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Imaging findings · Published

内視鏡的萎縮性胃炎(木村・竹本分類)

Endoscopic atrophic gastritis (Kimura-Takemoto classification)

別名
木村・竹本分類Kimura-Takemoto classification開放型萎縮閉鎖型萎縮
臓器系
消化器
科目
Internal MedicinePathology
トピック
内科学 L-75:食道・胃の前癌病変と悪性腫瘍病理学 C/33:胃炎

🧠 全体像:木村・竹本分類は、内視鏡で見える萎縮粘膜と非萎縮粘膜の(萎縮境界)がどこまで広がっているかを、中心の(C-1〜C-3)と、側へ広がる(O-1〜O-3)に分ける肉眼分類である。単なる形態の記述ではなく、萎縮境界が(頭側)へ進むほどH. pylori感染の持続期間が長く、胃癌リスクが高いことを反映するとして使われる。この所見が実務で効くのは、H. pylori抗体・の()だけでは拾えない「感染歴はあるのに抗体が消えている」患者を、内視鏡的萎縮の有無で拾い直せる点にある——これがのA群に紛れる「偽A群」の正体である。

所見の定義

  • 萎縮境界は、萎縮した薄く血管透見のある粘膜と、萎縮のない厚みのある粘膜のあいだの色調・性状の移行線として内視鏡的に認識する。
  • 境界がどこまで広がっているかで6段階に分ける1。
型 段階 萎縮境界の位置
(C型) C-1 前庭部に限局し、体部には及ばない
(C型) C-2 の中点より下方を横切る
(C型) C-3 の中点より上方を横切る
(O型) O-1 とのあいだ
(O型) O-2 上
(O型) O-3 とのあいだ(まで及ぶ高度萎縮)

⭐ 「かか」が最初の。 は萎縮が側にとどまっている段階、は側まで進展した段階で、この一線を境に胃癌リスクの評価が変わる。

モダリティと写り方

  • 通常の白色光内視鏡で評価する所見であり、特殊な造影剤や生検を必須としない。萎縮粘膜は薄く血管透見が目立ち、色調が蒼白〜黄色調になるのに対し、非萎縮粘膜は発赤調でひだが保たれる——この色調・性状のがとして認識される。
  • 内視鏡的萎縮と組織学的萎縮の一致度は研究によって幅があり(重み付きκ値0.51〜0.76)、観察者間で境界の判定が完全には一致しない1。

リスクを上げる形態

  • ⚠️ (O-1〜O-3)、とくにO-3は胃癌リスクが高い所見として扱う。 中等度〜高度の内視鏡的萎縮は・胃癌の存在および将来の胃癌発生と有意に関連し、除菌後に発見された早期胃癌の98.4%が萎縮粘膜内または萎縮境界に沿って位置していた1。
  • ⚠️ 萎縮境界は感染が続く限りへ進展する。 10年間のでは、H. pylori感染が持続した患者の43%で萎縮境界がへ進展した一方、非感染者では変化がみられなかった——一時点の型だけでなく、進展の有無が感染の持続を映す1。

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>で<br>萎縮境界を評価する"] --> B{"境界は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesser curvature'>小彎</span>側に<br>とどまるか(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='closed type'>閉鎖型</span>)"}
    B -->|"はい(C-1〜C-3)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serodiagnosis'>血清診断</span>(H. pylori抗体・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pepsinogen'>ペプシノゲン</span>)と合わせて評価"]
    B -->|"いいえ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='greater curvature'>大彎</span>側まで進展<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='open type'>開放型</span> O-1〜O-3)"| D["中等度〜高度萎縮として<br>胃癌<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surveillance'>サーベイランス</span>を検討"]
    C --> E{"血清が両方陰性<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ABC classification'>ABC分類</span>A群)か"}
    E -->|"はい"| F{"内視鏡的萎縮を認めるか"}
    F -->|"なし(真A群)"| G["低リスク群として扱う"]
    F -->|"あり(偽A群)"| H["血清が陰性でも<br>他群と同様の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surveillance'>サーベイランス</span>を検討"]
    E -->|"いいえ"| D

