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Imaging findings · Published

左房内血栓

Left atrial thrombus

臓器系
循環器
科目
CardiologyHistopathology
トピック
循環器内科 B-02:僧帽弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症の治療組織病理 H1-007:再発性心筋梗塞
関連疾患
心房細動僧帽弁狭窄症

🧠 全体像で決まるのは病名ではなく次の一手である——を今日やってよいか、抗凝固をどう組むか、を進めてよいか。血栓の大半は左房本体ではなく状筋で覆われたの袋状構造)にでき、心房細動による左房うっ滞が背景にある。は遠位かつ複雑な形状のためでは描出が不十分で、が正本の検査となる。

所見の定義

内に生じる、可動性または性の病変。単発のこともあれば層状に重なることもある。背景には必ず左房・内の血流うっ滞があり、心房細動による収縮の消失、による流入障害、のいずれかが関与する。

⚠️ とは局在・が異なる。は主になどのを背景に生じる病変であり、の「うっ滞」とは機序が別である。同じ「」でも読み替えない。

モダリティと写り方

写り方 位置づけ
は遠位かつ複雑形状で描出不良になりやすい 血栓の除外には使えない
内の可動性・付着性の病変として直接描出 正本の検査。前などの血栓除外に最も広く用いられる1
造影CT( の充填欠損はうっ滞と区別しにくく、まで残る欠損を血栓とみなす TEE代替として妥当。を撮ることが必須23
血栓は造影されず、周囲の造影された心筋・血液プールとの間に低信号として残る TEE代替として妥当だがCTよりやや感度が低い3

リスクを上げる形態

  • もやもやエコー:血栓そのものではないが、血流うっ滞を反映する前段階の所見。強いもやもやエコーがあるは将来のリスクが高いと解釈する。
  • 可動性のある血栓:壁にした血栓より遊離・可動する血栓の方が塞栓のリスクが高いと判断される。
  • 背景疾患の重さ:心房細動の持続期間が長い・が重度であるほど内のうっ滞が強くのリスクが上がる。は血栓塞栓リスクの層別化スコアであり、うっ滞の強さそのものの指標ではない点に注意する。

評価の進め方

flowchart TD
    A["心房細動・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mitral stenosis'>僧帽弁狭窄症</span>などで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left atrial thrombus'>左房内血栓</span>を疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transthoracic echocardiography (TTE)'>経胸壁心エコー</span>を施行"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left atrial appendage'>左心耳</span>は描出不十分<br>単独では血栓を除外できない"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transesophageal echocardiography (TEE)'>経食道心エコー</span>が施行可能か"}
    D -- "可能" --> E["TEEで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left atrial appendage'>左心耳</span>を直接評価"]
    D -- "禁忌・施行困難" --> F["造影CT<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed phase'>遅延相</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiac MRI'>心臓MRI</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='late gadolinium enhancement'>遅延造影</span>"]
    E --> G["過去の画像があれば血栓の性状変化を比較"]
    F --> G
    G --> H{"血栓を認めるか"}
    H -- "あり" --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardioversion'>カルディオバージョン</span>延期・抗凝固強化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ablation'>アブレーション</span>延期を検討"]
    H -- "なし" --> J["TEE<span class='jp-term jp-term-diagram' title='-guided (image-guided)'>ガイド下</span>の早期<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardioversion'>カルディオバージョン</span>など次の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment strategy'>治療方針</span>へ進む"]

紛らわしいもの

  • と左上の間にある正常な組織のひだで、肥厚して見えると血栓と誤認しやすい。位置と形状(の外側の境界に沿う帯状構造)で区別する。
  • 状筋内壁の正常な筋性隆起で、単純な形態評価では血栓の表面と紛らわしい。
  • CTのみの充填欠損:造影剤がに行き渡る前の生理的なうっ滞であり、まで待たずに血栓と判定すると偽陽性になる2
  • :左房内腔を占拠する点は血栓と似るが、多くは付近に茎を持って発生する腫瘍であり、うっ滞を背景としない点でが異なる。
  • との混同:局在( vs )・(うっ滞 vs )・関連する抗凝固判断の文脈が異なるため、同じ「」として一括りにしない。

まとめ

  • の大半はに生じ、心房細動・による左房うっ滞が背景にある。
  • の描出が不十分で血栓を除外できず、が正本の検査である。
  • TEEが施行できない場合は、まで撮像した造影CTやがTEEの代替となりうる。
  • この所見はの可否・抗凝固の強度・の延期など、を直接左右する
  • 稜や状筋などの正常構造、CTのみの充填欠損は血栓と誤認されやすく、位置・形状・での持続の有無で区別する。

出典

  1. 1.2024 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with the European Association for Cardio-Thoracic Surgery (EACTS)(European Society of Cardiology/European Association for Cardio-Thoracic Surgery・2024)持続期間が24時間を超える、または持続期間不明の心房細動では、少なくとも3週間の治療域抗凝固がなされていない限り、カルディオバージョン前に経食道心エコーで左心耳血栓を除外する戦略(TEEガイド下カルディオバージョン)を用いることで早期のカルディオバージョンを可能にするという方針が電気的カルディオバージョンに関する推奨(表16)に含まれていることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Cardiac computed tomography and magnetic resonance imaging vs. transoesophageal echocardiography for diagnosing left atrial appendage thrombi(EP Europace・2019)TEEを基準としたシステマティックレビュー・メタ解析で、心臓CTの感度99%・特異度94%、心臓MRIの感度80%・特異度98%であり、いずれもTEEの妥当な代替となりうると結論し、また遅延相の撮像を行うことで早期相のみの撮像より特異度が有意に改善する(P=0.04)ことを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Diagnosis of left atrial appendage thrombus in patients with atrial fibrillation: delayed contrast-enhanced cardiac CT(European Radiology・2021)造影剤注入後1・3・6分の複数相で左心耳を撮像し、注入後6分の遅延相まで持続する充填欠損を血栓と定義するプロトコルでは特異度・陽性的中率が100%に達し(造影相のみでは特異度79%・陽性的中率16%)、早期相のみの充填欠損は循環停滞による偽陽性であり得ることを確認した閲覧 2026-08-10