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Disease Atlas · 腎・泌尿器 · 症候群

間質性膀胱炎

Interstitial cystitis / bladder pain syndrome

別名
膀胱痛症候群interstitial cystitis/bladder pain syndromeIC/BPSハンナ型間質性膀胱炎
臓器系
腎・泌尿器生殖・産婦人科
科目
Obstetrics and Gynecology (Gynecology)
トピック
婦人科 32:骨盤痛
鑑別疾患
骨盤うっ血症候群前立腺炎尿路感染症
関連疾患
過敏性腸症候群筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群線維筋痛症
治療薬
アミトリプチリンシメチジンヒドロキシジンペントサンポリ硫酸ナトリウムDMSO(ジムソ)ヘパリンリドカイントリアムシノロンシクロスポリンAボツリヌス毒素
症状
慢性骨盤痛頻尿尿意切迫感恥骨上部痛性交痛膀胱痛
検査値
尿培養
画像所見
Hunner病変糸球体様出血
スコア
ICSI(O'Leary-Sant)ESSIC分類
適応薬
ジメチルスルホキシドペントサンポリ硫酸ナトリウム

🧠 全体像:/は、膀胱にたまる尿の量が増えるほど痛み、排尿すると楽になるという優位の膀胱痛と、感染など他の原因がすべて除外されることの2点で成立するである。診断名の核心は所見にある——という特有の炎症性粘膜病変があるかどうかで、病態も治療もまったく別の疾患のように分かれる。がある型は膀胱に限局した炎症性疾患として・切除で直接治療できるのに対し、無い型は・と重なるを伴う慢性疼痛症候群に近く、治療は多面的な症状マネジメントが中心になる。このを知らずに「」を単一疾患として扱うと、治療の組み立てを誤る。

病態・分類:Hunner型と非Hunner型

IC/BPSは単一の病因を持つ疾患ではなく、症状・所見で緩やかに定義された症候群である1。中でもの有無が最も重要なになる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urine storage (bladder filling)'>蓄尿</span>時に増悪し排尿で軽快する膀胱痛<br>+頻尿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary urgency'>尿意切迫感</span>が6週間超持続"] --> B["尿培養陰性・他の原因を除外"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystoscopy'>膀胱鏡検査</span>"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hunner lesion'>Hunner病変</span><br>(正常の毛細血管構造を欠く特有の発赤粘膜)を認めるか"}
    D -->|"あり"| E["Hunner型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial cystitis'>間質性膀胱炎</span><br>膀胱に限局した炎症性疾患"]
    D -->|"なし(点状出血の有無を問わない)"| F["非Hunner型(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder pain syndrome'>膀胱痛症候群</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='central sensitization'>中枢感作</span>を伴う慢性疼痛症候群に近い"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transurethral fulguration'>経尿道的焼灼</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triamcinolone'>トリアムシノロン</span>注入が直接的に有効"]
    F --> H["行動療法・薬物療法・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiotherapy'>理学療法</span>を組み合わせた症状マネジメント"]

💡 なぜ二分するのか。 Hunner型は高齢者に多く、症状が重く、病理学的にもまでの強い炎症所見を伴う——膀胱という臓器そのものが病んでいる疾患である2。一方、非Hunner型は所見に乏しく、膀胱外の症状の併存が多い——総説の逐語は IC/BPS without Hunner lesions is frequently accompanied by non-bladder symptoms で、全身の疼痛の問題・心理社会的な健康問題・の障害を挙げる3。⚠️ そのうえで・・・片頭痛といった機能性身体症候群との関連については、総説は一段弱く「近年の研究が関連の可能性を示唆している」と書くにとどまる(逐語 Recent studies have suggested a possible link between IC/BPS without Hunner lesions and widely known somatoform disorders or functional somatic syndromes (FSSs))3。「膀胱外症状の併存が多い」と「機能性身体症候群との関連が指摘されている」は強さの違う2つの主張なので、まとめて「機能性身体症候群を併存しやすい」と書かない。これは膀胱だけの問題ではなく、痛みの処理系そのものが過敏になったが背景にあると考えられている。同じ「」という診断名の下に、局所疾患と全身性疼痛症候群という異なる病態が同居している。

⭐ 組織学がこの二分を裏づけている。 Hunner型では上皮の剥離とリンパ球・形質細胞や肥満細胞の浸潤、間質の線維化・浮腫といった慢性炎症像がみられ、しかもそれはの部分に限らず膀胱全体に及ぶ(汎膀胱炎)。対して非Hunner型の膀胱には組織学的変化がほとんど無く、網羅的遺伝子発現でも正常膀胱と近い。Hunner型は膀胱の炎症性疾患、非Hunner型は膀胱に明らかな原因を欠く非炎症性の症候群というのが、この総説の整理である3。⚠️ 併存の向きも対照的で、Hunner型はむしろ膀胱外の症候群の併存が少ない3。

⭐ 日本の基準では、このを診断名の段階から分けている。を有するものが「(ハンナ型)」で、これだけが226の対象である2。⚠️ が無い症例の呼び方は、さらに2つに割れる。 同じ基準の注記は、は無いが時の点状出血を認めるものを「(非ハンナ型)」と分類し、これもと診断されるがハンナ型とは別での対象ではないと明記している。一方、概要の側は「・」という総称のうち「のあるものを(ハンナ型)、それ以外をと呼ぶ」と述べる2。つまりの枠では「非ハンナ型=」と単純に等号で結べない——点状出血を認める群は、同じ文書の中で「(非ハンナ型)」という名前を与えられている。

⚠️ ところが同じ日本でも、診療ガイドラインは別の用語法を採る。 日本研究会/日本泌尿器科学会の2019年版ガイドラインは、総称を「・(IC/BPS)」とし、のあるものを「(HIC)」、のないIC/BPSをすべて「(BPS)」と定義した。2007年版の「非」はこのに含まれる、と明記している4。💡 理由は点状出血の位置づけの変化である。 同ガイドラインは、点状出血(拡張後粘膜出血)は症状の重症度とも遺伝子発現とも関連せず臨床的な意義に乏しいとして、点状出血を診断指標から外した(ただし「まったくの正常とも言い難く、今後の研究で意義が明らかになる可能性がある」と留保も置いている)4。⚠️ したがって「非ハンナ型」という語は、226の告示(点状出血のある群を指す)と診療ガイドライン(2007年版の名残で、現行のに吸収された)で射程が違う。 どちらの文書の用語かを確かめずに読み比べない。

