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Imaging findings · Published

敗血症性肺塞栓

Septic pulmonary emboli

別名
敗血症性肺梗塞
臓器系
呼吸器循環器
科目
Cardiology, Heart Surgery, Angiology, Vascular Surgery
トピック
循環器内科 A-10:感染性心内膜炎
関連疾患
Lemierre症候群感染性心内膜炎細菌性肝膿瘍

🧠 全体像:の画像を読むとき、決めるべきは個々の結節の良悪性ではなく「はどこか、抗菌薬は効いているか」という次の行動である。多発・両側性・末梢優位の結節にが加われば、まず考えるのは腫瘍ではなく感染源の検索——の疣贅か、か、遠隔臓器の膿瘍か。所見をきっかけに、を一つひとつ潰していく姿勢が診療の骨格になる。

所見の定義

が肺動脈末梢を閉塞し、その部位に(〜)を形成することで生じる、多発性・両側性・末梢優位のを指す。個々の結節は径0.5〜3.5 cm程度で1、経過とともにしうる。胸膜に接する部位ではくさび状陰影を呈することがあり、への進展()を伴うこともある1。

肺動脈末梢を占拠したが周囲実質へ炎症を波及させる点で、無菌性の血栓による通常の(の様陰影が主体)とは病態・画像とも異なる。

モダリティと写り方

検査 見え方
胸部X線 多発する境界不明瞭な結節・浸潤影として写るが、小さな病変や早期のは見落としやすい
造影CT 診断の第一選択2。末梢優位の多発結節がの有無を問わず描出され2、結節へ向かう血管が追えるfeeding vessel sign(67%)がを示唆する1。18例中6例で、胸部X線に先行してが最初に病変を指摘した1
などで造影剤が使えないときの法2

⚠️ 胸部X線が正常、あるいは非特異的にみえても、を否定できない。 のほうが感度が高く、臨床的に疑われていなかった症例でが最初に診断を示唆した例も報告されている1。

リスクを上げる形態

  • feeding vessel sign を伴う多発結節:を強く示唆する所見で、腫瘍性の多発結節との鑑別に有用だが特異度は絶対ではない。
  • 同一上で複数段階のが混在する結節群:新旧の塞栓が時間差で生じたことを反映し、持続する菌血症・感染源が制御されていないことを示唆する。
  • 胸膜に接するくさび状陰影+への進展:感染がまで波及しへ進行するリスクを示す。

評価の進め方

flowchart TD
    A["造影CTで多発・両側性・末梢優位の結節を指摘<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cavitation'>空洞形成</span>・feeding vessel signの有無を確認)"] --> B["過去画像と比較:新規出現か、数・大きさが増えているか"]
    B --> C["血液培養・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary tumor'>原発巣</span>検索を並行して開始"]
    C --> D{"心疾患の素因・弁膜症の既往、<br>心臓植込み型電気デバイスはあるか"}
    D -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transthoracic'>経胸壁</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transesophageal echocardiography (TEE)'>経食道心エコー</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='right heart (right-sided)'>右心系</span>疣贅を検索"]
    D -->|"なし"| F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neck pain'>頸部痛</span>・咽頭炎の先行、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='neck swelling'>頸部腫脹</span>や圧痛はあるか"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contrast-enhanced neck CT'>頸部造影CT</span>/超音波で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal jugular vein thrombophlebitis'>内頸静脈血栓性静脈炎</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Lemierre syndrome'>Lemierre症候群</span>)を検索"]
    F -->|"なし"| H["腹部造影CT等で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liver abscess'>肝膿瘍</span>など<br>他の感染源を検索"]
    E --> I["原因に応じた抗菌薬治療を開始し<br>経過で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>を再評価"]
    G --> I
    H --> I

過去画像との比較は、病変が新規かどうかだけでなく、抗菌薬治療への反応を追う経過観察の起点としても重要である。治療開始後も新規結節が増え続ける場合は、感染源が制御できていない可能性を考える。

⚠️ 紛らわしいもの

紛らわしいもの 見分けるポイント
(血行性肺転移) 発熱・炎症反応を欠くことが多く、既知の悪性腫瘍歴を伴う。はよりまれ
(気道由来のなど) 分布が下葉背側優位になりやすく、feeding vessel signを欠くことが多い
(GPA)の結節 上気道・腎症状を伴い、陽性が手掛かりになる。血行性の分布パターンを取らない
真菌症(など) 免疫不全を背景に、halo signなどで変化する所見を伴う

まとめ

  • は、多発・両側性・末梢優位ので、径0.5〜3.5 cm程度、やfeeding vessel sign(67%)を伴いやすい。
  • 造影CTが診断の第一選択で、胸部X線より感度が高く、臨床的に疑われていない症例で最初に診断を示唆することもある。
  • 主な原因は(とくに)、心臓植込み型電気デバイス感染、を含む、(Klebsiella pneumoniaeの6%に合併)など、遠隔のからのである。
  • 評価は検索(心エコー・頸部画像・腹部画像)と並行し、過去画像との比較で新規性と治療反応を追う。
  • 血行性肺転移()や誤嚥性の、GPAの結節などと鑑別する。

出典

  1. 1.Pulmonary septic emboli: diagnosis with CT(Radiology(Kuhlman JE, Fishman EK, Teigen C)・1990)敗血症性肺塞栓18例のCTを検討し、末梢優位の多発結節(径0.5〜3.5 cm)が83%、結節へ向かう血管が追える feeding vessel sign が67%、空洞形成が50%、胸膜に接するくさび状陰影が50%、結節内エアブロンコグラムが28%、胸膜腔への進展が39%にみられたこと、18例中6例で胸部X線に先行してCTが敗血症性塞栓に合致する病変を最初に指摘し、5例では臨床的に疑われていなかった診断をCTが最初に示唆したことを確認した閲覧 2026-09-07
  2. 2.Septic Emboli(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)右心系感染性心内膜炎の疣贅が肺循環へ塞栓することで敗血症性肺塞栓を来すこと、長期留置血液透析カテーテルに伴う右房内血栓を起源とする敗血症性肺塞栓の報告があること、化膿性血栓性静脈炎(Lemierre症候群を含む)では敗血症性塞栓が肝・肺にしばしば及び多発膿瘍を形成すること、Klebsiella pneumoniae肝膿瘍のメタ分析1,158例中70例(6%)で敗血症性肺塞栓が確認されたこと、造影CT胸部が診断の第一選択で末梢優位の多発結節影を空洞形成の有無を問わず示すこと、造影剤が使用できない場合は換気血流シンチグラフィが診断の補助になりうること、感染性心内膜炎とそれに伴う敗血症性塞栓の治療指針が4〜6週間の静注抗菌薬治療を推奨することを確認した閲覧 2026-09-07