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Imaging findings · Published

心臓MRI

Cardiac MRI

別名
心臓核磁気共鳴画像CMR
臓器系
循環器
科目
Internal MedicinePathology
トピック
内科学 S-03:心筋症病理学 B/36:心筋炎・心筋症
関連疾患
非拡張型左室心筋症不整脈原性心筋症

🧠 全体像:(CMR)が心エコーと決定的に違う点は、心機能・容積を測るだけでなく心筋の組織そのものが何でできているか(線維化・瘢痕・浮腫・)を非侵襲的に描出できることにある。で決めるのは「異常があるかどうか」ではなく、の結果を・評価・のどこに反映させるかという次の一手である。1回の検査に複数のシーケンスを積み重ねる構成そのものが、この「機能評価+」という二本柱を反映している。

何を見ている検査か

CMRは単一のシーケンスではなく、目的の異なる複数の撮像を組み合わせた検査である1。

シーケンス 何を評価するか 撮像のポイント
シネ撮像(bSSFP) 左室・右室の容積・・壁運動、の逆流 心筋と血液プールのに優れるbSSFP法を1.5Tでの第一選択とし、左室基部からまで短軸で撮像する。3Tではoff-resonance効果への感受性が高まり・流れのが悪化しやすく、法が代替になりうる1
マッピング・ 、浸潤性疾患による心筋間質の拡大 造影剤投与前に撮像するの定量評価1
T2マッピング・ (・) T2 prepared single-shot bSSFP法など複数の手法がある1
(LGE) 限局性の線維化・瘢痕・壊死 投与から少なくとも10分待ち、の信号をヌルにするで撮像する1
負荷・安静時の心筋血流、虚血 心拍あたり少なくとも3スライスを取得する1
T2* 心筋・肝臓の量 造影剤投与前に、約2msecから始まる6〜9のエコー時間で取得する1
フロー撮像 ・シャントにおける・流量 一方向の動きシネ法。想定される流速に合わせてVencを調整する1

💡 「機能」と「組織性状」は別の質問である。 が保たれていても(T1/T2マッピング、)で異常が見つかることがあり、逆にが低下していてもが陰性ということもある。目的(機能評価か、病因の鑑別か、か)によってどのシーケンスを重視するかが変わる。

主な適応

  • 心筋症の表現型分類と病因診断:肥大の分布、線維化パターン、浸潤性疾患の同定に用いる。
  • 心筋炎の診断:2018年改訂は、T2系所見(心筋時間上昇・信号上昇)を少なくとも1つと、T1系所見(心筋T1上昇・上昇・)を少なくとも1つ組み合わせることで診断特異度を高め、侵襲的なに先立つ非侵襲的評価として位置づけられている2。
  • の層別化:の広がりはの指標であり、では、LMNAなどの突然死型を持つ例はが35%を上回っていても遺伝子ごとの追加危険因子(FLNC短縮型・DSP・RBM20ではや<45%)があればICDを考慮し(IIa)、型を持たない例でも失神やがあれば考慮しうる(IIb)。でもの程度をSCDリスク評価に組み込む3。
  • 評価:のの広がりからで機能回復が見込めるかを判断する(を参照)。
  • では、右室優位型を前提とした2010年修正Task Force基準では捉えられない左室優位型を診断するため、CMRのがPadua基準・欧州Task Force基準で診断の中核に据えられている。

安全上の注意

対象 注意点
腎機能低下・では()のリスクが薬剤群によって異なる(詳細はを参照)
ペースメーカ・(CIED) エネルギーパルスや傾斜磁場の急激な変化によるが、ペースメーカ依存患者のペーシング不適切抑制・心停止や、の不適切作動を起こしうる。非対応機器でも、が明らかに最善の検査であれば妥当な選択肢となりうるが、ペースメーカ依存患者では一時ペーシングの準備とCIEDに習熟した医療者の立ち会いが要る4
・体動 検査時間が長く(複数シーケンスの積み重ね)、息止め不良や不整な拍動がの原因になる

評価の進め方

flowchart TD
    A["心筋症・心筋炎が疑われる、または既知の心疾患の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='risk stratification'>リスク層別化</span>が必要"] --> B["CIED・腎機能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='claustrophobia'>閉所恐怖</span>の有無を確認"]
    B --> C["シネ撮像で心機能・容積・弁膜評価"]
    C --> D["T1/T2マッピングで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffuse fibrosis'>びまん性線維化</span>・浮腫を評価"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='late gadolinium enhancement'>遅延造影</span>で限局性の瘢痕・線維化パターンを評価"]
    E --> F["過去の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiac MRI'>心臓MRI</span>と比較し新規変化か既存の瘢痕かを確認"]
    F --> G{"目的は診断か、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='risk stratification'>リスク層別化</span>か"}
    G -->|"心筋症・心筋炎の診断"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Lake Louise criteria'>Lake Louise基準</span>・Padua基準など該当する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diagnostic criteria'>診断基準</span>へ統合"]
    G -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sudden cardiac death risk'>突然死リスク</span>評価"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='late gadolinium enhancement'>遅延造影</span>の広がりを他の危険因子と統合し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indication for implantable cardioverter-defibrillator'>ICD適応</span>を判断"]