これに対し米国AUA基準は両者を “IC/BPS” という1つの傘の下にまとめ、表現型で治療を枝分けする立場を取る1。同ガイドラインが挙げる表現型は、①(、小さな、膀胱内で軽快する痛み)、②(診察で骨盤底に圧痛がある。骨盤底のによく反応する)、③全身型(骨盤外の非泌尿器的な痛みを伴う「広範な痛み」、・などの、不安・抑うつなどの心理社会的困難を伴う)の3つである1。同じ疾患でも、どちらの基準で診断名を付けるかによって「病名」自体が変わるという点は、他国の文献を読むときに混乱しやすい。

診断

IC/BPSはで確定する疾患ではなく、症状+を土台にして成立する。⚠️ を診断に必須とするかは基準によって違う。 日本の226の基準は所見()を診断項目そのものに含める2のに対し、米国AUAガイドラインは・を「診断が疑わしいときに考慮する」位置に置き、合併症のない典型的な症例では診断に必須ではないとしている(推奨3、Expert Opinion)1。ただしが疑われる患者にはを行うべきであり(推奨4)、しかもそれは他の行動療法・薬物療法が失敗するのを待たずに早期に行ってよい、というのが同ガイドラインの立場である1。

⭐ の位置づけは3つの指針で三者三様である。 欧州のガイドライン(2026年版)は最も積極的で、「膀胱痛のある患者には全身麻酔下の硬性を行い、亜型分類と混同しうる疾患の除外を行う」ことを強い推奨として掲げ、一次性(PBPS)をとの両方で診断するよう求めている5。同ガイドラインはESSIC分類(所見×生検所見のマトリクス)を用い、のある型を type 3、生検が陽性のものを C として type 3C と表す(点状出血グレード2〜3は type 2)。type 3C はとでしか確定できないとも明記している5。日本の診療ガイドラインも「IC/BPSらしい場合はが勧められる」としたうえで、すぐに施行できない場合や必要がないと判断した場合は、対症的に侵襲性の低い保存的治療・薬物治療を先に始めてよいという書き方をしている4。💡 同じ検査でも「膀胱痛のある患者に強く勧める()」「を疑うときに行う(AUA)」「勧めるが先に治療を始めてもよい(日本の診療ガイドライン)」と幅がある——読んでいる文献がどの立場かを確かめないと、の要否をめぐる記述は簡単に食い違う。

⭐ では「が疑われる」をどう判断するのか。 AUAガイドラインは推奨4の解説で年齢を手がかりに挙げている——50歳を超える男女はでが見つかりやすいので、50歳超のIC/BPS患者にはを提示するのが妥当である。MAPP研究ではでを認めた割合が50歳未満4.0%・50〜70歳19.7%・70歳超54.5%だった。通常の治療に反応せず、まだ一度もを受けていない患者にも実施を考慮する1。⚠️ 逆に、全例にを行うことは勧めていない——若年者はのが低く、利益と危険の釣り合いが悪いためである1。

⚠️ 臨床像だけで型を見分けようとしない。 のある患者が高齢で、頻尿・が強く、ICSIが高く、が小さいことは比較研究で繰り返し示されているが、症状は両型で重なるため、の有無を確実に判定できるのはだけだと同ガイドラインは明記している1。⭐ 総説も、両亜型はでのの有無だけで区別され、臨床的な表現型では判別できないと述べている3。上の図の分岐も、臨床像ではなく所見で分かれる点を読み違えない。

💡 AUAが採る定義は期間の閾値が短い。 同ガイドラインは Society for Urodynamics and Female Urology の定義——「膀胱に関連すると感じられる不快な感覚(疼痛・圧迫感・不快感)で、6週間を超えるを伴い、感染その他の同定しうる原因がないもの」——を採用しており、6か月を要求する定義では治療の開始が遅れるためにこれを選んだと明記している。研究やのための定義を日常診療に持ち込むと、診断と治療が遅れる1。

日本の226((ハンナ型))のは次の3要素からなり、A・B・Cのすべてを満たすものを Definite とする2。

要素 内容
A.症状 頻尿、、、膀胱不快感、膀胱痛などの症状がある。⚠️ 基準自身が「種類や程度は多岐にわたるので、症状の特定や程度の規定はできない」と注記している
B. 膀胱内にを認める(正常の毛細血管構造を欠く特有の発赤粘膜。病理学的には上皮がしばしば剥離し、組織にと炎症細胞のをみる)
C. 上記の症状や所見を説明できる他の疾患や状態がない(、、、、結核性膀胱炎、薬剤性膀胱炎、、・前立腺癌・前立腺炎、・尿道憩室・尿道炎、下部尿管結石、、、神経性頻尿、多尿など)

⚠️ Bを「または点状出血」と読まない。 226のBはだけである。後の点状出血(出血)(約80 cmH₂Oで拡張して内容液を排出する際にみられる粘膜からの点状出血)を認める場合もと診断されるが、それは(非ハンナ型)であって、226の対象には入らない2。

⭐ 診断がついても、医療費助成の対象は重症例に限られる。 日本研究会の重症度基準で重症とされたものだけが対象で、重症は「膀胱痛の程度が7〜10点(0〜10のスケール)かつ排尿記録による最大一回排尿量が100 mL以下」、軽症は「膀胱痛0〜3点かつ最大一回排尿量200 mL以上」、その中間がすべて中等症である2。💡 痛みの強さとの両方を満たす必要がある(「かつ」)ため、痛みだけが強い症例は重症にならない。⚠️ ただし重症でなければ必ず対象外、ではない。 同じ基準の留意事項は「症状の程度が上記の等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする」と定めている(いわゆる軽症高額該当)2。

⚠️ 尿培養が陰性であることは必須条件だが、それだけで診断は完成しない。・前立腺炎(男性のCP/CPPS)など、症状が重なる疾患を能動的に除外して初めて診断が成立する。

臨床像

慢性の・膀胱痛、、頻尿、がで、を伴うことも多い。「たまると痛く、出すと楽になる」という優位の痛みが、感染性膀胱炎(排尿時に痛む)との最大の鑑別点になる。

⚠️ とくに非Hunner型では膀胱外の症状(全身の疼痛の問題・心理社会的な健康問題・の障害)の併存が多く、、、、片頭痛といった機能性身体症候群との関連が指摘されている3。⚠️ 総説が断定しているのは前者までで、後者は「可能性が示唆されている」という書き方である。米国NIHが支援したMAPP研究ネットワークの研究では、IC/BPS患者(型を問わない全体)の44%が少なくとも1つのを併せ持っていた1。単一臓器の疾患として膀胱だけを診ていると、これらのを見逃し、症状マネジメント全体が後手に回る。

