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Lab values · Published

反復睡眠潜時検査

Multiple sleep latency test

別名
MSLT睡眠潜時反復検査入眠潜時反復検査
臓器系
神経
科目
PsychiatryNeurology
トピック
精神医学 B-07:睡眠障害神経内科 G3-25:生理的睡眠と睡眠障害
関連疾患
睡眠不足症候群特発性過眠症不眠障害・ナルコレプシー

🧠 全体像:(MSLT)は、日中の眠気を「どれだけ早く眠りに落ちるか」というな指標に変換する検査である。・の確定診断に必須の検査であると同時に、単独では確定できない——前夜の(PSG)と組み合わせて初めて解釈が成立し、睡眠不足のまま実施すれば健常者でも陽性所見が出うる。はICSD-3-TR(2023年改訂版)に基づき、以下ではこの版の数値を示す。

何を測っているか(原理)

日中に20分間の仮眠機会を5回、2時間間隔で与え、各回の入眠(消灯から最初の睡眠段階までの時間)と、(SOREMP、入眠から15分以内に出現するレム睡眠)の有無を記録する。平均入眠が短いほど眠気が強く、SOREMPの出現はレム睡眠の異常な早期出現を意味する。健常者では日中にSOREMPはまず出現しない。

実施法と判定基準

flowchart TD
    A["前夜、施設内PSGを実施<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='total sleep time'>総睡眠時間</span>6時間以上/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bed rest (immobilization)'>臥床</span>7時間以上"] --> B["検査2週間前から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep diary'>睡眠日誌</span><br>可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='actigraphy'>アクチグラフィ</span>で十分な睡眠を確認"]
    B --> C["REM睡眠に影響する薬・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='psychostimulant'>精神刺激薬</span>を<br>2週間以上前から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug holiday (treatment interruption)'>休薬</span>(半減期の長い薬は最大6週間)"]
    C --> D["必要に応じ尿中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug screening'>薬物スクリーニング</span>"]
    D --> E["PSG終了1.5〜3時間後に開始<br>20分の仮眠機会を5回、2時間おき"]
    E --> F["各回:20分で入眠しなければ終了<br>入眠すれば入眠後15分まで継続"]
    F --> G["平均入眠<span class='jp-term jp-term-diagram' title='latency'>潜時</span>とSOREMP回数を判定"]

AASMの2021年プロトコル指針は次を要求する1。

項目 基準
前夜PSG 必須。6時間以上を7時間以上の中で確保する
仮眠回数・間隔 5回、2時間間隔。初回はPSG終了1.5〜3時間後に開始
各仮眠の終了基準 20分間入眠しなければ終了。入眠すれば途中の覚醒の有無にかかわらず入眠後15分まで継続
薬剤 覚醒作用・・レム睡眠に影響する作用を持つ薬剤を2週間以上前から。半減期の長い薬剤(など)は最大6週間
睡眠確認 検査2週間前から、可能ならで十分な睡眠を確認する
必要に応じて尿中を行う

⭐ 前夜PSGは省略できない。 前夜の睡眠が不十分(6時間未満)だとMSLT結果のそのものが疑わしくなる。

所見の意味(ICSD-3-TRの数値基準)

疾患 平均入眠 SOREMP 備考
1型 +下記のいずれか MSLTで2回以上、または前夜PSGのSOREMP(入眠後15分以内)1回のみで可 ICSD-3-TRで、明確ながある場合は前夜PSGのSOREMPが日中のMSLTの代わりになりうるよう改訂された2。1濃度110 pg/mL以下(または同一測定法の健常者平均の1/3未満)でも診断できる
2型 8分以下 2回以上(前夜PSGのSOREMPを1回として合計に算入可) が無い3
8分以下、または24時間660分(11時間)以上 2回未満。前夜PSGのREMが15分以下だった場合はその1回が算入されるため、MSLT側は0回でなければならない場合が多い の除外が必須。ICSD-3-TRでは「PSG・MSLT所見が1型・2型のを満たさないこと」が明示的な独立基準として置かれている4

💡 の基準の「SOREMP2回未満」は、実質的に0回である必要がある場合が多い——前夜PSGでSOREMPが出ればすでに1回を数えているため、MSLT側で1回でも出れば合計2回に達し、2型側に倒れてしまう。

