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Imaging findings · Published

不均衡に拡大したくも膜下腔を伴う水頭症

Disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus

別名
DESHDESH所見
臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-16:髄液循環障害(水頭症)
関連疾患
水頭症

🧠 全体像:DESHは単独の所見ではなく、/の開大・/正中部でのという3つの所見が同時に成立して初めて意味を持つ「分布のパターン」である。で決めるのはの確定でも除外でもなく、臨床症候とへ進むかどうかという次の行動である。

所見の定義

DESHの核心は、が「広い部分」と「狭い部分」を同じ頭蓋内に同居させているという不均衡さにある。3所見のうちどれか1つではなく、組み合わせで判定する。

所見 部位 具体的な基準
の項と同じEvans Index(前角最大幅/頭蓋内最大横径)>0.3
の開大 左右非対称なこともあるが、明らかに広く開いて見える
の狭小化 ・正中部(脳表の、上矢状洞近傍) が押しつぶされたように見えなくなるほど狭くなる

⭐ この分布はびまん性のでは起こらないなどの萎縮ではが脳全体でほぼ均一に広がるのに対し、DESHでは同じ患者の中で「広い部分」と「狭い部分」が共存する。だけでは加齢性萎縮による受動的なと区別できないため、この不均衡な分布こそが両者を分ける手がかりになる1

(左右の下面がなす角度)はDESHを間接的に表す補助指標で、を通りに垂直なで測定する。<90°はで多く見られ、測定する断面がわずかに傾くだけで値が変わるため、指定された断面で測ることが結果を左右する1

モダリティと写り方

主な用途 写り方・注意点
CT 初期スクリーニング。や急性病変の評価に用いる 3所見のおおまかな評価はできるが、の狭小化やはMRIほど鋭敏でない
MRI( DESH評価の主体 /の開大・/正中部の狭小化を同一断面で対比できる。にも用いる
MRI(軸位) が撮れない場合の代替 撮像範囲が前頭頭頂の最上部まで及べば、と同等の診断能が得られるとされる1

鑑別を絞る軸

の「均一な開大」か「不均衡な分布」かが最初の軸になる。3所見がそろわない、あるいは全体の開大が均一に併存する場合は、DESH型ではなくやその他の型を考える。

DESH(の支持所見) 均一な
の分布 不均衡。は開大し、・正中部は狭小化 脳全体でほぼ均一に開大
しばしば<90°と鋭角化 鋭角化しにくい
代表疾患 などの

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronal MRI'>MRI冠状断</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subarachnoid space'>くも膜下腔</span>の分布を評価"] --> B["過去画像があれば必ず比較する"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sylvian fissure'>シルビウス裂</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal cistern'>脳底槽</span>の開大+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high convexity'>高位円蓋部</span>/正中部の狭小化がそろうか"}
    C -->|"3所見がそろう(DESH陽性)"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic normal pressure hydrocephalus'>iNPH</span>の支持所見として臨床症候・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='callosal angle'>脳梁角</span>と統合"]
    C -->|"そろわない、または均一な開大"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ex vacuo enlargement'>代償性拡大</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-DESH type'>非DESH型</span>を考慮"]
    D --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gait disturbance'>歩行障害</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cognitive decline'>認知機能低下</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voiding dysfunction'>排尿障害</span>の症候があるか"}
    E --> F
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='(CSF) tap test'>タップテスト</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='continuous lumbar drainage'>持続腰椎ドレナージ</span>で髄液排除への反応を確認"]
    F -->|"なし・無症候"| H["経過観察。数年後に症候化しうる"]
    G -->|"反応あり"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indication for shunt surgery'>シャント適応</span>を検討"]
    G -->|"反応なし"| J["DESHのみで無効と確定せず臨床像を再評価"]

