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Lab values · Published

エクソーム・ゲノムシークエンシング

Exome and genome sequencing

別名
全エクソームシークエンシング全ゲノムシークエンシングESGS
臓器系
全身小児
科目
Medical Genetics and Immunology (Genetics)Pediatrics
トピック
遺伝学 7.2:ゲノミクスの手法小児科 2-09:新生児・乳児で疑う遺伝性疾患の特徴
関連疾患
Lafora病神経セロイドリポフスチン症進行性ミオクローヌスてんかん知的発達症

🧠 全体像:ES/GSは、を一つに絞れない遺伝性疾患疑いで、ゲノムを広く読み原因バリアントを探す検査である。ESは主に蛋白質をコードする領域、GSはコード領域と非コード領域を含むゲノム全体を読む。検査がを得意とするのに対し、ES/GSの中心は塩基配列変化であり、検査名だけで「すべての遺伝学的異常を除外できる」と考えない。

何を測っているか

患者を多数の短い断片として並列に読み、基準ゲノムへ整列させ、基準配列との差を検出する。得られた多数のバリアントから、表現型、家系、遺伝形式、集団頻度、機能予測、既報を用いて候補を絞る。

検査 主な解析範囲 得意な変化
ES 全エクソンと隣接するスプライス領域を中心とする コード領域の一塩基置換、小さな挿入・欠失
GS コード領域・イントロン・遺伝子間領域を含むゲノム全体 一塩基置換、小さな挿入・欠失に加え、解析系が対応する・構造変異

GSはESより広い範囲を均一に読みやすいが、読んだ配列を病気と結びつけられる範囲は別問題である。非コード領域のバリアントは機能的意義の判断が難しく、データ量が多いほど自動的に診断率が100%へ近づくわけではない。

実施法

flowchart TD
    A["表現型・家族歴・検査目的を定義"] --> B["本人または親子3人から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>を採取"]
    B --> C["ESではエクソンを濃縮<br>GSではゲノム全体を解析"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sequencing'>シークエンシング</span>と<br>基準ゲノムへの整列"]
    D --> E["バリアント検出・品質評価"]
    E --> F["表現型・遺伝形式・家系情報で絞り込み"]
    F --> G["病的から良性まで5段階で分類"]
    G --> H["臨床像と整合性を確認して報告"]

本人だけを解析する単独解析と、本人・両親を同時に解析する親子3人解析がある。親子3人解析では、、、を早く判定でき、候補の絞り込みがしやすい。ただし両親検体が得られないこと自体はES/GSを実施できない理由ではない。

主な適応

ACMGは、1歳未満発症の、または18歳未満発症の発達遅滞・知的障害がある小児で、ES/GSを診断評価の第一選択または第二選択として用いることを強く推奨している1。

ES/GSを選ぶ理由
多発、発達遅滞、知的障害 が多数に及び、単一遺伝子を予測しにくい
多臓器にまたがる原因不明の症候群 表現型が既知の1症候群に一致しなくても広く探索できる
やCMAが陰性だが遺伝性が強く疑われる パネル外遺伝子や配列変異をできる
重症新生児・小児で診断が治療や管理を変えうる 迅速ES/GSによりを短縮できる可能性がある

既知の家族内バリアントを確認するだけなら標的検査、臨床像が特定の少数遺伝子に強く合うならのほうが、解析範囲と偶発的所見を抑えられることがある。

結果の読み方

区分 意味 臨床での扱い
病的 疾患原因である根拠が十分 表現型・遺伝形式と整合すればに用いる
病的の疑い 病的である可能性が高い 他のと統合して病的と同様に扱いうる
VUS 病的か良性か判断できない 不可逆的治療、、家族の予測検査の根拠にしない
良性の疑い・良性 疾患原因でない可能性が高い 通常は診断の根拠にしない

はACMG・AMPの5段階分類で報告され、VUSを臨床上の意思決定に用いてはならない2。病的または病的の疑いでも、遺伝形式、アレル状態、表現型との一致を確認して初めて、その患者の診断を説明する結果になる。

陰性結果

陰性は「遺伝性疾患がない」ではなく、今回の検体・解析範囲・解析時点では原因を確定できなかったという結果である。次を順に確認する。

  1. 疑う遺伝子・エクソンが十分な深さで読めていたか。
  2. 、構造変異、、、低レベルモザイクを解析対象に含めたか。
  3. メチル化異常や再構成など、別原理の検査が必要ではないか。
  4. 表現型が増えた、または新しい遺伝子疾患関連が報告された時点で再解析できるか。