⭐ 骨盤の外にも広がる「広範な痛み」があるかどうかは、予後の指標でもある。 同ガイドラインは、広範な痛みを伴うIC/BPS患者では泌尿器症状がより重く、心理社会的な症状と機能がより悪く、が低く、経過とともに症状が悪化するをたどると述べている1。💡 さらにこの群では、・・の複数の指標で中枢の的な疼痛感作が示されており、全体像で述べた「痛みの処理系そのものの過敏化」はここで裏づけられている1。

治療

⭐ 2022年の改訂で、AUAは「第1選択から第6選択まで」という段階分けをやめた。 同ガイドラインは逐語で In contrast to the prior versions of this guideline, this update no longer divides treatments into first-line through sixth-line tiers. と述べ、臨床医が直線的なアルゴリズムや階層に従って進む必要はないとしたうえで、治療を行動療法・///手技/大手術の5カテゴリーに整理し直した1。⚠️ だから下の表を「上から順に試す梯子」として読まない。 も選択肢である。パネルがこの変更を行った理由は、・個々の患者要因・臨床判断こそがで最も重要だという点を強調するためだと明記されている1。

枝分かれの起点になるのはの有無で、のある患者を除いて初期治療は非なものにする(推奨5)1。

カテゴリー 内容 推奨の強さ・エビデンスの質
行動療法・ 、と行動修正(刺激物となりうる食品——コーヒー・柑橘類など——の回避、尿の濃度・量の調整、局所の・、排尿我慢訓練)、ストレス管理 Clinical Principle(推奨9〜11)
〃() 骨盤底に圧痛がある患者への(骨盤・腹部・股関節のの解除、筋の伸長、瘢痕の解放)。適切に訓練された臨床医がいる場合に提供する。⚠️ 骨盤底の筋力強化訓練(Kegel体操)は避ける Standard・Grade A(推奨12)——この指針で Grade A はこれだけで、実施を勧める側で Standard もこれだけ
(B)、(B)、(C)、ナトリウム(B)。ベット順に並べたもので優劣は含意しない Option(推奨14)
〃(鎮痛) 尿路・・・オピオイド/を、利益と危険を説明したうえで処方してよい。慢性疼痛一般と同じ原則で扱う Clinical Principle(推奨13)
〃(難治のHunner型) および/またはに抵抗性の例にとくに経口。腎機能・血圧の厳重な監視が要る Option・Grade C(推奨16)
DMSO()(C)、ヘパリン(C)、(B)。ベット順に並べたもので優劣は含意しない Option(推奨17)
手技 麻酔下+短時間(10分未満)・低圧(60〜80 cmH₂O)の水圧拡張 Option・Grade C(推奨18)
〃() があれば(レーザー・)および/または注入を行う Recommendation・Grade C(推奨19)——実施を勧める側で Recommendation はこれだけ
〃(難治例) 他の治療で症状・が十分改善しない場合の内()、(試験刺激がすれば刺激装置を植え込む) Option・Grade C(推奨20・21)
大手術 膀胱拡大術、の有無を問わない。膀胱中心性の症状をもつ慎重に選んだ患者、またはまれな末期の線維性小膀胱で、他のすべての治療が無効な場合 Option・Grade C(推奨22)

⚠️ 膀胱への注入には、患者側の前提条件が推奨文そのものに書き込まれている——治療後にが必要になりうることを患者が受け入れられることである。に耐えられない患者にはこの選択肢は適さず、の所見がある患者にはとされる1。

⚠️ 上の表は米国AUAガイドラインの治療分類であって、日本の保険診療の枠組みではない。 2020年の審査報告書は開発の前提として「に対して本邦で承認された薬剤がない」と述べており6、その後に国内で承認されたのはのDMSO(ジムソ、効能はハンナ型に限定)である7。表の薬剤を日本で用いるときは、各剤の電子添文の効能・効果に当たって確かめる。

⭐ 治療そのものと同じ重みで、AUAは「やめ方」と「立ち止まり方」も推奨に立てている1。効果を定期的に再評価し、無効な治療は中止する(推奨6、Clinical Principle)。痛みの管理は薬物療法・ストレス管理・(可能なら)を組み合わせた多面的アプローチで始め、効果が不十分なら多職種・多診療科の枠組みへ紹介する(推奨7、Clinical Principle)。そして複数の治療アプローチで改善しないときは、IC/BPSという診断自体を見直す(推奨8、Clinical Principle)。💡 である以上、「治療が効かない」は「診断が違う」の徴候でもある。

⚠️ Option という格付けは「効くと確かめられた」という意味ではない。 AUAが唯一の米国承認として挙げるでも、臨床的に意味のある改善が得られた割合はと大きく重なり(21〜56%対13〜49%)、5試験ののは1.69(95%CI 1.16〜2.46)で統計学的には有意だが臨床的にはやや弱いと同ガイドラインは評価している。事前にどの患者が反応するかを見分ける方法も無い1。⚠️ (・刺激)についても、適応は頻尿・であって、痛みに対しては効果がかなり劣り無効のこともあると明示的に注意している1。

⭐ 欧州(2026年版)の推奨は、AUAと重なりつつ何点かで踏み込み方が違う8。亜型・表現型に沿った治療と、経口・に並行して行動・理学・心理的な多面的技法を組み合わせることをいずれも強い推奨とし、と経口も強い推奨に置く(に反応が乏しい例へのヘパリン皮下注併用は弱い推奨)。⚠️ (凝固・レーザー)は「PBPS type 3C に限って」提供するという強い推奨で、本文も点状出血の部分を凝固することは推奨されないと述べている。⚠️ 水圧拡張は「単独では治療として用いない」(弱い推奨)で、A(膀胱壁・三角部への注入)は療法が無効だったときに水圧拡張と併せて考慮する(強い推奨)。の長期投与を行わない点はAUAと一致する。💡 を叩く治療だけが3つの指針で一貫して強く、それ以外は指針ごとに揺れる——この揺れ自体が、非Hunner型に決定打が無いことを表している。

⭐ 日本の診療ガイドライン(2019年版)は、AUAとは別の物差しで推奨グレードを付けている4。・電気切除/・・DMSO・・・などが B(行うよう勧められる)、・・・の内服・やヘパリンのなどが C1(行ってもよい)、の・・・レジニフェラトキシンなどが C2(行うよう勧められない) である。⚠️ 最低の D(行わないよう勧められる)は4つで、・・抗菌薬・膀胱内がこれに当たる(治療法の一覧でDが付いているのはこの4つだけである)。⚠️ 同じ薬でもで格付けが分かれる(は内服C1・C2)。💡 アルゴリズムもを起点に組まれている——十分な麻酔下のでを確認したらそのまま水圧拡張と電気またはレーザーによる病変の切除・凝固を行い、病変が無ければ水圧拡張を行う4。

