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Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬

エンフビルチド

enfuvirtide

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(EU)
Fuzeon
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1

🧠 全体像:(T-20)は最初の、そして現在も唯一のであり、侵入過程の中でも(結合)よりさらに先のそのものを止める。を標的にした初めてのでもあり、経口では消化管で分解されてしまうため皮下注射でしか投与できないというが、機序の理解と同じくらい重要な臨床上の特徴になっている。多剤耐性に対する薬として2000年代前半に登場した歴史的意義は大きいが、経口の新規クラスが充実した現在は使用頻度が大きく減っている。

機序

flowchart TD
    A["gp120がCD4と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='co-receptor'>共受容体</span>に結合"] --> B["gp41のHR1領域が露出し<br>6本のヘリックスが束ねられる準備に入る"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enfuvirtide'>エンフビルチド</span>がgp41のHR1領域に<br>おとりのように結合"]
    C --> D["HR1とHR2が正しく束ねられず<br>6ヘリックス束(fusion pore形成に必須)が完成しない"]
    D --> E["ウイルス膜と細胞膜の融合が起こらず<br>侵入を阻止"]

💡 自体がgp41のHR2領域を模倣したペプチドである。 「本物のHR2」の代わりに結合することでHR1をおとりに引っかけ、という物理的なそのものを止める——ではなく、蛋白質どうしの会合を邪魔するという発想がこの薬を特徴づけている。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 のため経口では失活する。皮下注射のみ
投与 1日2回皮下注射()
半減期 約4時間と短く、頻回投与が必要
代謝 系をほとんど介さないによる消失。関連の相互作用が少ないのは他のにない利点

適応

多剤耐性感染で、経口の他クラス(・・・PI)による最適化されたレジメンを組んでもなお十分に抑制できない、あるいは組めないの局面で、他のと併用する1。

用法・用量

1回90mgを1日2回皮下注射する。上腕・大腿・腹部など注射部位をローテーションする。溶解操作と手技のが治療継続の鍵になる。実際の用量・手技は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 注射部位反応がほぼ全例に出現する。 疼痛・紅斑・・結節が典型で、治療中断の最大の理由になる1
  • ⚠️ の上昇がで観察されており、機序は明確でないが呼吸器症状の出現に注意する(Fuzeon群3.2件/100人年 対 対照群0.6件/100人年)1
  • まれに全身性の過敏反応(発疹・発熱・悪心・・低血圧など)が起こり、注射部位反応とは区別して評価する。過敏反応が疑われる場合は再投与しない

副作用

頻度 内容
高頻度 注射部位反応(疼痛・紅斑・・結節)——ほぼ全例
注意 の上昇、末梢神経障害
重篤・まれ 全身性過敏反応

まとめ

  • 最初で唯一の。gp41のHR1領域にHR2模倣ペプチドとして結合し、6ヘリックス束の形成を阻害してを止める。
  • 侵入阻害の中では(gp120付着)→(CCR5結合)→()という順で、最も下流の段階を狙う。
  • 2003年の承認以来、1日2回の皮下注射という投与負担の大きさが、経口の新規クラスが充実した現在では使用頻度低下の主因になっている2。
  • のため経口不可、1日2回の皮下注射のみ。関連相互作用は少ない。
  • 注射部位反応がほぼ必発で、治療継続の障壁になっている。
  • 多剤耐性のという狭いが重要な役割を持つ。

出典

  1. 1.FUZEON (enfuvirtide) for injection, for subcutaneous use(Genentech/Roche / DailyMed (U.S. FDA)・2003)エンフビルチド(Fuzeon)は米国で2003年に承認され、適応は他の抗レトロウイルス薬にもかかわらずウイルス複製が続く治療経験のあるHIV-1感染に他の抗レトロウイルス薬と併用することであること、成人は90mgを1日2回皮下注射すること、臨床試験で細菌性肺炎の発生率が対照群0.6件/100人年に対しFuzeon群3.2件/100人年と高かったこと、被験者の98%が疼痛・紅斑・結節・嚢胞・皮下出血などの注射部位反応を少なくとも1回経験したことを確認閲覧 2026-08-27
  2. 2.Enfuvirtide(LiverTox, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases・2018)エンフビルチドは最初のHIV融合阻害薬として2003年に米国で承認されたが、1日1〜2回の非経口投与(皮下注射)を要することが主な理由で使用が限定的にとどまっていることを確認閲覧 2026-08-27