⚠️ 測定上の注意(偽陽性・偽陰性の原因)

⚠️ 睡眠不足のまま実施すると偽陽性になる。 蓄積したがあると、健常者でも平均入眠が短縮し、SOREMPが出現しうる。検査前にを是正しないまま実施すると、単なる寝不足をとしかねない。

主な偽陽性の原因:

  • 睡眠不足:検査前のな。
  • ・不規則な睡眠スケジュール:が乱れた状態での実施。
  • 薬剤の不足:レム睡眠を抑制する薬剤(多くの抗うつ薬など)を服用中、または中止直後のレム。が短すぎると、かえってSOREMPが人工的に増える1。
  • 併存するや未治療の睡眠時無呼吸:日中の眠気の原因が以外にある状態での実施。

主な偽陰性の原因:

  • 検査当日の過度な緊張・。
  • すべき薬剤の不足によるレム睡眠抑制の残存(不足は偽陽性・偽陰性のどちらの向きにも働きうる)。

経時変化とモニタリング

単回の異常所見だけで確定診断としない。睡眠不足・薬剤・の乱れをすべて是正したうえで陽性所見が再現するかが診断の核心であり、疑わしい場合は条件を整えて再検査する。・いずれも、診断後の重症度モニタリングに反復してMSLTを用いる場面は少なく、治療反応の評価は主に症状と生活機能で行う。

まとめ

  • MSLTは20分の仮眠機会5回・2時間間隔で、平均入眠とSOREMP回数を測るな眠気検査である。
  • 前夜PSG(6時間以上)が必須で、2週間以上の薬剤と睡眠確認を経て実施する。
  • ICSD-3-TR(2023)の基準では、2型は平均8分以下かつSOREMP2回以上、はSOREMP2回未満(前夜PSGの1回を含めて実質0回のことが多い)かつ平均8分以下または24時間660分以上。
  • ⚠️ 睡眠不足・・薬剤不足はいずれも偽陽性の原因になり、条件を整えないままの検査はのにつながる。
  • 単回の所見で確定せず、条件を整えた状態での再現性を重視する。

出典

  1. 1.Recommended protocols for the Multiple Sleep Latency Test and Maintenance of Wakefulness Test in adults: guidance from the American Academy of Sleep Medicine(Journal of Clinical Sleep Medicine(American Academy of Sleep Medicine)・2021)MSLTが20分の仮眠機会5回を2時間間隔(初回は前夜PSG終了1.5〜3時間後に開始)で行うこと、前夜に施設内PSGで総睡眠時間6時間以上を臥床7時間以上の中で確保する必要があること、覚醒・鎮静・レム睡眠に影響する作用を持つ薬剤を検査2週間以上前(半減期の長い薬剤は最大6週間)から休薬すること、必要に応じ尿中薬物スクリーニングを行うこと、各仮眠は20分間入眠しなければ終了し入眠すれば入眠後15分まで継続すること、検査2週間前から睡眠日誌および可能ならアクチグラフィで十分な睡眠を確認することを確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Narcolepsies, update in 2023(Revue Neurologique・2023)ICSD-3-TRでは、明確な情動脱力発作がある場合、前夜の睡眠ポリグラフでのSOREMP(入眠時REM睡眠期)が日中のMSLTの代わりになりうるとされたこと、夜間SOREMPは特異度が高い一方で感度は十分でないこと、明確な情動脱力発作またはオレキシン欠乏が確認できる場合はナルコレプシー1型の診断に必要とされてきた「3か月以上の眠気の経過」という要件がICSD-3-TRで削除されたこと(2型では維持されたこと)を確認した閲覧 2026-08-25
  3. 3.Narcolepsy(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)ナルコレプシー2型の診断基準が平均入眠潜時8分以下かつSOREMP2回以上(情動脱力発作は無い)であること、直前の夜間PSGで得られたSOREMPを1回としてMSLTの合計へ算入できることを確認した。閲覧 2026-08-20
  4. 4.Idiopathic Hypersomnia(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)特発性過眠症の診断基準がMSLTでSOREMP2回未満であることを必須要件とし、それに加えて平均睡眠潜時8分以下または24時間総睡眠時間660分以上のいずれかを満たすこと、睡眠不足症候群の除外が必須であることを確認した。閲覧 2026-08-20