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Lab values · Published

インターフェロンシグネチャ

Interferon signature

別名
IFNシグネチャインターフェロンスコア
臓器系
免疫・膠原病
科目
Medical MicrobiologyMedical Genetics and Immunology (Immunology)
トピック
微生物学 3/6:ウイルスに対する宿主防御機構免疫学 2.1:自然(先天)免疫の原理
関連疾患
Aicardi-Goutières症候群

🧠 全体像:は、そのものではなく、その下流で誘導される遺伝子群の発現量を測る検査である。少数の(ISG)の発現をで定量し、1つのスコアにまとめる1。⭐ 陽性が意味するのは「が活性化している」という一点であって、原因は問わない。 のようなでほぼ全例が陽性になる一方、やでも陽性になりうる1。使いどころは「を疑う」ときの一次スクリーニングと、α/IL-1β駆動性の炎症(など)との切り分けにある。

何を測っているか

血液からを抽出し、標準化された方法ではIFI27・IFI44L・IFIT1・ISG15・RSAD2・SIGLEC1という6つのISGの発現を、参照遺伝子(TBP・HPRT1)で正規化したうえでにより定量する。のスコアの幾何平均をとったものが「スコア」である1。(IFNAR)の下流でこれらの遺伝子が-STAT経路を介してされるため、血中の活性を間接的に映す読み出しとして使われる。

基準値と単位

スコアは単位を持たない相対値で、健常者集団の平均を基準にする。標準化法では健常者40名の平均+2にあたる0.66をとする1。

⚠️ は測定するISGの組み合わせと方法に強く依存する。 別のパネル(IFN5・IFN21スコアなど)を使う検査室では、同じ「スコア」という名称でも数値の意味が異なる。報告している検査室自身のと照合する。

高値の意味 / 低値の意味

陽性率 スコア(平均・範囲)
(AGS2など) 100% 6.99(1.66〜13.63)
100% 6.75(2.35〜10.36)
60% 3.43(0.07〜8.92)
(IL-1β駆動性) 28.6% 0.45(0.08〜1.60)
(α/IL-1β駆動性) 0% 0.19(0.06〜0.39)

いずれも同一の標準化法での値である1。⭐ はほぼ全例が陰性、も大半が陰性である点が実務上いちばん使える。 「炎症があるのにが陰性」ならα/IL-1β駆動性の機序を、「陽性」なら駆動性の機序を疑う、という治療標的を絞り込む鑑別に使える。ただしでは一部の症例で軽度の陽性がみられるため、このはではない1。

低値(未満)は、の病的な持続活性化を積極的に示唆する所見が無いことを意味する。ただし後述のとおり、単一時点の陰性がの原因を完全に除外するわけではない。

⚠️ 測定上の注意

  • この検査が陽性になる原因はに限らない。 やのようなの自己免疫疾患でも高頻度に陽性となるため1、陽性であることは病因を1つに決めない。臨床像・家族歴・遺伝学的検査と併せて解釈する。
  • 急性ウイルス感染中はそのものが生理的に活性化する。 は経路の下流を読む検査である以上、原因を問わず経路が動いていれば陽性に出うる。採血のタイミングでや直近のワクチン接種が無いかを確認する。
  • パネル・が検査室ごとに異なるため、施設をまたいだ数値の単純比較はできない1。
  • 陽性はを特定しない。を確定するには、AGSであればの遺伝学的検査が要る。

経時変化とモニタリング

は単回の診断だけでなく、治療反応の経過観察にも使われる。AGSに対する阻害薬()のでは、投与後に応答遺伝子の発現スコアが低下した3。スコアの低下は、-STAT経路の遮断が実際に効いているかを示すマーカーとして働く。逆に治療下でもスコアが下がらなければ、投与量や経路遮断が不十分である可能性を考える。

まとめ

  • は、自体ではなくその下流のISG発現をで定量した相対スコアである。
  • 標準化法のは0.66(健常者平均+2SD)で、・SLEでほぼ全例が陽性、で6割、α/IL-1β駆動性のでは0%と、で陽性率が大きく異なる。
  • 陽性は経路活性化を示すだけで病因を1つに決めない。活動性ウイルス感染でも生理的に陽性化しうる。
  • パネル・は検査室ごとに異なり、単純な数値の施設間比較はできない。
  • 阻害薬などを狙う治療では、スコアの低下をな反応マーカーとして追える。

出典

  1. 1.Type I interferon signature: a quantitative standardized method for clinical application(Clinical and Experimental Immunology・2025)測定対象がIFI27・IFI44L・IFIT1・ISG15・RSAD2・SIGLEC1の6つのインターフェロン刺激遺伝子(ISG)であり参照遺伝子TBP・HPRT1で正規化した各遺伝子スコアの幾何平均としてインターフェロンスコアを算出すること、カットオフ値を健常者40名の平均+2標準偏差にあたる0.66に設定したこと、健常対照群がスコア0.66未満であるのに対し単一遺伝子性I型インターフェロン症(n=7)は100%陽性・平均6.99(範囲1.66〜13.63)、若年性全身性エリテマトーデス(n=8)は100%陽性・平均6.75(2.35〜10.36)、若年性皮膚筋炎(n=9)は60%陽性・平均3.43(0.07〜8.92)、周期性発熱症候群(n=7)は28.6%陽性・平均0.45(0.08〜1.60)、若年性特発性関節炎(n=8)は0%陽性・平均0.19(0.06〜0.39)であったこと、周期性発熱症候群と若年性特発性関節炎は基本的に陰性だが周期性発熱症候群の一部で軽度の陽性がみられたこと、施設間再現性がR²>0.95と高いこと、この指標がIFN関連炎症とTNFα/IL-1β駆動性の炎症性疾患との鑑別および治療反応の評価に使えることを確認した。閲覧 2026-08-28
  2. 2.Aicardi-Goutières Syndrome(GeneReviews, University of Washington, Seattle(Crow YJ)・2016)Supportive Laboratory Findings節で、Aicardi-Goutières症候群の補助的検査所見として髄液リンパ球増多・髄液IFN-α活性上昇・髄液ネオプテリン上昇に加え末梢血のインターフェロンシグネチャが挙げられていることを確認した。閲覧 2026-08-28
  3. 3.Janus Kinase Inhibition in the Aicardi-Goutières Syndrome(The New England Journal of Medicine(Vanderver A, et al.)・2020)遺伝子診断が確定した35例を対象とする非盲検拡大アクセスプログラムで、バリシチニブ投与によりインターフェロン応答遺伝子の発現スコアが低下したことを確認した。閲覧 2026-08-28