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Imaging findings · Published

横隔膜超音波

Diaphragm ultrasound

別名
横隔膜エコー横隔膜超音波検査diaphragm ultrasound
臓器系
呼吸器神経
科目
Anatomy
トピック
解剖学 2.2:胸部:筋と筋膜(胸壁)

🧠 全体像MIP・MEPのような口腔内圧の測定は「全体の出力」しか見ていないのに対し、は横隔膜そのものを直接見る。しかもベッドサイドで、なく、繰り返し測れる——これがや神経筋疾患の経過観察で価値を持つ理由である。が決めるのは診断の断定ではなく、を試みるか・を導入するか・の精査へ進むかという次の行動である。

所見の定義

横隔膜は胸腔と腹腔を隔てる状の筋で、肋骨の内面に接して起始する。超音波での評価はこの構造を利用した2つの測り方に分かれ、測る対象も臨床的な意味も異なる。この違いを混同することが最大の落とし穴になる。

:肋骨内面に横隔膜が接するの第8〜10肋間にを当て、呼気終末と時の横隔膜の厚みを測る。=(吸気時厚 − 呼気時厚)/呼気時厚が収縮の指標になり、健常者・COPD患者では20%・呼気終末厚0.15 cmがとされる1

下からを当て、右は肝臓・左は脾臓をとして横隔膜を描出し、Mモードで努力時の頭尾方向の移動距離を測る。は女性3.7 cm・男性4.7 cmとされる1

💡 は「筋がどれだけ収縮したか」、移動距離は「結果として横隔膜がどれだけ動いたか」を映す。 の指標()と相関する一方、移動距離はこの指標と相関しないと報告されており2、両者は同じ現象の異なる側面を見ている。人工呼吸中はそのものが横隔膜を受動的に動かしうるため、この区別を持たずに移動距離だけを筋力の指標として読まない。

モダリティと写り方

何が分かるか・限界
・移動距離をベッドサイドで直接評価できる。が無く繰り返し測定できるが、が高い
吸気時のを直接観察できる従来の標準法だが、半定量的で患者の努力に依存し、ではな呼吸パターンによって所見が隠れ偽陰性になりうる1
胸部単純X線 を示すが、感度90%と高い一方では33%と低く、・腫瘤・ヘルニアなど他の原因でも同様の所見が出る1
CT 横隔膜自体の病変(腫瘍、ヘルニアなど)や周囲構造の評価に向くが、動的な機能そのものは評価できない
神経の、または筋が生み出す圧そのものを定量する。によるtwitch Pdi)は横隔膜の機械的機能を測る基準法とされるが、専門的な技術・機材・時間を要し日常臨床には向かない1

よりの検出に感度が高いとされる1

リスクを上げる形態

  • :収縮力そのものの低下を示唆する
  • 吸気時の(頭側移動):本来下降すべき横隔膜が吸気時に頭側へ動く所見で、麻痺を強く示唆する
  • 左右差:片側性の障害を疑う手がかりになる
  • 片側性か両側性か:片側性は無症状〜軽度のにとどまることが多いが、両側性は臥位での著明な呼吸困難()を伴いやすく、導入の判断に直結する

評価の進め方

flowchart TD
    A["呼吸困難・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='difficult extubation'>抜管困難</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphragmatic dysfunction'>横隔膜機能低下</span>を疑う"] --> B["過去の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphragm ultrasonography'>横隔膜超音波</span>所見があれば必ず比較<br>(同一患者内の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='evolution'>経時変化</span>を優先)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thickness method'>厚み法</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excursion method'>移動距離法</span>で評価"]
    C --> D{"両側性か片側性か"}
    D -->|"両側性"| E["臥位での増悪・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='noninvasive ventilation'>非侵襲換気</span>の要否を検討"]
    D -->|"片側性"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paradoxical motion'>逆説的運動</span>・左右差を確認"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurogenic'>神経原性</span>か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myogenic'>筋原性</span>かの<br>手がかりを検討"]
    F --> G
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phrenic nerve conduction study'>横隔神経伝導検査</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transdiaphragmatic pressure'>経横隔膜圧</span>・<br>原疾患検索へ"]

