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Imaging findings · Published

糸球体様出血

Glomerulation

別名
膀胱水圧拡張後の点状出血
臓器系
腎・泌尿器
科目
Obstetrics and Gynecology (Gynecology)
トピック
婦人科 32:骨盤痛
関連疾患
間質性膀胱炎
スコア
ESSIC分類

🧠 全体像:は、膀胱を水で圧を掛けて拡張したあとにするとに現れる点状の出血である。見た目は派手だが、実はこの所見自体には診断的な特異性が乏しい——多くの慢性膀胱刺激状態で起こりうるためで、/に特異的なのはのほうである。出血を見つけたときに大事なのは「あるかないか」の二択ではなく、グレード(程度)とを組み合わせて予後を推定することである。⚠️ 診断上の重みは資料によって大きく違う——日本の診療ガイドライン(2019年版)はこの所見を診断指標から外し1、欧州(2026年版)は病型分類の軸として使う2一方で、点状出血部の凝固は推奨していない3。

所見の定義

出血は、膀胱を水圧で拡張したあとする際に粘膜からみられる点状の出血で、の血管が拡張の刺激で破綻して生じる血管のとして説明される4。日本の226の基準は、これを「約80 cmH₂Oで膀胱を拡張し内容液を排出する際にみられる粘膜からの点状出血」と定義している5。

💡 「中の出血」と「点状出血」は、同じ現象を別の時点で見ている。 日本の診療ガイドライン(2019年版)は、拡張後の時に粘膜から垂れるように生じる五月雨状の出血を拡張後粘膜出血(MBAD)、後に再び膀胱内容液を入れて観察したときにみえる既に止血した多数の出血点を点状出血(出血)と呼び分けたうえで、「同じ現象を異なる時期に観察していると理解される」と説明している1。

⚠️ 1回の観察だけで「所見なし」と判定しない。 拡張直後の最初の観察では粘膜が正常に見えても、いったんしてから再度観察すると、正常粘膜を背景に点状の毛細血管出血が現れることがある。英語の資料はこれを「」という別の名前で記載する4が、上記のとおり日本のガイドラインは後の再観察でみえる出血点そのものを点状出血と定義している1——名称が違うだけで同じ観察手順を指している可能性があるので、用語だけで別の所見と決めない。

モダリティと写り方

出血は放射線画像ではなく、下のという手技を通じてのみ確認できる所見である。麻酔下で膀胱を一定圧・一定時間拡張したあと内容液を排出し、を観察する。

段階 見え方
拡張直後 粘膜は正常に見えることがある
後の観察 点状の出血斑(出血)が現れる。程度により分布が限局〜びまん性まで幅がある
後の再観察 直後には見えなかった点状出血が現れることがある(反応性出血)

程度は0〜3のグレードで記録される。486例を解析した台湾の単施設研究が用いた定義は「0=なし、1=膀胱壁の半分未満、2=膀胱壁の半分を超える、3=高度の滝状出血」で、同研究は全身麻酔下に80 cmH₂Oで10分間拡張してから緩徐にする手順をとっている6。グレードが高いほど最大は小さい()6。

⚠️ グレードの定義・採用範囲は資料ごとに同じではない。 ESSIC分類( 2026年版が採用)が所見「2」として数えるのは grade 2〜3 の点状出血で、それより軽度のものは分類上の所見として採らない2。「点状出血あり」と書かれた記録を読むときは、どの基準のどのグレードを指しているかを確かめる。

診断上の位置づけ

同じ所見でも、どの文書を読んでいるかで扱いがはっきり違う。

文書 点状出血の扱い
日本の226(告示の) B()はのみ。が無く膀胱時の点状出血を認めるものはとは診断されるが、(非ハンナ型)として区別され、226の対象には入らない5
日本の診療ガイドライン(2019年版) 点状出血・MBADは症状重症度とも遺伝子発現とも関連せず臨床的意義に乏しいとして、診断指標から外した(ただし「まったくの正常とも言い難い」と留保)。2007年版の「非(NHIC)」という分類も設けず、のないIC/BPSはすべて(BPS)に含める1
欧州(2026年版)・ESSIC分類 点状出血(grade 2〜3)を所見の軸の「2」として病型分類に使う。本文は「水圧拡張後に点状出血が現れることは陽性の診断所見と考えられるが、一次性が無くても観察されうる」と但し書きを添える2

