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iNPH grading scale

iNPH grading scale

別名
iNPHGS
臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-16:髄液循環障害(水頭症)
構成:症状
失禁

🧠 全体像GSは、の三徴——・認知症()・尿失禁——をそれぞれ0〜4点、合計0〜12点で採点する臨床重症度スケールである。DESHのような画像所見が「疑う根拠」だとすれば、GSは「症候の重さを数値として記録し、時間とともに追う」ための物差しであり、単独での診断を確定する基準ではない。と認知症の2領域には、まだ異常が出ていない早期のな訴えだけを拾う段階(グレード1)が設けてあり、無症候から症候化への変化を粗く捉えられる設計になっている1

目的と適用場面

内容
目的 の三徴(・認知症・尿失禁)の重症度を数値化し、経過・治療効果を追跡する
対象 疑い〜確定患者。<a href=“/imaging-findings/asymptomatic-ventriculomegaly-with-inph-features” class=“wikilink” data-goes-to=“様所見を伴う無症候性脳室拡大”>AVIM(無症候性)の経過観察対象にも用いる
使う場面 診断時のベースライン評価、前後の比較、シャント術後の効果判定、AVIMの定期再評価
評価しないもの 画像所見(DESH・Evans Indexなど)、髄液圧・髄液排除への反応そのもの、

は、三徴のうち1つ以上の症候に加え、先行疾患の除外や画像所見を組み合わせて判定する(詳細は水頭症を参照)。GSはこのそのものではなく、を満たした後、あるいは満たす手前の段階で症候の重さを継続的に記録するとして使う1

⭐ AVIM(無症候性)の経過観察でも使われる。93例を3年間追跡した多施設前向き研究では、年齢・血管危険因子・Evans Index・DESH所見など複数の候補因子の中で、ベースラインのGS得点のみへの進行を有意に予測した2。画像所見の派手さよりも、軽微な症候をどれだけ拾えているかが進行予測の鍵になる。

構成要素と配点

三領域を独立に採点し、単純に合算する(合計0〜12点)。と認知症は「不安定・物忘れはあるが、明確な異常はない」グレード1が設定されているのに対し、尿失禁は主観のみのグレードを持たず、頻度で段階が決まる1

点数 基準
0 正常
1 不安定だが、介助なしにできる
2 杖を使用して歩行
3 二本杖、または歩行器を使用して歩行
4

認知症(

点数 基準
0 正常範囲内
1 明らかな認知症はないが、)を認める
2 な活動には介助を要するが、自宅内の生活は自立している
3 自宅内の生活でも部分的に介助を要する
4

尿失禁

点数 基準
0 なし
1 失禁はないが、頻尿またはを伴う
2 夜間に時々失禁がある
3 日中にも時々失禁がある
4 頻回に失禁がある

合計0〜12点で、点数が高いほど重症を示す。⭐ ガイドラインは合計点を「各領域の得点と併せて用いる指標」と位置づけており、合計点だけを見て領域間の内訳をすることを推奨していない1

解釈とカットオフ

GSには、のようなの重症度帯(軽症・中等症・重症の点数区分)は設定されていない。臨床での使い方は主に次の2つである。

使い方 内容
ベースラインの記録 診断時・前の各領域点数と合計点を記録する
変化の追跡 前後、シャント術前後で同一領域・合計点の増減を比較する

⭐ シャント術後の改善は、しばしば合計点が1点以上改善したかどうかを効果の目安として扱う。DE準を満たした疑い100例にVPシャントを施行した前向きコホートでは、1年後に77.0%の症例でGS合計点が1点以上改善した3

💡 各領域スコアは対応すると相関することが検証されている——認知領域は、歩行領域はUp and Go TestおよびGait Status Scale、尿失禁領域はICIQ-SFと相関し、後の改善もこれらの指標の改善と一致する4なスケールでありながら、の代わりに単独で使ってよいという意味ではなく、次項の限界で扱う。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ GS単独での診断を確定・除外しない。 あくまで症候の重症度を記録する尺度であり、先行疾患の除外や画像所見(DESHなど)、への反応と合わせて診断を判断する1