単回の所見だけでなく、過去画像との比較と他の臨床情報(心電図、、症状)への統合が診断・リスク評価の両方で前提になる。

紛らわしいもの

  • の点状:健常者でもみられることがあり、単独では病的意義に乏しい所見である。ただし・など右室に負荷がかかる病態でも高頻度にみられる非特異的所見であり、他の所見と切り離して「正常」と判定しない5。
  • 不良による:の設定が不適切だとも白く残り、病変様に見える。
  • 息止め不良・不整な拍動による:心筋辺縁がぼやけ、帯状の高信号として描出される。
  • が保たれているから正常、という:機能評価(シネ)が正常でも、(T1/T2マッピング、)で異常が見つかることがある。

まとめ

  • は、シネ撮像による心機能・容積評価と、T1/T2マッピング・・T2*などによるを組み合わせた検査である。
  • 心筋炎の診断()、心筋症の表現型分類、の層別化、評価に用いる。
  • のリスク、ペースメーカ・(CIED)での安全性、長い検査時間による・が注意点になる。
  • 機能評価が正常でもだけに異常が出ることがあり、両者は別の質問として読む。過去画像との比較と他の臨床情報への統合が判断の前提になる。

出典

  1. 1.Standardized cardiovascular magnetic resonance imaging (CMR) protocols: 2020 update(Society for Cardiovascular Magnetic Resonance (Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance)・2020)シネ撮像は心筋と血液プールのコントラストに優れるbSSFP法を1.5Tでの第一選択とし左室基部から心尖部まで短軸で撮像すること(3Tではoff-resonance効果への感受性上昇でバンディング・流れのアーチファクトが悪化しやすく、グラジエントエコー法が代替になりうる)、ネイティブT1マッピングは造影剤投与前に、T2マッピングはT2 prepared single-shot bSSFP法などで実施すること、遅延造影はガドリニウム造影剤投与から少なくとも10分待って正常心筋の信号をヌルにする反転時間で撮像すること、灌流画像は心拍あたり少なくとも3スライスを取得すること、T2*画像は造影剤投与前に約2msecから始まる6〜9のエコー時間で取得することを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Cardiovascular Magnetic Resonance in Nonischemic Myocardial Inflammation: Expert Recommendations(Journal of the American College of Cardiology・2018)2018年改訂Lake Louise基準が、心筋T2緩和時間上昇・T2強調像信号上昇などのT2系所見を少なくとも1つと、心筋T1上昇・細胞外容積分画上昇・遅延造影などのT1系所見を少なくとも1つ組み合わせることで心臓MRIによる心筋炎症診断の特異度が高まるとし、侵襲的な心内膜心筋生検に先立つ非侵襲的評価としての位置づけを示したことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.2023 ESC Guidelines for the management of cardiomyopathies(European Society of Cardiology・2023)拡張型心筋症で突然死高リスク遺伝子型を持つ例はLVEF>35%でも表21の遺伝子ごとの予測因子(FLNC短縮型・DSP・RBM20・PLN・TMEM43では遅延造影が含まれる)があればICDを考慮し(IIa)、高リスク遺伝子型を持たない例でもLVEF>35%で失神や遅延造影があれば考慮しうる(IIb)とし、肥大型心筋症でも心臓MRIで評価する遅延造影の広がりをSCDリスク評価に組み込むことを確認した閲覧 2026-09-05
  4. 4.2017 HRS expert consensus statement on magnetic resonance imaging and radiation exposure in patients with cardiovascular implantable electronic devices(Heart Rhythm Society・2017)高周波エネルギーパルスや傾斜磁場の急激な変化による電磁干渉が、ペースメーカ依存患者でのペーシング不適切抑制・心停止や、植込み型除細動器患者での不適切作動を起こしうること、MRI非対応(non-conditional)機器でもMRIが明らかに最善の検査であれば妥当な選択肢となりうること、ペースメーカ依存患者では一時ペーシングの準備とCIEDに習熟した医療者の立ち会いのもとで実施することを確認した閲覧 2026-09-05
  5. 5.Late Gadolinium Enhancement Variation in Asymptomatic Individuals: Comparison with Dilated Cardiomyopathy(Journal of Cardiovascular Development and Disease・2025)PMC全文(PMC12386344)で、右室接合部(RVIP)の遅延造影が無症候性個人の84.7〜93%とびまん性心筋症(DCM)患者の双方で高頻度に検出され、DCM患者のRVIP遅延造影計測値の約80%が無症候性群の正常範囲に収まっていたことを確認し、RVIP単独の遅延造影は正常な解剖学的変異を反映しうる非特異的所見であり、単独で病的意義を過大評価すべきでないと論じていることを確認した閲覧 2026-09-05