⚠️ したがって「非ハンナ型」という語の射程は文書によって違う。 226の枠では点状出血のある群を指す診断名だが、診療ガイドライン2019年版ではその分類自体が廃され、2007年版のNHICは(BPS)に吸収されている1(→/)。

⚠️ 点状出血は「焼けば治る病変」ではない。 2026年版は、な切除・凝固・レーザーを PBPS type 3C(+生検陽性)に限って行うことを強い推奨として掲げる一方、本文で「点状出血部の凝固は推奨されない」と明記している3。を見つけたときのと、点状出血を見つけたときの対応は別である。

リスクを上げる形態

「悪性所見」という意味でのリスクではなく、症状が重く治療反応が悪い集団を見分けるという文脈で、次の組み合わせが予後不良と関連する。

所見の組み合わせ 治療の良好な転帰の割合
出血グレード0〜1+最大760 mL以上 64.2%(最も良好)
上記以外でを欠く3群(グレード0〜1かつ760 mL未満/グレード2〜3で容量を問わない) 40.2〜43.9%(3群のあいだに有意差はない)
あり 36.8%(最も不良)

486例の解析では、出血のグレードは最大と有意にし(r=-0.403、P<0.001)、いずれも(ICSI)と有意に関連していた6。⭐ 出血のグレードが高いことは、単独の異常所見としてではなく、低下・悪化とセットになった「重症度の」として読む。

⚠️ この数字をそのまま一般化しない。 台湾の単施設で水圧拡張を受けた患者の後ろ向き解析であり、転帰は自己申告のGlobal Response Assessmentが+2以上という指標、治療も・・・Aなど施設の治療手順に沿ったものである(例にはさらに・レーザー・膀胱部分切除などが加えられている)。また760 mLという自体のは高くない(0.559、P=0.038)6。

評価の進め方

flowchart TD
    A["IC/BPSの精査で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystoscopy (cystoscope)'>膀胱鏡</span>下水圧拡張を行う"] --> B["拡張後に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drainage (fluid)'>排液</span>し粘膜を観察"]
    B --> C{"点状出血(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glomeruloid'>糸球体様</span>出血)を認めるか"}
    C -->|"直後は所見なし"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='evacuation of air'>脱気</span>後に再観察<br>反応性出血の有無を確認"]
    C -->|"あり"| E["グレード0〜3を記録<br>分布の広さと出血の強さ"]
    D --> C
    E --> F["最大<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder capacity'>膀胱容量</span>・ICSIとあわせて評価"]
    F --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hunner lesion'>ハンナ病変</span>を伴うか"}
    G -->|"あり"| H["ハンナ型として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ablation'>焼灼</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triamcinolone'>トリアムシノロン</span>を検討"]
    G -->|"なし"| I["グレード・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder capacity'>膀胱容量</span>に応じた重症度として<br>経過観察・治療調整<br>点状出血部そのものは凝固しない"]

紛らわしいもの

  • との違いが最重要。 出血は非特異的で、IC/BPS以外の慢性膀胱刺激状態でも起こりうる。IC/BPSに特異的・診断的な所見はだけであり、出血が単独であることは診断を確定しない4。
  • 点状出血の「グレードが低い」は「正常」ではない。 グレード0〜1でも症状があれば疾患は否定されない。⚠️ 逆に、点状出血が無いことも診断の否定にならない——のないIC/BPSは所見に乏しいのが普通で、日本の診療ガイドラインは点状出血を診断指標から外し、診断目的の水圧拡張検査は症例を選んで行うとしている1(→/)。
  • 「点状出血を認めた=226の対象」ではない。 226のはのみで、点状出血だけの症例は(非ハンナ型)として助成の対象外になる5。
  • 直後の観察だけで「所見なし」と判定しない。 直後には見えず、・再観察で初めて出血点が現れることがある(資料によっては反応性出血と呼ぶ)41。