の施設差・測定者間差が大きく、単回の絶対値より同一患者内の推移が情報を持つ。実際、成功を予測するは研究によって移動距離で7 mmから12.85 mm超、で13.5%から34.2%以上まで大きく異なり、統一されたは定まっていない3

⚠️ 紛らわしいもの

  • プローブの当て方(挿入角度)で厚みの見え方が変わる。 垂直に当てないと厚みを過大・過小評価しやすく、測定者間・測定者内のばらつきの一因になる。
  • 左側は右側より描出が難しいことがある。 右は肝臓をにできるが、左は脾臓がそれより小さく、位置もがあるため良好なを得にくい。
  • 胸水・・腹部膨満・肥満は深部構造の描出を妨げる。 これらがあると横隔膜そのものが同定しにくくなる。
  • ⚠️ 人工呼吸中のは移動距離を受動的に作りうる。 の指標と相関するが移動距離は相関しないと報告されており2、移動距離だけを横隔膜自身の筋力の指標として読まない。
  • ⚠️ は研究ごとに異なり、単独で可否を決められない。 移動距離・とも報告間で数倍の幅があり、体組成・・心理状態など他の因子も成否に影響するため、他のと組み合わせて判断する3

まとめ

  • MIP・MEP全体の出力を測るのに対し、は横隔膜そのものをベッドサイドで無・反復して直接見る検査である。
  • )と(Mモードでの頭尾方向の移動距離)は測る対象が異なり、人工呼吸中は特に両者が一致しない。
  • を直接観察できる従来の標準法だが、では偽陰性になりうる。CTは病変の評価に、は神経・筋機能の定量に向く。
  • ・吸気時の・左右差がリスクを上げる所見で、両側性か片側性かが導入の判断を左右する。
  • 過去の所見との比較が重要で、予測のは研究間で大きく異なるため単独では判断できない。

出典

  1. 1.Diaphragm Dysfunction: Diagnostic Approaches and Management Strategies(Journal of Clinical Medicine (Dubé BP, Dres M)・2016)厚み法は前腋窩線〜中腋窩線の第8〜10肋間でzone of appositionにプローブを当て呼気終末・最大吸気時の厚みを測定し、厚化率=(吸気時厚−呼気時厚)/呼気時厚で算出すること、健常者・COPD患者での厚化率の正常下限が20%・呼気終末厚の正常下限が0.15 cmであること、移動距離法は肋骨弓下からコンベックスプローブで最大吸気努力時の移動距離を測り正常下限が女性3.7 cm・男性4.7 cmであること、透視下sniffテストは逆説的挙上を確認できる一方半定量的で患者の努力に依存し両側性麻痺では代償的な呼吸パターンにより所見が隠れ偽陰性になりうること、胸部単純X線は横隔膜挙上に対し感度90%だが陽性的中率33%と低いこと、超音波は透視より横隔膜機能低下の評価に感度が高いとされること、横隔神経刺激による定量評価が横隔膜の機械的機能を測る基準法とされる一方専門的な技術・機材・時間を要し日常臨床には向かないことを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Effectiveness of diaphragmatic ultrasound as a predictor of successful weaning from mechanical ventilation: a systematic review and meta-analysis(Critical Care(Parada-Gereda HM, Tibaduiza AL, Rico-Mendoza A, et al.)・2023)抜管成功を予測する横隔膜超音波のカットオフ値が研究間で大きく異なり、移動距離が7 mmから12.85 mm超、厚化率が13.5%から34.2%以上までの範囲にわたること、統一された基準値が無いことが測定の不確実性を招くこと、体組成・呼吸循環動態・心理状態など他の要因も抜管成否に影響するため超音波所見は単独ではなく他の臨床所見と組み合わせて判断すべきとされることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Diaphragmatic ultrasound as a monitoring tool in the intensive care unit(Annals of Translational Medicine(Sigala I, Vassilakopoulos T)・2017)厚化率は呼吸仕事量の指標(食道内圧-時間積)と相関する一方、移動距離はこの指標と相関しないと報告されていることを確認した。閲覧 2026-08-04