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Imaging findings · Published

左室血栓

Left ventricular thrombus

臓器系
循環器
科目
Cardiology
トピック
循環器内科 A-24:ST上昇型急性冠症候群II:治療
関連疾患
たこつぼ症候群虚血性心筋症

🧠 全体像で決めるのは「血栓があるかないか」ではなく次の行動である——抗凝固を始めるか、心エコーで不確実ならを追加するかの2つに集約される。は主に領域無収縮・などの低左心機能)で血流がうっ滞して生じる。同じ「」でもは心房細動やにうっ滞が生じるという別の局在・を持ち、スクリーニングの第一選択)も対応も異なる。

所見の定義

心内膜面に接し、周囲の心筋とは異なる輪郭・/信号を持つ腔内腫瘤で、可動性や突出度(内へ突き出す可動性・突出型か、壁に扁平に張り付くか)が塞栓リスクを左右する。局在はのある部位に一致し、が最多である。

モダリティと写り方

特徴
TTE) 第一選択だが、の描出困難やのため感度は低く(プール感度47%程度)、10〜46%の症例で診断が確定的でない
(造影TTE) 心内膜の輪郭が明瞭になり感度は改善するが(58%、95%46〜69%)、との差は限定的1
(CMR) 正本となる検査。では血栓は造影剤が入らず信号が抜けて黒く写り、感度は88%に達する2
CMRが利用できない場合の代替。精度はTTEに近く、CMRには劣る

リスクを上げる形態

  • 可動性があり内へ突出する形態は、壁に扁平に張り付くの血栓より塞栓リスクが高い
  • 血栓を伴うの範囲が広い、または低左心機能が遷延している
  • 抗凝固の適応・期間は「血栓があるか」だけでなく、この可動性・突出度と背景疾患(虚血性か非虚血性か)で変わる。確認された血栓には通常3か月(非では3〜6か月)の抗凝固を行い、DOACはワルファリンの妥当な代替とされる3

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carotid wall'>前壁</span>梗塞後の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiac apex (apex of the heart)'>心尖部</span>無収縮・たこつぼ・低左心機能など高リスク背景"] --> B["過去画像と比較"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transthoracic echocardiography (TTE)'>経胸壁心エコー</span>でスクリーニング"]
    C -->|"血栓を確認"| D["可動性・突出度を評価"]
    C -->|"診断が確定的でない、または血栓陰性でも臨床的懸念が残る"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiac MRI'>心臓MRI</span>を追加"]
    E -->|"血栓を確認"| D
    E -->|"血栓なし"| F["経過観察"]
    D --> G["抗凝固の適応・種類・期間を検討"]
    G --> H["追跡画像で血栓の消退を確認"]

過去画像との比較は省略しない。新規出現の血栓は急性期の合併症として扱うが、既知の血栓が縮小・消失しているかは抗凝固継続の可否を左右する。心エコーで診断が確定的でない場合や、心エコーで血栓陰性でも脳塞栓など臨床的懸念が残る場合にはを追加する3

紛らわしいもの

  • の粗い肉柱形成を腫瘤や血栓と混同しない
  • :心エコーでを短く描出すると、実在する血栓を見落とす(偽陰性)原因になる
  • :位置と形態が血栓と異なるが、切り出し断面によっては紛らわしい
  • の急性期そのもの自体は血栓ではないが、うっ滞を通じての温床になりうる点は区別して評価する

まとめ

  • は、梗塞後の無収縮・などを中心とする領域の血流うっ滞から生じる。
  • が第一選択だが感度は限定的で、でも改善は部分的にとどまる。)が最も高感度で正本の検査である。
  • 診断が確定的でない、または心エコー陰性でも脳塞栓など臨床的懸念が残る場合はを追加する。
  • の適応・期間は血栓の有無だけでなく、可動性・突出度と背景疾患で決まるである。
  • とは局在()・ 対 心房細動/)・第一選択が異なり、混同しない。
  • 過去画像との比較で新規出現か既知の血栓の消退かを必ず切り分ける。

出典

  1. 1.Advancing clinical management of left ventricular thrombosis: prevention, detection and treatment modalities in the modern era(Heart・2025)経胸壁心エコー単独では心尖部の描出困難などから10〜46%の症例で診断が確定的でなく、遅延造影心臓MRIの感度は88%に達して正本の検査となること、前壁梗塞後で血栓が未確認の症例への経験的抗凝固(2013年ACC/AHA STEMIガイドラインClass IIb、2021年AHA/ASA脳卒中ガイドラインClass 2b)は近年の観察研究で虚血イベント減少を伴わず出血のみ増加させたとの報告があり評価が定まっていないことを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Management of Patients at Risk for and With LV Thrombus: Key Points(American College of Cardiology・2022)2022年AHA科学的声明の要点として、経胸壁心エコーで血栓の診断が確定的でない場合や、心エコーで血栓陰性でも心原性脳塞栓など臨床的懸念が残る場合に心臓MRIを追加すべきこと、確認された血栓には通常3か月(非虚血性心筋症では3〜6か月)の抗凝固を行い、DOACはワルファリンの妥当な代替とみなされることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.A systematic review and meta-analysis of transthoracic echocardiogram vs. cardiac magnetic resonance imaging for the detection of left ventricular thrombus(European Heart Journal - Imaging Methods and Practice・2023)非造影経胸壁心エコーのプール感度は47%(特異度98%)にとどまり、造影経胸壁心エコーでも感度58%(特異度98%)と改善が限定的であることを確認した閲覧 2026-08-10