⚠️ ただし日本のグレードは医学的根拠に基づく判断であって、保険診療上の推奨ではない。 同ガイドライン自身が「本邦でICに対しされている治療は、と(DMSO)の療法だけであり、保険診療上の推奨度は、これらの治療以外はすべて保留である」と注記している(2021年5月の修正でDMSOが追加された)9。

行ってはいけない治療

⭐ AUAガイドラインは「提供すべきでない」治療を4つ、独立した推奨として立てている1。⚠️ どれも但し書きを伴っており、推奨文だけを抜くと判断が反転する。

行わない治療 推奨の強さ 但し書き(落とすと判断が変わる)
長期の投与 Standard・Grade B(推奨23) 抗菌薬未使用の患者への投与を妨げるものではない。 対象は、初回のコースで効果が得られなかったのに反復・を受けている患者である。再発性尿路感染症があり感染の合間にIC/BPSを疑う症状が出る患者への予防投与も妨げない
膀胱内注入 Standard・Grade B(推奨24) 臨床研究の枠内であれば別。領域で敗血症・死亡を含む重篤な有害事象が知られている
高圧・長時間の水圧拡張 Recommendation・Grade C(推奨25) 高圧=80〜100 cmH₂Oを超える、長時間=10分を超えるもの。膀胱破裂・敗血症が増える一方で効果は一定しない。短時間・低圧の水圧拡張(推奨18)は別物で、こちらは選択肢である
全身(経口)ステロイドの長期投与 Recommendation・Grade C(推奨26) 症状の増悪期を乗り切るための短期投与を否定するものではない

日本のDMSO膀胱内注入は「間質性膀胱炎」全体の薬ではない

⚠️ ジムソの効能又は効果は「(ハンナ型)の諸症状の改善」で、ハンナ型に限定されている。7 効能又は効果に関連する注意も、症・・下部尿路の新生物・・などを膀胱内視鏡と尿検査で除外したうえで、膀胱内視鏡でが確認され確定診断を受けた患者にのみ投与するよう明記している7。💡 本ノートのが、そのまま日本の保険診療上の投与可否の線になっている——でを確認する意味は分類にとどまらない。

項目 内容7
用法・用量 50%(w/w)溶液を1回1バイアル50mL(DMSOとして27g)、2週間間隔で6回膀胱内に注入。注入後は可能な限り15分間以上膀胱内に保持してから排出させる
症状が改善した後、一定期間を経て治療を要する程度まで悪化した場合にのみ行う
投与前の準備 投与時反応(膀胱痛・・・膀胱不快感)があらわれることがあるため、必要に応じて投与前にをしてから投与する。⚠️ 膀胱粘膜麻酔のためにを注入した場合は、それをしてから本剤を注入することが勧められる——DMSOは同時に注入した他剤の吸収を促進しうるためである(日本の診療ガイドライン2021年修正9。AUAも「カクテル」を用いるならなどの毒性が生じうると同じ理由で注意している1)
主な副作用 膀胱痛30.6%、、(いずれも10%以上)、膀胱不快感・頻尿(5〜10%未満)、(5%未満)、・皮膚臭異常(ニンニク様の臭い)
禁忌と特定の背景 禁忌は本剤の成分に対する過敏症の既往歴のみと狭い。⚠️ ただし妊婦・妊娠している可能性のある女性には有益性が危険性を上回るときにのみ投与する(マウス・・ハムスターの腹腔内/で催奇形性の報告がある)。授乳の継続・中止は有益性を考慮して検討する(分子量が小さく率も低いため乳汁移行の可能性がある)。小児等を対象としたは実施されていない

⚠️ 保持時間の書き方が日米で逆を向いている。 日本の電子添文は「可能な限り15分間以上保持」と下限を定める7のに対し、AUAガイドラインは「DMSOを用いるなら保持時間を15〜20分に限ることを提案する——DMSOは膀胱壁へ速やかに吸収され、長く保持すると強い痛みを伴う」と上限の側から書いている1。💡 「15分」という同じ数字が、一方では最低ライン、他方では上限近くの目安として現れる。 数字だけを覚えると、長く保持するほどよいと誤って運用しかねない。

💡 ニンニク様の・皮膚臭は、電子添文が独立した副作用として挙げているものである7。全6回の投与をさせるうえで、事前に説明しておく価値のある項目である。

💡 国内の組入れ基準とは、いずれもICSI(O'Leary-Sant)で規定されていた。 組入れ基準はICSI 9点以上を含み、は投与12週時点のICSI変化量である。全体集団でプラセボ群に対し有意な減少がみられ、ハンナ型の部分集団でも群間差は全体集団と同程度だった7。⚠️ これは日本研究会の(膀胱痛NRS・最大一回排尿量による重症・軽症の判定)とは別の指標である——前者は・症状追跡に使う自己記入式スコア、後者は医療費助成の対象を決める行政上の重症度基準で、混同しない。

⚠️ 日本と欧米では使える手札が違う。 DMSOは米国では1978年、カナダでは1980年にの症状緩和の効能・効果で承認されていたのに対し、日本では「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと評価されたことを受けて開発され、2020年12月の医薬品第一部会での審議を経て承認、2021年4月に販売が開始された67。⭐ 審査報告書は、それ以前の状況を「に対して本邦で唯一保険適用のあるは、侵襲性が高く、施術に伴う患者の身体的及び時間的負担が比較的大きい」と記し、「に対して本邦で承認された薬剤がない」ことを開発の前提として述べている6——日本ではつい最近まで、薬物治療の選択肢が保険診療上は存在しなかった。米国で経口ナトリウムが承認薬として使われてきたのとは前提が異なる1。海外文献の肢をそのまま日本の標準治療と読み替えない。

⚠️ ナトリウムには、本剤に特有のというが知られている。 症状は読書の困難・暗いところへのの遅れ・で、当初の根拠は症例報告と小規模な症例集積だったが、その後のなが関連を確認した。は報告により幅が大きいものの、量と関係するとみられている1。AUAガイドラインは、本剤を検討する患者へこのリスクを説明すべきとしている(推奨15、Clinical Principle)1。「」自体はIC/BPS治療全般に関する同ガイドラインの(推奨5)であり、本剤に限定された要求ではない。

⭐ 説明だけでなく、眼科的な監視の手順まで決まっている。 同ガイドラインは、2020年6月にが本剤の新しい表示を承認したとして次の3点を挙げている1。

  • 投与開始前に、全例で詳細な眼科的病歴を聴取する
  • 既存の眼疾患がある患者では、開始前に網膜のベースライン精査を行うことが推奨される
  • 全例で開始後6か月以内の網膜検査が提案され(逐語は a retinal examination is suggested for all patients within six months of initiating treatment)、継続中も定期的に繰り返す。網膜にが現れたら、その変化は不可逆でありうるので継続の利益と危険を評価し直す

