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Disease Atlas · 腎・泌尿器 · 疾患

逆流性腎症

Reflux nephropathy

別名
逆流性腎障害
臓器系
腎・泌尿器小児
科目
UrologyPathologyPediatrics
トピック
泌尿器科学 U-02:腎臓・尿管・膀胱の発生異常病理学 C/66:急性・慢性腎盂腎炎小児科 1-06:小児・思春期の高血圧
上位概念
急性・慢性尿細管間質性腎炎
続発疾患
高血圧症慢性腎臓病
症状
多尿
検査値
クレアチニン
画像所見
腎瘢痕
元疾患
膀胱尿管逆流

🧠 全体像:は、(VUR)によって尿(多くは感染尿)が腎盂・腎実質へ繰り返し押し戻され、腎盂腎炎を反復した結果として生じる斑状のである。VURそのものは無症候なことが多いが、このこそが小児の・高血圧の重要な原因になる——「VURは治った(した)から終わり」ではなく、瘢痕が既に残っていれば、そこから先の腎機能・血圧は生涯にわたる管理課題になるという点が理解の核心である。

病態

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vesicoureteral reflux (VUR)'>膀胱尿管逆流</span>(VUR)"] --> B["感染尿・高圧の尿が<br>腎盂から腎実質内へ逆流(腎内逆流)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute pyelonephritis'>急性腎盂腎炎</span>を反復"]
    C --> D["斑状の間質性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scarring'>瘢痕化</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular atrophy'>尿細管萎縮</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nephron'>ネフロン</span>量減少"]
    D --> E["残存糸球体の代償性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperfiltration'>過剰濾過</span>"]
    E --> F["糸球体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='global'>全節性</span>肥大・糸球体周囲線維化"]
    F --> G["蛋白尿・高血圧・進行性の腎機能低下"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic kidney disease, CKD'>慢性腎臓病</span>〜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='end-stage renal failure'>末期腎不全</span>"]

⭐ そのものは「腎盂腎炎の」であり、逆流が続いていることの証拠ではない。 一度形成された瘢痕は、その後VURがしても消えない。⚠️ 旧称は「」だが、この呼び方は感染の反復だけをさせ、後述するによる二次性のという進行機序を見えにくくする。

💡 「小さな瘢痕」が長期的に問題になるのは、残った健常への負担が原因である。 瘢痕で失われた量を補うため、残存する糸球体がの状態に置かれ、これが糸球体の肥大・糸球体周囲線維化を介して(FSGS)様の二次性に発展しうる——量減少による二次性FSGSと同じ機序である。

疫学

⭐ 小児の・の主要原因の1つである。 小児のおよそ1〜3%に生じ、世界的にみて小児の7〜17%と関連し、成人のでも原因の最大10%を占めうる1。多くは早期成人期・妊娠中の健診で発見される。

臨床像

  • 多くは無症候性で、VURの精査中や、健診での高血圧・蛋白尿の指摘、妊娠中の評価で見つかる。
  • した腎のにより多尿・口渇を来すことがある。
  • の小児・若年成人の10〜30%に高血圧を認める1。片側性の高度瘢痕でも、レニン産生を介してを来しうる。
  • 進行例では蛋白尿、浮腫、の症状を呈する。

診断

  • 超音波で腎の萎縮・皮質の菲薄化・表面の不整(瘢痕)を確認する。
  • による評価が最も感度が高い。が異常、または血清クレアチニンが上昇していればによる評価を推奨する2。
  • 血清クレアチニン(換算)、尿蛋白、血圧を定期的にモニタリングする。
  • 既往にVUR・反復するがないかを必ず確認する——瘢痕が先に見つかり、VURの既往が後から判明することもある。

治療

⚠️ 瘢痕そのものを元に戻す治療は無い。 治療の主眼は、①新たなを防ぐこと(VURの管理・感染の早期治療)と、②既に生じた腎機能低下の進行を遅らせることの2つに分かれる。

  • や確立した蛋白尿がある患者では、阻害薬を適切に用いる1。
  • 蛋白尿は進行の予測因子であり、治療標的になりうる——蛋白尿の持続は腎機能の進行性悪化と関連し、への進展を防ぐためのとして扱われる3。
  • 血圧・尿蛋白・腎機能を定期的にフォローし、進行すればとしての標準的な管理(食事・・の準備)に移行する。
  • 基礎にあるVUR自体の管理(・外科的介入の要否)は、VURのノートを参照。

まとめ

  • は、VURによる反復性腎盂腎炎の結果として生じる斑状のであり、小児・若年成人の・・高血圧の重要な原因である。
  • 病理は間質性・・量減少で、残存のが二次性のを介して進行を持続させる。
  • 小児のおよそ1〜3%に生じ、小児の7〜17%、成人の最大10%と関連する。
  • ⭐ した腎は、VURがした後も残る。 「VURが治った」ことは「腎機能・血圧のフォローが不要になった」ことを意味しない。
  • 診断はによる瘢痕評価が中心。治療は新たなの予防と阻害薬による進行抑制が軸で、蛋白尿の持続は進行リスクの指標として扱う。

出典

  1. 1.Reflux Nephropathy(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)逆流性腎症が小児のおよそ1〜3%に生じ、世界的にみて小児末期腎不全の7〜17%と関連し、成人の末期腎不全の原因としても最大10%を占めうること、病理所見が斑状の間質性瘢痕化・広範な尿細管萎縮・糸球体の全節性肥大と糸球体周囲線維化であること、逆流性腎症の小児・若年成人の10〜30%に高血圧を認めること、糸球体過剰濾過や確立した蛋白尿がある患者ではレニン・アンジオテンシン系阻害薬を適切に用いるべきであることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Management and Screening of Primary Vesicoureteral Reflux in Children(American Urological Association (AUA)・2017)腎超音波が異常か血清クレアチニンが上昇している場合にDMSAシンチグラフィによる腎瘢痕評価を推奨することを確認した閲覧 2026-09-06
  3. 3.Vesicoureteral Reflux, Reflux Nephropathy, and End-Stage Renal Disease(Advances in Urology(Brakeman P)・2008)蛋白尿が逆流性腎症における腎機能の進行性悪化と関連し、末期腎不全への進展を防ぐための治療標的になりうることを確認した閲覧 2026-09-06