小児科学

小児科学 · 1-06

小児・思春期の高血圧

Hypertension in Children and Adolescents

前提:正常
動脈血圧を決める因子腎臓の組織(ネフロン)
疾患
Liddle症候群逆流性腎症大動脈縮窄

🧠 全体像: 小児高血圧は年齢・性・身長で基準が変わる。正しいカフで複数回確認し、若年・重症なら二次性を、肥満を伴う思春期なら一次性を強く考える。

定義と測定

  • 3歳以上は原則年1回測定し、肥満、腎疾患、糖尿病、閉塞、薬の使用では毎受診時に測る。
  • で高値なら、適切なカフを用いたで確認する。
  • 通常は異なる3回の診察で高値を確認する。症候性・では待たない。
年齢 正常 高値血圧 高血圧
1〜12歳 90未満 90〜95未満、または120/80 mmHg以上の低い方まで 95以上(病期は程度で分類)
13歳以上 120/80 mmHg未満 120〜129かつ拡張期80未満 130/80 mmHg以上

原資料の年齢別「正常範囲」の固定表より、年齢・性・身長表を用いる方が正確である。との識別・診断確認には24時間(ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)が重要である。

💡 上表は(AAP)2017年改訂に基づく分類である。 従来の年齢別基準は児を含む集団のデータから作られていたが、2017年改訂では児のみのデータで表を作り直した結果、閾値が下がり高血圧と判定される小児が増えたとされる。13歳以上は年齢・性・身長のではなく、成人に準じた固定値(120/80未満が正常、130/80以上が高血圧)に切り替わる。1

⚠️ 国により年齢の区切りと閾値が異なる。 欧州高血圧学会()2016年版は16歳以上で成人と同じ絶対値へ切り替え、高血圧の閾値を140/90 mmHg以上(高値は130-139/85-89 mmHg)とする。米国AAPの13歳・130/80 mmHgとは区切りの年齢・閾値のいずれも異なるため、どちらの基準によるかを明記して用いる必要がある。2

原因

一次性高血圧

思春期、肥満、家族歴、男性、・早産、塩分過多、運動不足、睡眠不足、などが関連する。

二次性高血圧

系統 代表原因 手がかり
腎実質 糸球体腎炎、腎盂腎炎、、、逆流・ 血尿、蛋白尿、浮腫、腎機能異常
腎血管 、、血管炎 、低K血症、レニン亢進
心血管 、中部、 上肢高血圧、下肢低血圧・脈拍減弱
内分泌・腫瘍 、Cushing症候群、、、、、Wilms腫瘍 成長・体型、電解質、発作性症状
単一遺伝子 、、関連異常 若年、家族歴、低レニン、K・酸塩基異常
薬物 、副腎皮質ステロイド、、経口避妊薬、等 ・曝露歴

💡 の頻度は年齢が下がるほど高い。 イタリアの単施設研究(高血圧の小児70例)では、二次性の割合が5歳未満で100%(2/2例)、5〜10歳で50%(10/20例)、10歳超で35.4%(17/48例)であり、原因は先天性孤立性腎・CAKUT関連・腎形成低形成などのが最多だった。3

評価

flowchart TD
    A["正しい方法で血圧高値を確認"] --> B["四肢血圧・脈拍、成長、肥満、皮膚、眼底を評価"]
    B --> C["尿検査、電解質、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urea nitrogen (BUN)'>尿素窒素</span>・クレアチニン、脂質"]
    C --> D{"6歳未満、重症、尿・腎機能異常があるか"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal ultrasound'>腎超音波</span>など二次性検索を拡大"]
    D -->|"いいえ"| F["一次性を考えABPMで確認"]
    E --> G["病歴に応じレニン/アルドステロン、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metanephrine'>メタネフリン</span>、甲状腺、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep study'>睡眠検査</span>"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='target organ damage'>標的臓器障害</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='therapeutic indications'>治療適応</span>なら心エコー"]
  • 全例:尿検査、電解質・腎機能、脂質。
  • 肥満例:または血糖、、睡眠時無呼吸を評価する。
  • は6歳未満、尿・腎機能異常、二次性疑いで行う。
  • 病期2または症候性では眼底、、神経症状を評価する。

⚠️ 収縮期または拡張期が95を30 mmHg以上超える、または思春期で180/120 mmHgを超える場合は救急評価が必要である。臓器障害を伴うでは、急激な正常化ではなく静注薬で管理下に段階的に低下させる。

治療

まとめ

  • 13歳未満は、13歳以上は固定基準を用いる。
  • ABPMで白衣・を識別する。
  • 若年・重症・尿異常では腎性を中心に二次性検索を行う。

出典

  1. 1.Clinical Practice Guideline for Screening and Management of High Blood Pressure in Children and Adolescents(American Academy of Pediatrics・2017)米国小児科学会の小児高血圧ガイドライン改訂で、従来の年齢別パーセンタイル表を過体重児を含む集団のデータから正常体重児のみのデータへ作り直したこと、13歳以上では年齢・性・身長パーセンタイルではなく成人ガイドラインに合わせた簡略化された固定値分類(120/80未満を正常、130/80以上を高血圧)を採用したこと閲覧 2026-08-27
  2. 2.2016 European Society of Hypertension guidelines for the management of high blood pressure in children and adolescents(European Society of Hypertension・2016)欧州高血圧学会の小児高血圧ガイドラインが、16歳以上では95パーセンタイルによる定義をやめ成人と同じ絶対値(高値130-139/85-89 mmHg、高血圧140/90 mmHg以上)を用いると規定していること(米国AAP2017の13歳区切り・130/80 mmHgとは年齢の区切り・閾値とも異なる)。血圧は3回以上の異なる診察で95パーセンタイル以上を確認して高血圧と診断すること、オシロメトリック法の値は聴診法より高く出るため確認には聴診法を要するとしていること閲覧 2026-08-27
  3. 3.Investigations for diagnosis of secondary hypertension in children: yield and costs(Pediatric Nephrology・2025)高血圧の小児70例(1-18歳、イタリア単施設)を検討した後ろ向き研究で、二次性高血圧の割合が5歳未満で100%(2/2例)、5-10歳で50%(10/20例)、10歳超で35.4%(17/48例)と年齢が下がるほど高く、原因は先天性孤立性腎・CAKUT関連慢性腎臓病・腎形成低形成などの腎実質性が最多(29例中27例の原因を腎超音波などの検査で特定)だったこと閲覧 2026-08-27