米国の添付文書はさらに2点を加えている10。遺伝性のの家族歴があるときは遺伝学的検査を考慮する(遺伝性疾患との鑑別が難しくなるため)。そして⚠️ 網膜と視機能の変化は投与を中止したあとも進行しうるので、中止後も網膜検査の追跡を続ける。「不可逆でありうる」より一歩踏み込んだ記載である。

⚠️ 「不可逆でありうる」というのが、症状を待たずに監視を始める理由である。

💡 本剤の効きにも、このノートのが顔を出す。 同ガイドラインは、のある患者ではの効果が低いという報告があると注記している1——Hunner型はで全身から攻めるより、病変そのものを・注入で叩くほうが直接的だという枠組みと整合する。

⭐ の有無で治療の重心が変わることを踏まえると、を認めない型に安易にを行っても、焼く病変が無いため効果は乏しい。 逆にHunner型に対して全身疼痛症候群としての多面的治療だけを続けても、局所の炎症病変そのものは残る。

まとめ

  • IC/BPSは、に増悪し排尿で軽快する膀胱痛+頻尿・が持続し、感染など他の原因が除外されて初めて成立するである。
  • の有無が最大の:Hunner型は膀胱に限局した炎症性疾患(炎症は病変部だけでなく膀胱全体に及ぶ)で・注入が直接的に有効、非Hunner型は組織学的変化に乏しくを伴う慢性疼痛症候群に近いため多面的な症状マネジメントが中心になる。⚠️ 両型は症状が重なるので臨床像では判別できず、確実に分けられるのはだけである。
  • 日本の226はこのを診断名の段階から分ける(対象はを有する「(ハンナ型)」だけで、が無く水圧拡張時の点状出血を認めるものは「(非ハンナ型)」として区別され対象外。⚠️ この枠では非ハンナ型とを等号で結ばない)のに対し、米国AUA基準はIC/BPSという1つの傘の下で表現型(・・全身型)により治療を枝分けする。⚠️ 同じ日本でも診療ガイドライン2019年版は用語法が違い、のないIC/BPSをすべて「」と定義して点状出血を診断指標から外している(2007年版の「非ハンナ型」はここに吸収された)。
  • の位置づけも三者三様:日本のの基準は診断項目そのものに含め、AUAは典型例では必須とせず(を疑うとき・50歳超・通常治療に反応せず未検査の例に行い、全例には勧めない。MAPP研究でのの検出率は50歳未満4.0%・50〜70歳19.7%・70歳超54.5%)、 2026は膀胱痛のある患者に全身麻酔下の硬性を強い推奨として求め、ESSIC分類(=type 3、生検陽性=C)で亜型分類する。
  • AUAは2022年の改訂で「第1選択〜第6選択」の段階分けを廃止した。 治療は5カテゴリー(行動療法・///手技/大手術)に整理され、直線的に進む必要はなく併用してよい。ただしのある患者を除いて初期治療は非なものにする。
  • 推奨の強さを潰さない:実施を勧める側で Standard かつ Grade A は骨盤底の圧痛に対するだけ(⚠️ Kegel体操は避ける)、Recommendation はへの・注入だけで、残る薬物・手技はすべて Option である。
  • 行ってはいけない治療が4つある(長期の・膀胱内・高圧長時間の水圧拡張・全身ステロイドの長期投与)。⚠️ いずれも但し書きつきで、抗菌薬未使用例や再発性尿路感染症の予防投与、増悪期の短期ステロイド、短時間低圧の水圧拡張までは否定されていない。
  • 治療の効果量は総じて小さい(AUAが唯一の米国承認とするでも改善割合はと大きく重なり、のは1.69)。だからこそAUAは無効な治療の中止(推奨6)と複数の治療で改善しないときの診断の見直し(推奨8)を独立した推奨に立てている。の適応は頻尿・で、痛みには効果が劣る。
  • 日本の診療ガイドライン2019年版は独自の推奨グレードを付け(水圧・切除/・レーザー・DMSO注入・がB、内服はC1だがはC2、Dは・・抗菌薬・の4つ)、⚠️ 医学的根拠のグレードと保険診療上の扱いは別で、はとDMSOの2つだけ・他はすべて「保留」と明記している。 2026はをPBPS type 3Cに限って強く推奨し、点状出血の凝固は推奨せず、水圧拡張の単独使用も推奨しない。
  • 日本でに承認された薬剤は長らく存在せず、保険適用があるのはだけだった。2021年に承認されたDMSO液(ジムソ)が最初の薬剤だが、その効能はハンナ型に限定され、でを確認した患者にのみ投与する。用法は1回50mL(DMSO 27g)を2週間隔で6回、注入後15分以上保持(⚠️ AUAは逆に「保持は15〜20分に限る」と上限側から書いている)。膀胱痛が30.6%に生じ、ニンニク様の体臭・が起こることを事前に説明する。⚠️ 麻酔目的でを注入したときは、DMSOが他剤の吸収を促進するためしてから本剤を注入する。
  • 米国では経口ナトリウムが使われるが、本剤に特有のがあり、処方前の説明(推奨15)に加えて、2020年6月のの表示が全例での開始前の眼科的・開始後6か月以内の網膜検査・以後の定期検査を求めている。網膜のは不可逆でありうる。
  • 膀胱への注入は、が必要になりうることを患者が受け入れられることが推奨文に組み込まれた前提条件で、の所見があればになる。
  • の併存が多く(MAPP研究では型を問わないIC/BPS全体の44%が少なくとも1つを併せ持つ)、単一臓器の疾患として診るだけでは症状マネジメントが不十分になりやすい。⚠️ 非Hunner型について総説が断定しているのは「膀胱外症状の併存が多い」までで、・などの機能性身体症候群との関係は「関連が指摘されている」段階である。