紛らわしいもの

  • ⚠️ 抗体が陰性でも萎縮が無いとは限らない。 広島大学病院の1,507例のコホートでは、H. pylori抗体陰性例のうち83.6%が萎縮を示していた。高度萎縮が進むと菌の定着する粘膜自体が失われが自然に低下・消失するため、血清だけでは高度萎縮の既感染例を「陰性=低リスク」としうる——これがのA群に紛れる「偽A群」である2。
  • ⚠️ (とくにC-1)を「異常なし」と同一視しない。 は非感染者にもみられる段階であり、であること自体は感染の有無を確定しない。型の分類は・除菌歴の確認と組み合わせて解釈する。
  • 💡 観察者間の一致度は完全ではない。 内視鏡的萎縮と組織学的萎縮の一致度は研究によって幅があり(重み付きκ値0.51〜0.76)、境界の判定には熟練を要する1。単回の内視鏡所見だけで確定的な胃癌リスクを断定しない。

まとめ

  • 木村・竹本分類は内視鏡的な萎縮境界の広がりを、側にとどまる(C-1〜C-3)と側まで進展する(O-1〜O-3)に分ける肉眼分類である。
  • 、とくにO-3は中等度〜高度萎縮として胃癌リスクの高い所見であり、感染が持続すれば境界はへ進展する。
  • H. pylori抗体・による()だけでは、高度萎縮に伴い抗体が消失した既感染例(のA群に紛れる「偽A群」)を見落としうる。内視鏡的萎縮の評価はこの穴を埋める。
  • であることや、観察者間で境界判定が完全には一致しないことを踏まえ、単回の所見だけで胃癌リスクを断定しない。

出典

  1. 1.Assessment of Endoscopic Gastric Atrophy according to the Kimura-Takemoto Classification and Its Potential Application in Daily Practice(Clinical Endoscopy・2019)木村・竹本分類がKimuraとTakemotoにより提唱された内視鏡的萎縮境界の分類であること、閉鎖型(C型)はC-1(萎縮所見が前庭部に限局し体部に及ばない)・C-2(萎縮境界が小彎の中点より下方を横切る)・C-3(萎縮境界が小彎の中点より上方を横切る)に、開放型(O型)はO-1(萎縮境界が小彎と前壁のあいだ)・O-2(萎縮境界が前壁上)・O-3(萎縮境界が前壁と大彎のあいだ)に分けられることを確認した。内視鏡的萎縮と組織学的萎縮の一致度は研究により幅があること(英国の研究で重み付きκ値0.76、改訂Sydney分類との比較で0.51)、日本の10年間の追跡研究でH. pylori感染が持続する患者の43%で萎縮境界が口側(頭側)へ進展した一方、非感染者では変化がみられなかったこと、中等度〜高度の内視鏡的萎縮が前癌病変・胃癌の存在および将来の胃癌発生と有意に関連すること、除菌後に発見された早期胃癌の98.4%が内視鏡的萎縮粘膜内または萎縮境界に沿って位置していたこと、同時性胃癌の96.7%が診断時点で開放型萎縮を呈していたことを確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Identification of Helicobacter pylori-related gastric cancer risk using serological gastritis markers and endoscopic findings: a large-scale retrospective cohort study(BMC Gastroenterology(Nagasaki N ら、広島大学)・2022)Europe PMCのfullTextXML(PMC9210732)で全文を取得して確認した。広島大学病院の1,507例の後ろ向きコホートで、[[scores/abc-classification|ABC分類]]のA群(H. pylori抗体・ペプシノゲンともに陰性)を内視鏡的萎縮の有無で真A群273例(萎縮なし)と偽A群87例(萎縮あり)に二分すると、A群360例の約24%が偽A群であったこと、追跡中の胃癌発生が真A群0例に対し偽A群2例であったこと、[[lab-values/helicobacter-pylori-antibody|H. pylori抗体]]陰性の201例(偽A群87例とD群114例)のうち168例(83.6%)が開放型萎縮を示していたことを確認した。閲覧 2026-09-08