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Imaging findings · Published

iNPH様所見を伴う無症候性脳室拡大

Asymptomatic ventriculomegaly with features of iNPH

別名
AVIM
臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-16:髄液循環障害(水頭症)
関連疾患
水頭症

🧠 全体像:AVIMが示すのは疾患名ではなく、「DESHに似た画像所見はあるのに、の三徴(・尿失禁)が無い」という画像と症候の乖離そのものである。で決めるのはの可否ではなく経過観察に乗せるかどうかという次の行動であり、無症候である限りシャント手術の適応にはならない。

所見の定義

AVIMは、の画像所見を示しながら臨床的に無症候(三徴のいずれも欠く)である症例と定義される1。ここでいうの画像所見とは、(Evans Index>0.3)に・正中部のの開大を伴うDESH様の分布であり、各所見の法そのものはDESHの項に譲る。

⭐ AVIMを分けるのは所見の程度ではなく症候の有無である。同じ画像所見でも三徴のうち1つでもあれば疑いとして扱われ、無ければAVIMにとどまる。

DESH・iNPHとの関係

3つの語は指す対象のレイヤーが異なり、混同すると次の行動を誤る。

何を指すか 症候の要否 次に取るべき行動
DESH の不均衡な分布という画像パターンの名前 問わない 三徴と合わせての診断手順に組み込む
三徴を伴う疾患名を満たしたもの) 三徴のうち1つ以上が必須 等でを判断
AVIM DESH様の画像所見を示すが臨床的に無症候という状態 三徴なしが定義そのもの シャントではなく経過観察

モダリティと写り方

評価の主体はDESHと同じくで、の分布・を同一断面で評価する。CTは初期スクリーニングには使えるが、の狭小化やはMRIほど鋭敏でない。

⚠️ 単回の画像所見だけではAVIMが将来症候化するかを予測できない。 過去画像との比較で拡大や狭小化が進行しているかを確認することが、経過観察の中心になる。

症候化のリスクを上げる所見

AVIMの一部は数年の経過で症候化し、へ移行する。日本の地域住民ベース研究では追跡できた8例中4例が4〜8年の追跡で症候化し、年間6〜12%に相当する進行率が報告されている1。別の病院ベース多施設前向き研究では、登録された93例のうち3年間追跡できた52例中27例(52%)がへ進行し、年間進行率は約17%であった2

⭐ この多施設研究では年齢・血管危険因子・Evans Index・DESH所見など複数の候補因子を検討したが、有意に進行を予測したのはベースラインの<a href=“/scores/inph-grading-scale” class=“wikilink” data-goes-to=“ grading scale”>GS得点のみで、やDESH所見そのものの有無は予測因子として確認されなかった2。所見の派手さではなく、軽微でも臨床的な兆候をどれだけ拾えているかが症候化予測の鍵になる。

評価の進め方

flowchart TD
    A["偶発的に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>やDESH様所見を指摘"] --> B["過去画像があれば比較し、拡大・狭小化が進行しているか確認"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gait disturbance'>歩行障害</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive decline'>認知機能低下</span>・尿失禁の三徴のいずれかがあるか"}
    C -->|"三徴なし(無症候)"| D["AVIMとして経過観察。画像と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic normal pressure hydrocephalus'>iNPH</span>GS等を定期的に再評価"]
    C -->|"三徴のいずれかあり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic normal pressure hydrocephalus'>iNPH</span>疑いとしてDESH評価・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='(CSF) tap test'>タップテスト</span>など診断手順へ"]
    D --> F{"経過観察中に症候が出現したか"}
    F -->|"出現した"| E
    F -->|"出現なし"| D

紛らわしいもの

  • に伴う全体がほぼ均一に開大し、DESHのような・正中部の狭小化を伴わない。真の水頭症ではなくなどのに伴う受動的な拡大である。
  • はあるが先行する閉塞病変や既往があり(水頭症の型分類を参照)、無症候のまま経過観察でよい所見ではない。
  • の萎縮パターンではが脳全体でほぼ均一に開大し、AVIM/DESHのような不均衡な分布を示さない。
  • の項の通り、Evans Indexは加齢だけでも上昇しうるため、>0.3という一点のみでAVIMと確定しない。

まとめ

  • AVIMは疾患ではなく、DESH様の画像所見はあるのにの三徴が無いという画像と症候の乖離を指す状態である。
  • DESHは画像パターンの名前、は症候を伴う疾患、AVIMは「DESH様形態+無症候」であり、3者は指す対象のレイヤーが異なる。
  • 無症候例の一部は数年で症候化しうる(地域住民ベースで年6〜12%、病院ベース多施設で年17%)が、無症候である限りシャント手術の適応にはならない
  • 単回の所見の程度よりも、過去画像との比較と軽微な臨床徴候(GS等)の評価が症候化予測の鍵になる。

出典

  1. 1.Guidelines for Management of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus (Third Edition)(Japanese Society of Normal Pressure Hydrocephalus / Neurologia medico-chirurgica・2021)AVIM(無症候性脳室拡大)を、脳室拡大などiNPHの画像所見を示しながら臨床的に無症候である症例と定義し、日本の地域住民ベース研究で追跡された8例中4例が4〜8年の追跡で症候化した(年間6〜12%相当)こと、別の病院ベース多施設研究で追跡できた52例中27例が3年以内に症候化した(年間17%相当)ことを確認し、この高い症候化率のため無症候例も慎重な経過観察を要すると述べていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.A multi-center, prospective study on the progression rate of asymptomatic ventriculomegaly with features of idiopathic normal pressure hydrocephalus on magnetic resonance imaging to idiopathic normal pressure hydrocephalus(Journal of the Neurological Sciences(Kimihira L, Iseki C, Takahashi Yらの多施設前向き研究)・2020)AVIMと診断され登録された93例のうち3年間追跡できた52例中27例(52%)がiNPHへ進行し年間進行率は約17%であったこと、年齢・血管危険因子・Evans Index・MRI上のDESH所見などを検討した候補因子の中でベースラインのiNPH grading scale得点のみが進行を有意に予測したことを確認した。閲覧 2026-08-04