泌尿器科学

泌尿器科学 · U-20

前立腺肥大症(BPH)の症状と鑑別診断

Symptoms and differential diagnosis of BPH (benign prostatic hyperplasia)

前提:病態
前立腺炎/前立腺肥大症(BPH)
疾患
神経因性膀胱前立腺肥大症尿道口狭窄
症状
残尿感切迫性尿失禁尿意切迫感尿勢低下尿線途絶頻尿夜間頻尿
スコア
国際前立腺症状スコア

🧠 全体像:BPH()は前立腺の非悪性な腺・間質過形成である。ただし、臨床で評価する男性LUTSはであり、症状だけでBPHによると断定できない。症状は・排尿・排尿後の3群で整理し、病歴、、IPSS、尿検査を軸に、、、、画像検査を目的に応じて組み合わせる。12

BPHとは

  • 前立腺のに生じる、非悪性の腺性・間質性過形成。
  • 病因は完全には解明されていないが、性ホルモンが中心的な役割を果たす。
  • として現れ、「」と「症状」の両方の要素を含む。
  • 臨床診断ではLUTSの原因を幅広く評価し、BPHによるが疑われるかを判断する。
  • 肢は阻害薬、、手術。

症状

分類 症状
頻尿、、切迫性尿失禁、
、、排尿開始遅延、
、排尿後

はBPHの典型症状ではなく、尿路感染症や尿道炎などを示唆する。もなどで生じるため、いずれの症状群もBPHに特異的ではない。2

診断の進め方

  1. (症状、服薬、・代謝疾患、)と尿検査

  2. (DREを含む)

    • 平滑で対称性に腫大した前立腺 → BPHを示唆
    • 硬い/結節性 → 前立腺癌を疑う、圧痛 → 炎症を疑う
  3. 血液検査

    • は全例必須ではなく、前立腺癌の診断が管理を変える場合、または前立腺体積・進行リスクの推定がに役立つ場合に、利益と不利益を説明して測定する。単一のだけで前立腺癌を除外しない。2
  4. 票(IPSS)

    • :過去30日間の7つのBPH関連症状の有無・重症度を点数化する評価法
    • 各項目0〜5点:頻尿、、、、、、。合計0点は無症状、1〜7点は軽症、8〜19点は中等症、20〜35点は重症。
  5. ・

    • は超音波または膀胱スキャンで測定するが、高値は閉塞だけでなく低下でも生じる。
    • 尿流量は排尿量の影響を受けるため、だけで閉塞を確定しない。低流量は、低下、不足のいずれでも起こり得る。2
    尿流パターン 波形の特徴
    正常 に高いピーク流量に達し、なめらかに減衰する釣鐘型のカーブ
    BPH ピーク流量が低下し、が緩やかで、が延長した平坦なカーブ
    ピーク流量が著しく低く、状に平坦なカーブが持続する(「台形型」)
    • 全例の確定ではなく、前立腺体積が薬剤・術式選択に影響する場合、が多い場合、血尿・歴・上部尿路拡張がある場合などに選択する。
    • または経直腸的に前立腺の大きさ・形状、前立腺体積、推定円形面積比、膀胱・上部尿路を目的に応じて評価する。は血尿、、膀胱病変が疑われる場合や所見がを変える場合に行う。12

BPHの合併症

  • 膀胱壁肥厚(による増加 → 排尿に必要な圧が上昇 → 膀胱筋層が代償性に肥厚)
  • 水尿管・水腎症

鑑別診断

BPHのLUTSは以下の疾患・状態と鑑別する必要がある。

鑑別疾患・状態 ポイント
前立腺癌 DREでを触知
外傷・炎症・処置歴を確認
画像で確認
慢性前立腺炎 圧痛、炎症所見
膀胱出口の閉塞をきたしうる
の関与を確認
狭窄 局所所見で判別
局所所見で判別
画像で確認
・低下 、高、低尿流がBPHによる閉塞と重なるため、必要時はで機序を評価
心不全 の原因として鑑別
利尿薬の使用 薬剤性頻尿として鑑別
後の機能障害 を確認
を確認

まとめ

  • BPHはので、LUTSは・排尿・の3群で整理する。
  • 初期評価は病歴、、IPSS、尿検査を軸とし、、、尿流量、画像検査は目的に応じて組み合わせる。
  • 低尿流や高はBPHによる閉塞に特異的ではなく、や低下も考える。
  • 症状が類似する多数の疾患(前立腺癌、、、薬剤性など)との鑑別が診断の要となる。

出典

  1. 1.Management of Lower Urinary Tract Symptoms Attributed to Benign Prostatic Hyperplasia: AUA Guideline Part I—Initial Work-up and Medical Management(2021)BPHに起因すると考えられるLUTSの初期評価として病歴、身体診察、IPSS、尿検査を行い、追加検査を治療計画と診断の不確実性に応じて選ぶ原則を確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Summary Paper on the 2023 European Association of Urology Guidelines on the Management of Non-neurogenic Male Lower Urinary Tract Symptoms(2023)男性LUTSは多因子性であり、蓄尿・排尿・排尿後症状を整理した上で、尿検査、PSA、残尿、尿流量、画像検査を目的別に選択することを確認した。閲覧 2026-08-13