出典

  1. 1.Diagnosis and Treatment of Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome(American Urological Association・2022)AUAの当該ガイドラインページ(表示は「Published 2011; Amended 2014, 2022」で2026-09-13時点の現行版)の全文を取得して確認した。採用している定義がSUFUのもので「An unpleasant sensation (pain, pressure, discomfort) perceived to be related to the urinary bladder, associated with lower urinary tract symptoms of more than six weeks duration, in the absence of infection or other identifiable causes.」であり、6か月を要求する定義では治療開始が遅れるためこれを選んだと述べていること。推奨3が膀胱鏡・尿流動態検査を「診断が疑わしいときに考慮する。合併症のない症例では診断に必須ではない」(Expert Opinion)とし、推奨4が「ハンナ病変が疑われる患者には膀胱鏡を行うべき」(Expert Opinion)とすること、本文でハンナ病変が疑われる場合は他の行動療法・薬物療法の失敗を待たずに早期の膀胱鏡が正当化されるとしていること。表現型を膀胱中心型(ハンナ病変・小さな膀胱容量・膀胱内局所麻酔で軽快する痛み)・骨盤底型・全身型(広範な痛み・慢性重複疼痛病態・心理社会的困難)の3つで説明していること。本改訂が「In contrast to the prior versions of this guideline, this update no longer divides treatments into first-line through sixth-line tiers.」と明記し、治療を行動療法・非薬物療法/経口薬/膀胱内注入/手技/大手術の5カテゴリーへ再編し、直線的アルゴリズムに従う必要はなく併用可、ただしハンナ病変のある患者を除いて初期治療は非手術的とすること(推奨5)。推奨12(骨盤底の圧痛がある患者への用手的理学療法、Kegel体操は避ける)が Standard・Grade A でこの指針で唯一の Grade A であり、推奨19(ハンナ病変への焼灼および/またはトリアムシノロン注入)が実施を勧める側で唯一の Recommendation であり(提供すべきでない側の推奨25・26も Recommendation である)、他の薬物・手技はすべて Option であること。推奨14が経口4剤(アミトリプチリン・シメチジン・ヒドロキシジン・ペントサンポリ硫酸、アルファベット順で優劣を含意しない)で Grades B, B, C, and B、推奨16が経口シクロスポリンAを焼灼/トリアムシノロン抵抗性のハンナ病変例に「particularly」として Option・Grade C、推奨17が膀胱内注入3剤(DMSO・ヘパリン・リドカイン、アルファベット順)で Grades C, C, and B、推奨18が短時間・低圧(60〜80 cmH2O、10分未満)の水圧拡張で Option・Grade C、推奨20が排尿筋内オナボツリヌストキシンAで Option・Grade C かつ推奨文自身が間欠自己導尿を受け入れられることを条件にし本文が「導尿に耐えられない患者には適さず、排尿障害の所見がある患者には相対禁忌」とすること、推奨22が大手術で Option・Grade C であること。推奨15(ペントサンポリ硫酸の黄斑障害リスクの説明、Clinical Principle)の本文が、色素性黄斑症の症状・累積曝露量との関係・2020年6月にFDAが承認した警告表示の3点(全例で開始前の詳細な眼科的病歴、既存の眼疾患がある患者では開始前の網膜のベースライン精査、全例で開始後6か月以内の網膜検査と継続中の定期検査、色素変化が生じたら不可逆でありうるので継続の利益と危険を再評価)を挙げていること、ペントサンポリ硫酸はハンナ病変のある患者で効果が低いという報告があると注記していること。共同意思決定は推奨5の全般的な原則であってペントサンポリ硫酸に限定された要求ではないこと。提供すべきでない治療が推奨23〜26の4つ(長期の経口抗菌薬 Standard・Grade B、膀胱内BCG Standard・Grade B、高圧かつ長時間の水圧拡張 Recommendation・Grade C、全身ステロイドの長期投与 Recommendation・Grade C)であり、それぞれに但し書き(抗菌薬未使用の患者への投与や再発性尿路感染症への予防投与は妨げない、高圧は80〜100 cmH2O超・長時間は10分超を指す、増悪期の短期ステロイドは否定しない)が付いていることを確認した。⭐ 2026-09-16の実行で推奨4の解説を逐語確認した——「Men or women over the age of 50 are more likely to have Hunner lesions on cystoscopy, thus it is reasonable to offer cystoscopy to IC/BPS patients over the age of 50.」「Cystoscopy should also be considered in those who fail conventional therapies but have never had a cystoscopy before in order to evaluate for the presence or absence of Hunner lesions.」「In the MAPP research study, Hunner lesions were found in 4.0% of cystoscopy in patients less than 50 years old, 19.7% between ages 50 to 70, and 54.5% over the age of 70.」「In the Panel’s opinion, performing cystoscopy to every IC/BPS patient is not advisable since the benefits/risks ratio is unfavorable for younger patients who have much lower prevalence of Hunner lesions.」。臨床像での判別については「Although comparative studies have showed that Hunner lesions patients are older, have greater urinary frequency and nocturia, higher ICSI scores, and lower bladder capacity compared to those without Hunner lesion, cystoscopy remains the only reliable way to diagnose the presence or absence of Hunner lesions given the overlaps in clinical symptomatology.」。44%の逐語は「More comprehensive studies conducted by the NIH-funded Multidisciplinary Approach to the Study of Chronic Pelvic Pain (MAPP) Research Network found that 44% of IC/BPS patients had at least one additional COPC.」で、⚠️ **対象はIC/BPS全体であり非ハンナ型に限った数値ではない**閲覧 2026-09-13