まとめ

  • 出血は、下水圧拡張後にみられる点状の粘膜出血で、血管の破綻という非特異的な血管異常を反映する。中の五月雨状の出血(MBAD)と点状出血は、同じ現象を別の時点で見たものと説明される。
  • 直後の観察で所見がなくても、・再観察で初めて出血点が現れることがある——1回の観察で判定しない。
  • IC/BPSに特異的・診断的なのはのみで、出血は他の慢性膀胱刺激状態でも起こりうる非特異的所見である。
  • 診断上の扱いは文書ごとに違う——226では点状出血のみの例を「(非ハンナ型)」として助成の対象外とし、日本の診療ガイドライン2019年版は点状出血を診断指標から外し、/ESSICはgrade 2〜3を病型分類の軸「2」として使う。
  • 点状出血部の凝固は推奨されない( 2026年版)。・切除の適応はに限られる。
  • 程度は0〜3のグレード(0=なし/1=膀胱壁の半分未満/2=半分超/3=高度の滝状出血)で記録し、グレードが高いほど最大が小さく(ICSI)も悪化する傾向にある。治療転帰は「グレード0〜1・容量760 mL以上」の群が最も良好(64.2%)、「あり」の群が最も不良(36.8%)で、その間の3群に有意差はない。

出典

  1. 1.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2019年版)(日本間質性膀胱炎研究会/日本泌尿器科学会・2019)本体PDF(2019年3月発行、第1版第1刷は2019年4月25日)を取得して逐語確認した。脚注2が、排液中に粘膜から垂れるように生じる五月雨状の出血を拡張後粘膜出血(Mucosal bleeding after distension: MBAD)、排液後に再び膀胱内容液を入れて観察したときにみられる既に止血した多数の出血点を点状出血(Glomerulations)と呼び、「同じ現象を異なる時期に観察していると理解される」としていること。同じ脚注が「この所見は印象的であるが、正常者やIC/BPS以外の患者でも観察される、程度と症状などとの関連性がないなどの理由から、臨床的な意義は乏しいとされている」と述べること。用語の章が「点状出血またはMBADは症状重症度や遺伝子発現と関連せず、臨床的な意義は乏しい」ことを根拠の1つに挙げ、「なお、点状出血またはMBADは診断指標から外したが、この所見はまったくの正常とも言い難く、今後の研究でその意義が明らかとなる可能性がある」と留保を置いていること。2007年版GLのNHIC(非ハンナ型間質性膀胱炎)は本GLのBPSに含まれ、本GLではNHICの分類を設けないこと。診断の章が「点状出血の診断的意義は曖昧なので、診断目的での水圧拡張検査は症例を選択して行う」と述べること。2026年5月7日付の日本泌尿器科学会「ガイドライン一覧」PDFでも本ガイドラインは2019.4.25発行・2021.5アップデートとして掲載され、それ以後の改訂版は掲載されていないこと。閲覧 2026-09-17
  2. 2.EAU Guidelines on Chronic Pelvic Pain — Diagnostic Evaluation(European Association of Urology・2026)2026年版(同ガイドラインの Citation Information の章は "EAU Guidelines. Edn. presented at the EAU Annual Congress London 2026. ISBN 978-94-92671-32-5." とする)の診断の章を取得して逐語確認した。Table 4 のESSIC分類が膀胱鏡(未施行XX/正常1/点状出血2/ハンナ病変3)と生検(未施行X/正常A/不確定B/陽性C)のマトリクスであり、脚注aが "Cystoscopy: glomerulations grade 2-3." と規定していること。本文が "Non-lesion disease displays a normal bladder mucosa at initial cystoscopy. The development of glomerulations after hydrodistension is considered to be a positive diagnostic sign although it can be observed without PBPS" と述べ、点状出血を陽性の診断所見としつつPBPSが無くても観察されうると但し書きを置いていること。ハンナ病変については "The scar ruptures with increasing bladder distension, producing a characteristic waterfall type of bleeding." とすること。閲覧 2026-09-17
