの全例に脊椎が推奨される。
  • ⚠️⚠️ 中隔が脊髄を係留するため、をほぼ必発で合併する。の矯正手術より先に係留を解除するという順序を守らないと、牽引による神経障害を招く。

出典

  1. 1.Radiographic characteristics in congenital scoliosis associated with split cord malformation: a retrospective study of 266 surgical cases(BMC Musculoskeletal Disorders(Feng F ほか)・2017)全文を閲覧。脊髄縦裂(split cord malformation)が脊髄が縦方向に2分される稀な先天性神経奇形であること、Pang分類でtype I(2つの脊髄半側がそれぞれ別の硬膜管に包まれ骨性または軟骨性の中央隆起で分離される、より重症な型)とtype II(2つの脊髄半側が単一の硬膜管内で非硬性の線維性中隔により分離される型)に分かれること、外科手術を受けた266例のうちtype Iが104例(39.1%)・type IIが162例(60.9%)であったこと、先天性側弯症患者における脊髄内異常の合併頻度が18〜38%と報告されていること、全例が脊髄縦裂の型と位置を評価するため脊椎全体のMRIとCT検査を受けたこと、脊髄係留を伴う病変については側弯矯正手術より前に予防的な神経外科的処置を行うことが慎重な対応と考えられること、type I群はtype II群と比較してより広範かつ複雑な椎体奇形とより複雑な肋骨異常を呈したことを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.A Sacral Mass in a Newborn: A Variant of Type II Diastematomyelia with Triple Splitting of the Cord(Case Reports in Pediatrics(Shatla ES ほか)・2013)全文を閲覧。脊髄縦裂の皮膚マーカーとして多毛斑・皮膚陥凹・血管腫・皮下腫瘤・脂肪腫・奇形腫が症例の半数を超えて認められること、本症例(新生児の仙骨部腫瘤としてのtype II脊髄縦裂で脊髄が3分岐する変異型)では皮膚洞は伴わなかったことを確認した。閲覧 2026-09-06
  3. 3.Congenital Scoliosis: A Comprehensive Review of Diagnosis, Management, and Surgical Decision-Making in Pediatric Spinal Deformity-An Expanded Narrative Review(Journal of Clinical Medicine(Grabala P)・2025)脊柱管内異常(脊髄係留・脊髄空洞症・Chiari奇形・脊髄縦裂)の検出のため先天性側弯症の全例にMRIが強く推奨されること、脊髄係留は側弯の矯正手術より先に解除しなければならないこと、泌尿生殖器系の異常が20〜30%・心血管系の異常が10〜15%・中枢神経系の異常が15〜20%に生じるとされることをEurope PMCの全文(PMC12653983)で確認した。閲覧 2026-09-06