  2. 2.間質性膀胱炎(ハンナ型)(指定難病226)(難病情報センター・2025)ページ全文(情報更新日「令和7年10月」、診断基準・重症度分類の適用は令和6年4月1日)を取得して逐語確認した。⚠️ 前回の記載にあった「ハンナ病変を認めず点状出血のみを認めるものを膀胱痛症候群と呼ぶ」「診断基準の膀胱鏡所見はハンナ病変または点状出血」は誤りだったので是正した。同ページは2通りの区分を別々に書いている——概要は「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」の総称のうち「ハンナ病変のあるものを間質性膀胱炎(ハンナ型)、それ以外を膀胱痛症候群と呼ぶ」とする一方、診断基準の注は「①間質性膀胱炎(ハンナ型):ハンナ病変を有するもの。②間質性膀胱炎(非ハンナ型):ハンナ病変はないが膀胱拡張術時の点状出血を有するもの」と分類し、「膀胱拡張術後の点状出血を認める場合も間質性膀胱炎と診断されるが、今回対象となるハンナ型とは異なり間質性膀胱炎(非ハンナ型)と分類される」と明記している。指定難病226の診断基準はA症状(頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱不快感・膀胱痛など。種類や程度は多岐にわたるので特定や程度の規定はできないと注記)、B検査所見(「膀胱内にハンナ病変を認める」のみ。ハンナ病変は正常の毛細血管構造を欠く特有の発赤粘膜で、病理学的には上皮がしばしば剥離し粘膜下組織に血管増生と炎症細胞の集簇をみる)、C鑑別診断(過活動膀胱・膀胱癌・細菌性膀胱炎・放射線性膀胱炎・結核性膀胱炎・薬剤性膀胱炎・膀胱結石・前立腺肥大症・前立腺癌・前立腺炎・尿道狭窄・尿道憩室・尿道炎・下部尿管結石・子宮内膜症・膣炎・神経性頻尿・多尿など)の3要素で、Definite はA・B・Cのすべてを満たすもの。①の患者の方が高齢で症状も重症で病理学的炎症所見が強いこと。重症度分類は日本間質性膀胱炎研究会の基準で重症のみを対象とし、重症は「膀胱痛の程度が7〜10点かつ排尿記録による最大一回排尿量が100mL以下」、軽症は「膀胱痛0〜3点かつ最大一回排尿量200mL以上」、その中間が中等症であること。点状出血は約80cm水柱圧で膀胱を拡張し内容液を排出する際にみられる粘膜からの点状出血と定義されていること閲覧 2026-09-14
  3. 3.Biomarkers in Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome with and without Hunner Lesion: A Review and Future Perspectives(Diagnostics・2021)Europe PMCのPMC8700457で全文(CC BY)を取得して逐語確認した。両亜型は「distinguished simply by the cystoscopic presence or absence of Hunner lesions; however, they cannot be discerned by clinical phenotyping because of the overlap in clinical characteristics」であること。臨床的な差は「compared with IC/BPS without Hunner lesions, IC/BPS with Hunner lesions is characterized by an older age of onset, more severe bladder-centric symptoms, diminished bladder capacity, fewer comorbid non-bladder syndromes, and more favorable outcomes upon endoscopic treatment」であり、⚠️ ハンナ型は膀胱外症候群の併存がむしろ**少ない**こと。非ハンナ型は「frequently accompanied by non-bladder symptoms, which include other systemic pain problems, personal psychosocial health problems, and affect dysregulation」で、過敏性腸症候群・線維筋痛症・慢性疲労症候群・片頭痛といった機能性身体症候群との関連が指摘されていること。組織像は「IC/BPS with Hunner lesions has proven bladder histology, showing epithelial denudation and chronic inflammatory changes such as lymphoplasmacytic and mast cell infiltration, stromal fibrosis, and edema」「these histological changes can be observed in the entire bladder (i.e., pancystitis) and are not confined to the Hunner lesion」、対して「IC/BPS without Hunner lesions shows few histological changes」であること。網羅的遺伝子発現については逐語で「the gene expression profiles of the bladder of IC/BPS patients without Hunner lesions were similar to those of normal bladders, and no specific biological pathways were detected in this subtype」(ハンナ型では免疫応答と感染に関わる生物学的過程が亢進している)と述べていること。結論は「IC/BPS with Hunner lesions is a robust chronic inflammatory disease of the bladder, whereas IC/BPS without Hunner lesions is a non-inflammatory condition with no obvious bladder etiology」であること。単著(Akiyama Y)であることはCrossrefで照合した閲覧 2026-09-16
  4. 4.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2019年版)(日本間質性膀胱炎研究会/日本泌尿器科学会・2019)本体PDF(2019年3月発行、日本泌尿器科学会サイトで公開)を取得して逐語確認した。用語の定義(表3)が、総称を「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)」、ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)を「ハンナ病変のあるIC/BPS」、膀胱痛症候群(BPS)を「ハンナ病変のないIC/BPS」とし、本文が「2007年版GLのNHIC(非ハンナ型間質性膀胱炎)は本GLのBPSに含まれる」と明記していること。点状出血・拡張後粘膜出血については「症状重症度や遺伝子発現と関連せず臨床的な意義は乏しい」として診断指標から外し、「まったくの正常とも言い難く、今後の研究でその意義が明らかとなる可能性がある」と留保していること。診療アルゴリズムの4〜6が「IC/BPSらしい場合は膀胱鏡検査が勧められる。検査をすぐに施行できない場合、その必要がないと判断した場合は、対症的に侵襲性の低い治療(保存的治療・薬物治療など)を開始してもよい」「膀胱鏡検査でハンナ病変を確認した場合は、十分な麻酔下で膀胱鏡検査を行っていれば、引き続き水圧拡張と電気またはレーザーによる病変部の切除または凝固を行う」「ハンナ病変が確認できない場合は…引き続き水圧拡張を行う」とすること。治療法一覧(37頁)の推奨グレードが、緊張の緩和B・理学療法B・食事療法B・行動療法C1・アミトリプチリンB・デュロキセチンD・ヒドロキシジンC1・シメチジンC1・シクロスポリンAC1・ポリ硫酸ペントサンナトリウム(内服)C1・アルギニンD・抗菌薬D・DMSO(膀胱内注入)B・ヘパリン(膀胱内注入)C1・ポリ硫酸ペントサンナトリウム(膀胱内注入)C2・コンドロイチン硫酸C2・カプサイシンC2・レジニフェラトキシンC2・BCG(膀胱内注入)D・リドカイン(膀胱内注入)C1・ボツリヌス毒素C1・膀胱水圧拡張術B・経尿道的ハンナ病変電気切除/焼灼術B・経尿道的ハンナ病変レーザー治療B・仙骨神経刺激C1・膀胱拡大術/摘出術・尿路変更術C1 であること(凡例は7区分で、A=行うよう強く勧められる、B=行うよう勧められる、C=行うよう勧めるだけの根拠が十分でない、C1=行ってもよい、C2=行うよう勧められない、D=行わないよう勧められる、保留=推奨のグレードを決められない。治療法の一覧でDが付いているのはデュロキセチン・アルギニン・抗菌薬・BCGの4つだけである)。⚠️ 本体(2019年版)の注記は保険収載を膀胱水圧拡張術だけとしており、DMSOの追加は2021年の修正で入った(別出典)。経口ステロイド(C1)の本文は「長期間ステロイドを投与し続けることは副作用の観点から推奨されないが、HIC患者に対して症状の増悪に応じた短期間の使用はありうる」と書いていること閲覧 2026-09-17
  5. 5.EAU Guidelines on Chronic Pelvic Pain — Diagnostic Evaluation(European Association of Urology・2026)2026年版(サイトの Summary of Changes は「The 2026 update comprised a limited revision」とし、全面改訂は2027年予定と述べる)の診断の章を取得して逐語確認した。一次性膀胱痛症候群(PBPS)の推奨が「Perform general anaesthetic rigid cystoscopy in patients with bladder pain to subtype and rule out confusable disease.」(Strong)であり、続く推奨が症状のある患者をEAUの定義に従って特定疾患の除外後に亜型と表現型で診断するよう求めていること。Table 4 のESSIC分類が膀胱鏡(未施行XX/正常1/点状出血2/ハンナ病変3)と生検(未施行X/正常A/不確定B/陽性C)のマトリクスであり、脚注が点状出血を grade 2-3 と規定していること。エビデンスの要約に「Primary bladder pain syndrome type 3C can only be confirmed by cystoscopy and histology.」(LE 2a)「Pain in PBPS does not correlate with bladder cystoscopy or histologic findings.」(LE 2a)とあること閲覧 2026-09-17