⚠️ の評価としては、検査や短距離直線歩行試験などの・定量的評価法と併用することが推奨されている(推奨グレード2、エビデンスレベルC)。GSは評価スケールという位置づけであり、単独での使用を主目的として設計されていない1

⚠️ 尿失禁領域は頻度のみで採点するため、尿失禁の原因がによるものか、や尿路感染症など他の原因によるものかを区別しない。一過性・可逆性の原因を外さないまま点数だけで重症度を判断しない。

⚠️ 認知症領域のグレード1(のみ)はな訴え・家族からの情報に頼る段階であり、評価者やによってばらつきうる。

⚠️ この点数体系はの症候を対象に設計されたもので、や続発性のを来す他の病態(水頭症の型分類を参照)の重症度評価として検証されたものではない。

まとめ

  • GSは、の三徴(・認知症・尿失禁)をそれぞれ0〜4点、合計0〜12点で採点する臨床重症度スケールである。
  • ・認知症には異常のない早期の訴えを拾うグレード1があり、尿失禁は頻度で段階が決まる。
  • の重症度帯(軽症/中等症/重症の点数区分)はなく、ベースラインの記録と前後・シャント術前後の変化の追跡に用いる。シャント効果の目安として合計点1点以上の改善が使われる。
  • そのものではなく、画像所見・への反応と組み合わせて用いる。の評価は検査など評価法との併用が推奨される。
  • AVIM(無症候性)の経過観察では、ベースラインのGS得点がへの進行を予測する重要な因子として使われる。

出典

  1. 1.Guidelines for Management of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus (Third Edition)(Japanese Society of Normal Pressure Hydrocephalus / Neurologia medico-chirurgica・2021)2004年の第1版ガイドラインでiNPHGSが提案され、その後信頼性・妥当性が検証されたこと、歩行障害・認知症(dementia)・尿失禁の3領域をそれぞれ0(正常)〜4(最重度)の5段階で採点し合計0〜12点とすること(Table 2:歩行障害は正常〜歩行不能、認知症はwithin normal range〜totally dependent、尿失禁は無〜頻回の各5段階)、歩行障害と認知症の2領域には早期の主観的訴えのみを拾うグレード1(客観的異常なし)が設定されている一方、尿失禁は頻度で段階を区切ること、歩行障害の重症度評価としてiNPHGSをTUG検査・短距離直線歩行試験など客観的・定量的評価法と併用する主観的評価スケールとして用いることを推奨グレード2・エビデンスレベルCで推奨していることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Validation of Grading Scale for Evaluating Symptoms of Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus(Dementia and Geriatric Cognitive Disorders(Kubo Y, Kazui Hらの大阪大学のグループ)・2008)iNPH患者38例でiNPHGSの評価者間信頼性が高いこと、認知領域スコアがMMSEと、歩行領域スコアがUp and Go TestおよびGait Status Scaleと、尿失禁領域スコアがICIQ-SFとそれぞれ相関すること、腰椎穿刺後のiNPHGS改善がMMSE・Gait Status Scale・ICIQ-SFの改善と有意に関連したことを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Diagnosis of idiopathic normal pressure hydrocephalus is supported by MRI-based scheme: a prospective cohort study(Cerebrospinal Fluid Research(SINPHONI研究、Hashimoto M, Ishikawa M, Mori E, Kuwana N)・2010)DESH基準を満たした疑いiNPH患者100例にVPシャントを施行した前向きコホートで、1年後に77.0%の症例でiNPHGS合計点が1点以上改善したことを確認した。閲覧 2026-08-10
  4. 4.A multi-center, prospective study on the progression rate of asymptomatic ventriculomegaly with features of idiopathic normal pressure hydrocephalus on magnetic resonance imaging to idiopathic normal pressure hydrocephalus(Journal of the Neurological Sciences(Kimihira L, Iseki C, Takahashi Yらの多施設前向き研究)・2020)AVIMと診断され登録された93例のうち3年間追跡できた52例中27例(52%)がiNPHへ進行したこと、年齢・血管危険因子・Evans Index・DESH所見など複数の候補因子の中でベースラインのiNPHGS得点のみが進行を有意に予測したことを確認した。閲覧 2026-08-10