遺伝子疾患関連や分類根拠は更新されるため、陰性・未では症例全体の再解析が新たな診断機会になる3。

CMA・核型・標的検査との使い分け

検査 最も得意な対象 主な死角
CMA ゲノム全体の欠失・重複、SNPアレイでは 一塩基置換、小さな挿入・欠失、再構成
大きな、・、比較的高率のモザイク 微小な、塩基配列変化
特定の臨床像に関連する遺伝子群 パネル外遺伝子、新しい疾患関連
ES コード領域の一塩基置換・小さな挿入欠失 非コード領域、、構造変異の一部
GS 広い範囲の配列変異、解析系が対応する構造変異 解釈困難な非コード変異、長い、メチル化異常など

💡 CMAとES/GSは「古い検査と新しい検査」ではなく、見ている異常の型が違う。 発達遅滞・ではES/GSを最初または早期に置ける一方、、、再構成などを疑う場合はCMA・核型・メチル化検査を組み合わせる。GSでも検出できるは解析パイプラインと検証範囲に依存するため、報告書の対象範囲を確認する。

⚠️ 実施・判読上の注意

  • 解析前に目的と報告範囲を共有する。 とだが医学的対応が可能な二次的所見、保因者所見、血縁関係に関わる所見をどこまで返すかは、検査室の方針と本人・家族の意思を確認する。
  • 表現型情報の質が結果を左右する。 発症年齢、陰性所見、画像・生化学所見、3世代まで具体的に提供すると候補を絞りやすい。
  • VUSを診断名へ変換しない。 家系内分離、、追加症例で再分類されるまで、治療やの根拠にしない。
  • 低レベルモザイクでは検体を選ぶ。 血液に変異が少ない疾患では、皮膚、口腔粘膜、病変組織など別検体が必要になることがある。
  • GSでも万能ではない。 長い、を持つ領域、再構成、メチル化異常、低のミトコンドリア変異は、専用検査や別検体で補う場合がある。
  • データの再解析方針を確認する。 誰が、どの契機で、費用をどう扱い再解析を依頼するかは施設により異なる。

まとめ

  • ESは主にエクソン、GSはコード・非コード領域を含むゲノム全体を解析し、を絞れない遺伝性疾患疑いに用いる。
  • 小児の・発達遅滞・知的障害では、ES/GSを第一選択または第二選択として早期に用いることが推奨される。
  • 病的から良性まで5段階で判定し、VUSは治療や家族の予測検査の根拠にしない。
  • CMAは、核型は大きな再構成、ES/GSは配列変異を主に見る。陰性後は見落としうるに合う別検査を選ぶ。
  • 陰性は遺伝性疾患の否定ではない。表現型と知識の更新に応じて再解析を検討する。

出典

  1. 1.Exome and genome sequencing for pediatric patients with congenital anomalies or intellectual disability: an evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG)(Genetics in Medicine(American College of Medical Genetics and Genomics)・2021)1歳未満発症の先天異常または18歳未満発症の発達遅滞・知的障害がある小児では、ES/GSを診断評価の第一選択または第二選択として用いることを強く推奨し、診断経路の早期に置くほど費用対効果が改善しうることを確認した。閲覧 2026-08-30
  2. 2.Standards and guidelines for the interpretation of sequence variants: a joint consensus recommendation of the American College of Medical Genetics and Genomics and the Association for Molecular Pathology(Genetics in Medicine(ACMG・Association for Molecular Pathology)・2015)配列バリアントを病的、病的の疑い、臨床的意義不明、良性の疑い、良性の5段階に分類し、VUSを臨床上の意思決定に用いてはならないことを確認した。閲覧 2026-08-30
  3. 3.Points to consider in the reevaluation and reanalysis of genomic test results: a statement of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG)(Genetics in Medicine(American College of Medical Genetics and Genomics)・2019)遺伝子疾患関連、バリアント分類、解析手法、患者表現型は時間とともに更新されるため、陰性・未確定のES/GSではバリアント単位の再評価と症例全体の再解析が診断機会を増やしうること、検査室が再解析方針を定める必要があることを確認した。閲覧 2026-08-30