  3. 3.EAU Guidelines on Chronic Pelvic Pain — Management(European Association of Urology・2026)2026年版の治療の章を取得して逐語確認した。経尿道的切除・凝固・レーザーの節が "Endourological destruction of bladder tissue aims to eliminate urothelial Hunner lesions. Coagulation of glomerulations or petequiae area is not recommended." と述べること。推奨表に載るのは "Offer transurethral resection (or coagulation or laser) of bladder lesions, but in PBPS type 3C only."(Strength rating は Strong)で、点状出血部の凝固を推奨しない一文は推奨表ではなく本文側の記述であること。エビデンス要約は "Transurethral resection (coagulation and laser) may be effective in PBPS type 3C."(LE 3)とすること。閲覧 2026-09-17
  4. 4.Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)NCBI BookshelfのHTML本文(Last Update: October 7, 2024)を取得して次を逐語確認した。糸球体様出血(glomerulations)は膀胱鏡で「vascular malformations」として見え、「petechial hemorrhages」とも呼ばれる粘膜の点状出血・瘢痕である。「Glomerulations are often found but are considered non-specific. There are no specific cystoscopic findings diagnostic of IC/BPS other than a Hunner ulcer.」と明記し、ハンナ潰瘍以外に診断的な膀胱鏡所見は無いとしている。また「Reactive hemorrhages」として、拡張時の初回観察では正常に見えた粘膜が、脱気して再観察すると点状の毛細血管出血を呈する現象を別に記載している。閲覧 2026-09-16
  5. 5.間質性膀胱炎(ハンナ型)(指定難病226)(難病情報センター・2025)点状出血は「約80cm水柱圧で膀胱を拡張し内容液を排出する際にみられる粘膜からの点状出血」と定義されていることを確認した。ハンナ病変はないが膀胱拡張術時の点状出血を有するものは「間質性膀胱炎(非ハンナ型)」に分類され、ハンナ型(診断基準の検査所見はハンナ病変のみ)とは区別されて指定難病226の対象外であること、ハンナ型のほうが高齢で症状が重く病理学的炎症所見が強いことも確認した。閲覧 2026-09-16
  6. 6.Cystoscopic hydrodistention characteristics provide clinical and long-term prognostic features of interstitial cystitis after treatment(Scientific Reports・2021)Europe PMCの全文XML(PMC7801576、CC BY)で、台湾の単施設におけるIC/BPS患者486例(男性65・女性421)の後方視的解析として、水圧拡張後の膀胱鏡所見(糸球体様出血のグレード・最大膀胱容量・ハンナ病変の有無)で5亜群に分類し、糸球体様出血のグレードと最大膀胱容量が有意に逆相関すること(r=-0.403、P<0.001)、いずれもICSI(間質性膀胱炎症状スコア)と有意に関連すること、良好な転帰(自己申告のGlobal Response Assessmentが+2以上)の割合が「糸球体様出血グレード0または1かつ最大膀胱容量760 mL以上」の群で64.2%と最も高く、「ハンナ病変あり」の群で36.8%と最も低く、残る3群は40.2〜43.9%で群間に有意差がなかったことを確認した。水圧拡張は全身麻酔下に80 cmH2Oで10分間行い緩徐に排液する手順で、グレードの定義は「0=なし、1=膀胱壁の半分未満、2=膀胱壁の半分を超える、3=高度の滝状出血」であること、760 mLというカットオフのROC曲線下面積は0.559(P=0.038)にとどまることも本文に明記されている。Figure 2はグレード0〜3の膀胱鏡写真を提示している。閲覧 2026-09-16