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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬

ビロベリマブ

vilobelimab

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
承認適応
COVID-19
標的微生物
SARS-CoV-2

🧠 全体像:ビロベリマブは、(IL-6阻害)や(JAK阻害)とは異なる経路——のC5a——を狙うである。またはECMOを要する最重症のCOVID-19患者に限って、開始48時間以内という狭いで投与するのが特徴で、標準治療(+IL-6阻害薬またはJAK阻害薬)にする位置づけであり、置き換える薬ではない。

薬効群の中での位置づけ

を要する重症COVID-19では、複数の炎症経路を標的とする薬が併用される。

薬剤 標的経路 位置づけ
全身性ステロイド 酸素投与を要する全例の基本治療
・ IL-6(受容体)阻害 炎症増悪例へのステロイド
JAK阻害 同上(IL-6阻害薬の代替枠)
ビロベリマブ a阻害 IMV/ECMO開始48時間以内という狭いに限定した、標準治療への1

💡 「(MAC)は残す」という選択的な補体阻害が設計の核心。 古典的なが全体(C5開裂そのもの)を止めるのに対し、ビロベリマブはC5aだけを中和し、病原体を直接破壊するMAC形成能は温存する。これにより過剰な炎症(の一因とされるC5a由来の好中球活性化)を抑えつつ、易感染性を高めにくい設計とされる2。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='complement activation'>補体活性化</span>によりC5からC5aが開裂"] --> B["C5aがC5a受容体に結合"]
    B --> C["好中球の過剰な活性化・組織への浸潤"]
    C --> D["肺の炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue injury'>組織傷害</span>が増悪(COVID-19の重症化機序の一つ)"]
    E["ビロベリマブ(抗C5a<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chimeric antibody'>キメラ抗体</span>)がC5aに結合"] --> F["C5aとC5a受容体の結合を阻害"]
    F -.->|"C5a由来の炎症だけを止める"| C
    A -.->|"C5開裂そのものは妨げない"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane attack complex (MAC)'>膜侵襲複合体</span>(MAC)形成能は温存"]

適応

(IMV)またはECMOの開始から48時間以内に投与を開始する、入院中の成人COVID-19患者に対する治療薬として、FDAが2023年4月4日に(EUA)を発行した21。根拠は第3相PANAMO試験で、標準治療へのにより28日率が31%(ビロベリマブ群)対40%(プラセボ群)、60日死亡率が35%対46%と、いずれもビロベリマブ群で低かった3。

用法・用量

800mgを1回量とし、1・2・4・8・15・22日目の最大6回、30〜60分かけてする(入院中に限る)1。

禁忌・注意

限られたデータに基づくのため、本EUAの下では禁忌が特定されていない1。を要する最重症患者への投与のため、感染症(肺炎・敗血症など)を含む合併症の頻度が高い背景を踏まえ、投与判断は個別に行う。

副作用

で3%以上の頻度で報告された有害事象は、肺炎(31.4%)、敗血症(21.7%)、せん妄(12.6%)、肺塞栓症(10.9%)、高血圧(9.1%)、気胸(8.0%)、(6.3%)、(6.3%)、(5.7%)、血小板減少(4.6%)、皮疹(3.4%)であった1。中の最重症患者集団を対象としているため、これらの多くは基礎疾患・自体に伴う合併症と重なる。

まとめ

  • ビロベリマブはC5aに結合するで、C5a受容体との結合を阻害しつつ(MAC)形成能は温存する選択的なである。
  • 適応はまたはECMO開始から48時間以内の入院成人COVID-19患者に限られ、標準治療(+IL-6阻害薬またはJAK阻害薬)へのとして位置づけられる。米国では2023年4月4日にEUAが発行された。
  • 用法は800mgを最大6回(1・2・4・8・15・22日目)する。
  • 根拠となったPANAMO試験(第3相)では、28日死亡率31%対40%、60日死亡率35%対46%とビロベリマブ群で低かった。
  • 限られたデータに基づくEUAのため禁忌は特定されていない。有害事象は肺炎・敗血症・せん妄など、最重症患者に伴う合併症がを占める。

出典

  1. 1.GOHIBIC- vilobelimab injection, solution, concentrate(InflaRx GmbH(DailyMed 掲載、2025年1月23日改訂版)・2025)ビロベリマブがマウス由来の可変領域とヒトIgG4定常領域からなるキメラ型モノクローナル抗体で補体活性化産物C5aに結合しそのC5a受容体への結合を阻害するキメラ抗体であること、緊急使用許可(EUA)の対象が侵襲的人工呼吸(IMV)またはECMOの開始から48時間以内に投与を開始する入院成人COVID-19患者であること、用法が800mgを1・2・4・8・15・22日目の最大6回、30〜60分かけて静脈内投与すること、限られたデータに基づくため本EUAの下では禁忌が特定されていないこと、高頻度の有害事象(3%以上)として肺炎(31.4%)・敗血症(21.7%)・せん妄(12.6%)・肺塞栓症(10.9%)が報告されたことを確認した。閲覧 2026-09-29
  2. 2.Letter of Authorization: Emergency Use Authorization for Vilobelimab (GOHIBIC)(U.S. Food and Drug Administration・2023)許可書(EUA 118)の全文を取得して確認した。FDAが2023年4月4日にビロベリマブ(GOHIBIC)の緊急使用許可を発行し、対象を侵襲的人工呼吸(IMV)またはECMO開始から48時間以内に投与を開始する入院COVID-19成人患者としたこと、根拠が第3相PANAMO試験(NCT04333420)のデータであること、2023年4月12日にはリコール関連の条件Hの追記と登録・リスト化要件(条件J)の追加のためEUAを改訂・再発行したことを確認した。閲覧 2026-09-29
  3. 3.Anti-C5a antibody (vilobelimab) therapy for critically ill, invasively mechanically ventilated patients with COVID-19 (PANAMO): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial(The Lancet Respiratory Medicine・2022)PANAMO試験(9か国46施設、侵襲的人工呼吸中でPaO2/FiO2比60〜200mmHgの重症COVID-19成人患者を対象とした第3相二重盲検プラセボ対照試験)で、ビロベリマブ800mgを1・2・4・8・15・22日目に最大6回静注する群とプラセボ群を比較し、28日全死因死亡率がビロベリマブ群177例中54例(31%)・プラセボ群191例中77例(40%)、60日死亡率が177例中62例(35%)・191例中87例(46%)であったこと、標準治療(抗凝固薬・デキサメタゾン等の免疫調節薬を含む)に上乗せする形で投与されたことを確認した。閲覧 2026-09-29