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角膜共焦点顕微鏡

Corneal confocal microscopy

別名
CCM角膜神経線維密度測定
臓器系
神経眼科
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 P-1-24:体性神経障害の診断のための診察法病態生理学 P-1-23:糖尿病性神経障害の症状と病態機序
関連疾患
小径線維ニューロパチー

🧠 全体像:(CCM)は、皮膚生検()に代わってを非侵襲的・繰り返し可能な形で見る検査である。角膜は体表で最も神経密度が高い組織であり、そのを生体のまま撮像することで、針を刺さずにの脱落を定量できる。皮膚生検が「一度きりの切り取り」であるのに対し、CCMは同じ部位を何度でも撮り直せるという一点が、経過観察という用途を開く。

検査の原理と実施方法

Heidelberg Retina Tomograph III にRostock Cornea Moduleを組み合わせた装置が代表的で、670nmのレーザーで角膜中央のを撮像する1。点眼薬とゲルを角膜に接触させて像を安定させる(角膜に接触するため、完全な非接触検査ではない)。標準化されたプロトコルでは、中心性・神経密度の分布・(圧痕や層の重なりが無いこと)を基準に両眼から計6枚の画像を選び、解析ソフトで定量する1。

判読の指標と基準

指標 定義 単位
CNFD(線維密度) 神経の本数 本/mm²
CNBD(分枝密度) 神経の分枝数 分枝数/mm²
CNFL() 神経と分枝の総延長 mm/mm²
IWL(下方渦状部長) 角膜下方の渦状部における長 mm/mm²

診療で広く使える単一の絶対は確立していない。群間の差として神経脱落を捉える指標であり、(DPN)陽性群は対照群よりCNFD・CNBD・CNFLのいずれも有意に低く、DPN陰性(無症候性)の糖尿病患者でも対照群より既に低下している2。

異常パターンの意味

⭐ 無症候性の段階で既に低下する。 DPN陰性群と対照群の比較でもCNFD・CNBD・CNFL・IWLはすべて有意に低下しており(P<0.00001)2、症状が出るより前の亜臨床段階を捉えられることがこの検査の意義になる。DPN陽性群ではさらに低下が進み、対照群との差はCNFDで約12本/mm²、CNFLで約6 mm/mm²に達する2。

数値の低下そのものはに特異的ではなく、全般で非侵襲的な神経支配の定量法として位置づけられる。原因が糖尿病かどうかは、CCMの数値だけでなく病歴・血糖関連検査と合わせて判断する。

⚠️ 実施上・判読上の注意

  • 判読者間・判読者内の再現性は高いが、ゼロではない。 ICCはCNFD 0.93、CNBD 0.96、CNFL 0.95(判読者間)、いずれも0.95以上(判読者内)と「優秀」の範囲にあるが1、画像選定基準(中心性・)を守らない施設間比較は数値がずれうる。
  • 角膜そのものの状態が結果に影響しうる。 歴、の既往、角膜疾患があると神経叢の像が変化し、末梢神経障害由来の変化と区別しにくくなる。
  • 単一のが確立していない。 群間の統計的な差は明確でも、個々の患者を「異常」と判定する普遍的な閾値は定まっておらず、施設の・トレンドと合わせて解釈する。

次に進むべき検査/使い分け

皮膚生検()がの脱落を直接病理で確認する一方、CCMは痛みを伴わず、同じ部位を反復して撮影できる。単回の診断だけでなく、なの変化を追う場面に向く。感覚の機能そのものを見るや、自律神経(発汗)を見るQSARTとは評価している対象が異なり、組み合わせることで感覚・自律神経・密度の3方向から障害を補足できる。

まとめ

  • CCMは角膜のを生体のまま撮像し、CNFD・CNBD・CNFL・IWLを定量する非侵襲的な評価法である。
  • 点眼薬とゲルを介した接触式の撮像で、標準化されたプロトコルで両眼計6枚の画像を解析する。
  • 症状のない段階(DPN陰性の糖尿病患者)でも対照群より有意に低下し、亜臨床段階の神経障害を捉えられる。
  • 判読者間・判読者内の再現性は高いが、・歴・角膜疾患は結果に影響しうる。単一の普遍的は確立していない。
  • 皮膚生検が一度きりの病理評価であるのに対し、CCMは反復撮影が可能で経過観察に向く。・と組み合わせて障害を多角的に評価する。

出典

  1. 1.Corneal confocal microscopy is a rapid reproducible ophthalmic technique for quantifying corneal nerve abnormalities(PLoS ONE(Kalteniece A, Ferdousi M, Adam S, et al.)・2017)Heidelberg Retina Tomograph III・Rostock Cornea Moduleを用い、角膜中央の上皮下神経叢(sub-basal nerve plexus)から標準化されたプロトコルに従い6枚の画像(両眼各3枚)を選定して解析すること、CNFD・CNBD・CNFLの定義(それぞれ主幹神経の本数・主幹神経の分枝数・主幹神経と分枝の総延長を角膜面積で除した値)、判読者間再現性(ICC)がCNFD 0.93・CNBD 0.96・CNFL 0.95、単一判読者内再現性がCNFD 0.95・CNBD 0.97・CNFL 0.97でいずれも0.80を超え「優秀」な一致度であったことを確認した。閲覧 2026-08-28
  2. 2.Corneal confocal microscopy for the diagnosis of diabetic peripheral neuropathy: A systematic review and meta-analysis(Journal of Diabetes Investigation(Gad H, Petropoulos IN, Khan A, Ponirakis G, MacDonald R, Alam U, Malik RA)・2021)角膜神経線維密度(CNFD、本/mm²)・角膜神経分枝密度(CNBD、分枝数/mm²)・角膜神経線維長(CNFL、mm/mm²)・下方渦状部神経線維長(IWL、mm/mm²)のいずれもが、糖尿病性末梢神経障害(DPN)陰性群と対照群の比較、DPN陽性群と対照群の比較、DPN陽性群とDPN陰性群の比較のすべてでP<0.00001の有意な低下を示すこと(DPN陽性群と対照群の差はCNFDで−11.94本/mm²、CNBDで−11.00分枝数/mm²、CNFLで−6.05 mm/mm²)、CCMが無症候性・症候性いずれの糖尿病性神経障害でも小径線維の脱落を検出できることを確認した。閲覧 2026-08-28