⚠️ DESHはの支持所見であって、それ単独で診断を確定することも、無いことで除外することもできない。 と診断された患者のうちDESH陽性は64%・は36%を占め、さらに定義的(シャントによる確定診断)に限ってもDESH陽性のは77%・は25%にとどまると報告されている1。DESH陽性でもシャント無効例があり、DESH陰性でも有効例がある。DESH所見を満たす症例を選んでシャントを行った前向きコホートでは1年後に69.0%が良好な転帰を示した一方2、これは「DESHがあれば必ず効く」ことの証明ではなく、臨床症候とへの反応を合わせた総合判断が前提になる。

紛らわしいもの

  • などのでは、が脳全体でほぼ均一に開大する。DESHのような特定部位の狭小化を伴わない。
  • のある高齢者に生じやすく、の非対称な見え方でDESHと紛れうるが、血腫そのものの濃度・信号変化で区別できる。
  • <a href=“/imaging-findings/asymptomatic-ventriculomegaly-with-inph-features” class=“wikilink” data-goes-to=“様所見を伴う無症候性脳室拡大”>(AVIM):無症候の高齢者でもDESHに類似した所見をMRIで認めることがあり、その一部は数年後に症候化する。所見があること自体は将来の発症リスクを示すが、無症候の時点でシャントの適応にはならない1
  • を来す他の病態でも脳室は拡大するが、の不均衡な分布ではなく先行する閉塞病変や既往(髄膜炎など)の有無で見分ける。詳しくは水頭症の型分類を参照。

まとめ

  • DESHは単一の所見ではなく、/の開大・/正中部でのが同時に成立する分布パターンである。
  • の「広い部分」と「狭い部分」が同居する不均衡さがとの違いであり、単独では区別できないとの鑑別に役立つ。
  • MRIが評価の主体で、(<90°)はレベルでAC-PC線に垂直な断面で測る補助指標である。撮像範囲を工夫すれば軸位断でも代替できる。
  • DESHはの支持所見にすぎず、単独で確定・除外はできない。77%・25%にとどまり、臨床症候とへの反応を合わせて総合判断する。

出典

  1. 1.Guidelines for Management of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus (Third Edition)(Japanese Society of Normal Pressure Hydrocephalus / Neurologia medico-chirurgica・2021)DESHを脳室拡大(Evans Index>0.3)・シルビウス裂/脳底槽の開大・高位円蓋部/正中部でのくも膜下腔狭小化という3所見の組み合わせと定義し、DESHが感度・特異度ともに高くアルツハイマー病の萎縮と区別できるとされること、後交連を通り前交連ー後交連線に垂直な冠状断で測る脳梁角<90°がiNPHで多く見られる間接指標であり測定位置・測定法によって値が大きく変わるため測定法の標準化が必要とされること、軸位断も頭頂まで撮像すれば冠状断と同等の診断能になりうること、iNPHと診断された患者のうちDESH所見を示すものが64%・非DESH型が36%と報告されていること、DESH陽性の陽性的中率は77%・陰性的中率は25%にとどまり画像所見単独でiNPHを判定すべきでないこと、無症候でもMRIでDESH類似所見を示す高齢者(AVIM)が存在し一部は数年後にiNPHを発症するため慎重な経過観察が必要とされること、iNPH疑いの診断が三徴のうち1つ以上の症候を要件としていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Diagnosis of idiopathic normal pressure hydrocephalus is supported by MRI-based scheme: a prospective cohort study(Cerebrospinal Fluid Research(SINPHONI研究、Hashimoto M, Ishikawa M, Mori E, Kuwana N)・2010)Evans Index>0.3に加え冠状断T1強調像で高位円蓋部・正中部のくも膜下腔狭小化とシルビウス裂開大を満たした100例の疑いiNPH患者にVPシャントを施行し、1年後に69.0%が良好な転帰(mRS 1点以上改善)、80.0%が経過中いずれかの時点でシャント反応、77.0%でiNPHGSが1点以上改善したことを確認した。閲覧 2026-08-04