  6. 6.ジムソ膀胱内注入液50%(ジメチルスルホキシド)審議結果報告書・審査報告書(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課/医薬品医療機器総合機構・2020)令和2年12月2日の医薬品第一部会で本品目を承認して差し支えないとされ再審査期間が10年とされたこと、本薬が「間質性膀胱炎」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されていること(指定番号(29薬)第402号、平成29年9月7日付け)、本薬が米国では1978年・カナダでは1980年に間質性膀胱炎の症状緩和の効能・効果で承認されていること、国内では「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性が高いと判断されたことを受けて承認申請がなされたことを確認した閲覧 2026-09-08
  7. 7.ジムソ膀胱内注入液50% 電子添文(2024年5月改訂・第4版)(医薬品医療機器総合機構(杏林製薬)・2024)日本の効能又は効果が「間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状(膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感及び不快感、尿意亢進又は頻尿等の下部尿路症状)の改善」であってハンナ型に限定されていること、効能又は効果に関連する注意が尿路性器感染症・尿路結石・下部尿路の新生物・過活動膀胱・前立腺肥大症等の除外診断を膀胱内視鏡と尿検査等で行ったうえで膀胱内視鏡でハンナ病変が認められ間質性膀胱炎(ハンナ型)の確定診断を受けた患者にのみ投与するよう求めていること、用法及び用量が50%ジメチルスルホキシド溶液を1回1バイアル50mL(ジメチルスルホキシドとして27g)・2週間間隔で6回膀胱内に注入し注入後は可能な限り15分間以上膀胱内に保持してから排出させることであること、再治療は症状が改善した後に一定期間経過して治療を要する程度まで悪化した場合にのみ行うこととされていること、重要な基本的注意が投与時反応(膀胱痛・尿道痛・膀胱刺激症状・膀胱不快感等)に対して必要に応じ投与前に局所麻酔剤の膀胱内注入を行うこととしていること、禁忌が本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者のみであること、副作用が10%以上で膀胱痛(30.6%)・尿道痛・膀胱刺激症状、5〜10%未満で膀胱不快感・頻尿、5%未満で排尿困難、ほかに呼気臭・皮膚臭異常(ニンニク様の臭い)であること、国内第III相試験(96例)の主な組入れ基準が1回排尿量50mL以上・残尿量100mL未満・1日排尿量3,000mL未満・1日平均排尿回数8回以上・膀胱痛NRS 4以上・ICSI 9点以上であり主要評価項目である投与12週のICSI変化量が全体集団で本剤群がプラセボ群に対し有意に減少しハンナ型の部分集団でも群間差が全体集団と同程度であったこと、承認番号が30300AMX00029000で販売開始が2021年4月であることを確認した閲覧 2026-09-08
  8. 8.EAU Guidelines on Chronic Pelvic Pain — Management(European Association of Urology・2026)2026年版の治療の章を取得して逐語確認した。一次性膀胱痛症候群の推奨とその強さが、亜型・表現型に沿った治療(Strong)、経口または侵襲的治療と並行した多面的な行動・理学・心理的技法(Strong)、食事指導(Weak)、アミトリプチリン(Strong)、経口ペントサンポリ硫酸(Strong)、低反応例へのペントサンポリ硫酸+ヘパリン皮下注(Weak)、経口ステロイドの長期投与を推奨しない(Strong)、膀胱内ヒアルロン酸またはコンドロイチン硫酸(Weak)、膀胱内リドカイン+重炭酸ナトリウム(Weak)、膀胱内ヘパリン(Weak)、「Do not use bladder distension alone as a treatment of PBPS.」(Weak)、膀胱内注入が無効なときの粘膜下・三角部へのボツリヌス毒素A+水圧拡張(Strong)、神経調節をより侵襲的な介入の前に(Weak)、切除的/再建的手術は最終手段として経験ある術者が多職種評価を経て行う(Strong)、「Offer transurethral resection (or coagulation or laser) of bladder lesions, but in PBPS type 3C only.」(Strong)であること。本文が「Coagulation of glomerulations or petequiae area is not recommended.」と述べ、水圧拡張について「It can be part of the diagnostic evaluation but has limited therapeutic role」としていること。ペントサンポリ硫酸は「had a more favourable effect in non-lesion disease than in PBPS type 3C with regards to frequency of micturition」と述べられていること閲覧 2026-09-17
  9. 9.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドラインの修正・追加(日本間質性膀胱炎研究会/日本泌尿器科学会・2021)2019年版ガイドラインへの修正・追加文書(2021年5月、作成委員長 本間之夫)を取得して逐語確認した。DMSOの国内保険収載(2021年4月)に伴い、本体の複数箇所が「本邦でICに対し保険収載されている治療は、膀胱水圧拡張術とジメチルスルホキシド(DMSO)の膀胱内注入療法だけであり、保険診療上の推奨度は、これらの治療以外はすべて保留である」と改められたこと。53頁の修正が用法を「通常、1回1バイアル50mL、2週間間隔で6回膀胱内に注入する。なお、膀胱内注入後、可能な限り15分間以上膀胱内に保持してから排出させる」と引いたうえで、「本剤は同時に注入したほかの薬剤の吸収を促進する可能性があるので、膀胱粘膜麻酔のために局所麻酔薬を注入した場合には、これを排液してから本剤を注入することが勧められる」と加えていること。ポリ硫酸ペントサンナトリウムの内服については、長期使用で色素沈着黄斑変性症の発生が報告されたとして48頁に追記されたこと。2026-05-07時点の日本泌尿器科学会ガイドライン一覧でも、本ガイドラインは2019.4.25発行+2021.5アップデートとして掲載されており、以後の改訂版は掲載されていない閲覧 2026-09-17
  10. 10.ELMIRON (pentosan polysulfate sodium) capsule — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed) / Janssen Pharmaceuticals・2024)米国添付文書(本文の改訂表示は Revised: 07/2024、setid f0ba651e-3d8a-11df-8fbe-119855d89593、NDA020193、Janssen Pharmaceuticals)のWARNINGS節を自分で取得して確認した。AUAガイドラインが挙げる3点に加えて、逐語で「If there is a family history of hereditary pattern dystrophy, genetic testing should be considered.」(遺伝性の網膜ジストロフィーの家族歴があるときは遺伝学的検査を考慮する)と「Follow-up retinal examinations should be continued given that retinal and vision changes may progress even after cessation of treatment.」(網膜と視機能の変化は投与中止後も進行しうるため追跡を継続する)の2点を記載していること、および本剤の網膜色素変化に関する記載は枠組み警告ではなく通常のWARNINGS節であることを確認した。米国の添付文書の記載であり、他国の規制上の位置づけは確認していない閲覧 2026-09-13