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国際前立腺症状スコア

International Prostate Symptom Score

別名
IPSSI-PSS
臓器系
腎・泌尿器
科目
Urology
トピック
泌尿器科学 U-20:前立腺肥大症(BPH)の症状と鑑別診断
構成:症状
残尿感頻尿尿線途絶尿意切迫感尿勢低下腹圧排尿夜間頻尿
適用疾患
前立腺肥大症

🧠 全体像:IPSSは、を訴える患者本人に過去1か月の症状の頻度を申告させ、7項目・各0〜5点(合計0〜35点)で重症度を数値化する自己記入式のである。⚠️ そのものを診断するツールではない——症状の重さを測るだけで、原因がか前立腺癌かかは区別しない。診断・原因の切り分けは・DRE・PSA・など別の評価に委ね、IPSSは重症度の記録と治療前後の効果判定に使う。

目的と適用場面

内容
目的 LUTSの重症度と、それが生活のに与える影響を数値化する
対象 LUTSを訴える患者。中高年男性でが疑われる場面で最も使われる
使う場面 初診時の重症度評価、(経過観察・薬物療法・手術)を検討する材料、治療開始後の効果判定・
評価しないもの 症状の原因、血尿・尿閉・感染・など除外すべき病態の有無、前立腺体積やな有無

1992年にが7つの症状項目だけからなる症数(通称)として作成し、その後WHOの国際BPH諮問委員会がQOL項目を加えた8問版を採用してIPSSと呼ばれるようになった。7つの症状項目の内容と配点はと同一である。

構成要素と配点

過去1か月を振り返り、7つの症状項目に答える。⭐ 6項目は「どのくらいの割合で症状が出るか」という頻度で答えるが、だけは「実際に何回起きたか」という回数でそのまま採点する——向きが異なるので取り違えやすい。

(排尿後に膀胱が完全に空になっていないと感じることがあるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

頻尿(排尿後2時間以内に、また排尿したくなることがあるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

(排尿中に尿の流れが途中で止まり、また出始めることがあるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

(尿意を我慢するのが難しいことがあるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

(尿の勢いが弱いと感じることがあるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

(尿を出し始めるために力を入れたり、いきんだりする必要があるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
まったくない 5回に1回未満 2回に1回未満 2回に1回程度 2回に1回以上 ほとんどいつも

(就寝から起床までの間に、排尿のために何回起きるか)

⚠️ この項目だけは頻度ではなく回数を直接点数にする。

0点 1点 2点 3点 4点 5点
0回 1回 2回 3回 4回 5回以上

7項目の単純合計で、0〜35点となる1

⭐ IPSS本体7項目とは別に、排尿状態に対する満足度を問うを併記する。この点数は合計35点には含まれない。

(今の排尿状態がこの先ずっと続くとしたら、どう感じるか)

0点 1点 2点 3点 4点 5点 6点
とても満足 満足 まあ満足 満足でも不満でもない やや不満 いやだ とてもいやだ

1

⚠️ 一次資料が定めているのは0〜6点という段階数と、両端が「最も満足」から「最悪」へ向かう満足度の勾配であることまでで、中間段階(1〜5点)の表現は資料によって揺れる。上表は日本で慣用的に用いられている言い回しであり、点数の意味は選択肢の文言ではなく0〜6のどこに位置するかで読む。

解釈とカットオフ

IPSS合計点 重症度
0点 無症状
1〜7点 軽症
8〜19点 中等症
20〜35点 重症

2

中等症以上(8点以上)が薬物治療を検討する目安になる。 軽症〜中等症で症状にあまり困っていない患者には経過観察を提示し、中等症〜重症のLUTSにはなどの薬物療法を提示するという運用が現行のガイドラインに沿う3

💡 点数だけでが決まるわけではない。 が高い(排尿状態への不満が強い)患者は、IPSS合計点が中等症に届いていなくても治療対象になりうる。逆にIPSSが高くても本人の困り具合が乏しければ経過観察を選べる——症状スコアと困り具合の両方を併せて判断する3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 診断には使わない。 IPSSは症状の重さを数値化するだけで、原因を確定しない。血尿・尿閉・感染・などを除外する評価は別に行う必要があり、前立腺癌のいずれでも症状の点数だけでは区別できない。

⚠️ 性質の異なる症状が混在しているため、合計点だけでは病態が読めない。 頻尿・であり、機序が異なる。同じ合計点でも内訳が違えば病態も介入の選び方も変わるため、項目ごとの内訳を確認する。

⚠️ 自己記入式のであり、質問の理解度・言語・識字能力によって回答が左右される。

⚠️ 女性のLUTSを対象に設計されたではなく、項目・とも女性には検証されていない。

まとめ

  • IPSSはLUTSの重症度を患者自身が申告する7項目(各0〜5点、合計0〜35点)ので、の診断ツールではなく症状の重さと治療効果を追跡するために使う。
  • 6項目は頻度(まったくない〜ほとんどいつも)、だけは回数(0回〜5回以上)で採点するという向きの違いがある。
  • 合計点とは別に、排尿状態への満足度を0〜6点で問うを併記する(合計には含めない)。
  • 0点=無症状、1〜7点=軽症、8〜19点=中等症、20〜35点=重症で、中等症以上(8点以上)が薬物治療検討の目安になるが、実際のは点数だけでなく(困り具合)も併せて判断する。
  • が混在するため合計点だけでは病態が読めず、原因の切り分けにはDRE・PSA・など別の評価が必要である。

出典

  1. 1.International Prostate Symptom Score (IPSS)(National Clinical Guideline Centre (UK)(NICE Clinical Guideline 97, Royal College of Physicians発行)・2010)IPSS本体7項目の質問内容(残尿感・頻尿・尿線途絶・尿意切迫・尿勢低下・腹圧排尿・夜間頻尿)のうち6項目が頻度で0〜5点、夜間頻尿のみ回数(0回〜5回以上)で0〜5点に採点されること、QOLスコアが「今の排尿状態が続いたらどう感じるか」を0(とても満足)〜6(とてもいやだ)の7段階で問う別項目であることを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.EAU Guidelines on the Management of Non-neurogenic Male LUTS — Diagnostic Evaluation(European Association of Urology (EAU)・2026)IPSS合計点の重症度区分(0点=無症状、1〜7点=軽症、8〜19点=中等症、20〜35点=重症)と、初期評価および治療中・治療後の再評価にbother・QOL評価を含む妥当性検証済みの症状スコア質問票を用いることが強い推奨とされていることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.EAU Guidelines on the Management of Non-neurogenic Male LUTS — Disease Management(European Association of Urology (EAU)・2026)症状に困っていない(minimally bothered)軽症〜中等症の患者には経過観察を提示してよいこと、中等症〜重症のLUTSにはα1遮断薬を提示することが推奨されており、治療開始の判断が点数だけでなく困り具合(bother・QOL)の評価によることを確認した閲覧 2026-08-04