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Symptoms · Published

頻尿

Urinary frequency

臓器系
腎・泌尿器
科目
UrologyInternal Medicine
トピック
泌尿器科学 U-20:前立腺肥大症(BPH)の症状と鑑別診断泌尿器科学 U-09:尿失禁と尿流動態検査内科学 I-09:尿路感染症(無症候性細菌尿・膀胱炎・前立腺炎)
関連疾患
横紋筋肉腫間質性膀胱炎産褥敗血症・産褥感染子宮筋腫住血吸虫症神経因性膀胱精巣上体炎・精巣炎前立腺炎前立腺癌前立腺肥大症尿失禁尿路感染症尿路結石症卵巣癌卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍膀胱癌
起因薬
オベポレクストン
スコア
国際前立腺症状スコア

🧠 全体像:「トイレが近い」という訴えは、それだけでは鑑別が始まらない。1日の尿量そのものが多いのか、1回の量は少なく回数だけ多いのかで行き先が完全に分かれるからである。前者は多尿で、水と浸透圧の問題。後者が頻尿で、膀胱がためられないか、膀胱が刺激されているかの問題になる。頻尿と決まったら、側と排出側に分けて原因の当たりをつける。頻尿は側の症状だが、原因は排出側にあることが多い——ここが最初のつまずきどころである。

まず量と回数を分ける

多尿 頻尿
1日尿量 多い 正常か、むしろ少ない
1回排尿量 保たれるか多い 少ない
昼夜の差 昼も夜も等しく多い 障害の程度による
前面に出る訴え 口渇、
次の一手 24時間尿量、尿浸透圧、血糖、血清Na 尿検査、

⭐ 分けるのに検査はいらない。「1回の量はどれくらいですか」「水はどれくらい飲みますか」の2問で方向が決まる。これを客観化したものがで、3日程度、時刻・1回排尿量・飲水量を記録させる。1日尿量と1回排尿量が同時に手に入るため、頻尿診療で最も費用対効果が高い「検査」である。多尿の各論()は多尿で扱う。

💡 回数の目安として日中8回超がよく挙げられるが、飲水量・年齢・で大きく動く。回数だけで病的と決めず、本人が困っているか、1回量が減っているかで判断する。

下部尿路症状を蓄尿と排出に分ける

症状 意味するもの
頻尿、尿失禁 膀胱がためられない、または刺激されている
排出症状 、排尿開始の遅延、 出口の閉塞、または
、排尿後の 排出障害の結果

💡 頻尿の患者にこそ尿勢とを聞く。 閉塞でが増えれば、実際に使えるが減り、結局は頻尿になる。だけを見て膀胱を抑える薬を出すと、排出障害を悪化させて尿閉を招く。は超音波で非侵襲にでき、の問題か排出の問題かを一手で分ける。

原因を機序で群にまとめる

機序 代表 手がかり
膀胱・尿道の感染と炎症 膀胱炎、尿道炎、前立腺炎 急性発症、
膀胱の 我慢できない尿意が主役。感染も閉塞も見つからない
膀胱出口の閉塞 排出症状の併存、の増加
膀胱内・骨盤内の占拠 血尿、圧迫感、触れる腫瘤
そのものの低下 )、放射線性・結核性の 長い経過、時の痛み、培養陰性
流入する尿が多い 、利尿薬、・アルコール 1回量が保たれる。多尿として扱い直す
膀胱の外 や骨盤内/睡眠中は消える

は「たまると痛く、出すと楽になる」。 感染は排尿の最中に痛むのに対し、こちらは期に痛む。培養陰性の頻尿と膀胱痛が数か月続くときに思い出す。

⭐ 閉経後女性の頻尿・では、エストロゲン低下による尿路・腟の萎縮が背景にあることが多い。抗菌薬を繰り返す前に局所所見を確認する。

⚠️ 見逃してはいけないもの

⚠️ 培養陰性、あるいは抗菌薬が効かない膀胱刺激症状を「慢性膀胱炎」で片づけない。 喫煙歴のある中高年で血尿を伴う頻尿・は、膀胱のの典型的な出方である。を先延ばしにしない。

⚠️ 発熱、悪寒、痛、を伴う頻尿は、もはや膀胱に限局していない。として評価と治療の枠組みを変える。

⚠️ 溢流を頻尿と取り違えない。 膀胱が満杯であふれているだけの状態を障害と誤ると、水腎症・まで進む。少量ずつ何度も出る、下腹部が膨隆している、排尿後もすっきりしないときはを測る。

⚠️ 高齢者では症状と関係なく細菌尿が見つかることが多い。症状のない細菌尿を治療しない原則と例外はで扱う。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["トイレが近い"] --> B{"1日尿量が多く<br>1回量が保たれるか"}
    B -->|"はい"| C["多尿として評価<br>尿浸透圧・血糖・Na"]
    B -->|"1回量が少ない"| D["頻尿として評価"]
    D --> E["尿検査・尿培養<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder diary'>排尿日誌</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='post-void residual volume'>残尿量測定</span>"]
    E --> F{"感染の所見があるか"}
    F -->|"あり"| G["部位を決める<br>発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar region (flank)'>側腹部</span>痛なら上部尿路"]
    F -->|"なし"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='residual urine (post-void residual)'>残尿</span>が多いか"}
    H -->|"多い"| I["閉塞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detrusor underactivity'>排尿筋低活動</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='uroflowmetry'>尿流量測定</span>・前立腺評価"]
    H -->|"少ない"| J{"血尿や危険因子があるか"}
    J -->|"あり"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystoscope'>膀胱鏡</span>・画像で腫瘍を検索"]
    J -->|"なし"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='overactive bladder'>過活動膀胱</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder pain syndrome'>膀胱痛症候群</span><br>骨盤内占拠病変を評価"]

⭐ 順序が大事である。感染 → → 腫瘍 → 機能性の順に潰す。であり、最初に置くと癌と閉塞を取りこぼす。

まとめ

  • 「トイレが近い」は、1日尿量が多い多尿と、1回量が少ない頻尿にまず分ける。聞くのは1回量と飲水量。
  • は1日尿量と1回排尿量を同時に出す、最も安上がりで有効な検査。
  • ・排出・排尿後に分ける。頻尿はだが、原因は排出側にあることが多い。
  • の問題か排出の問題かを分けてから薬を選ぶ。順序を誤ると尿閉を招く。
  • 原因は感染、、閉塞、占拠病変、低下、・薬剤、に群分けする。
  • 培養陰性で治りにくい膀胱刺激症状に血尿が加わればを疑い、を遅らせない。
  • 感染 → → 腫瘍 → 機能性の順に進める。である。