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Lab values · Published

アクチグラフィ

Actigraphy

別名
アクチグラフ体動量計測actigraph
臓器系
神経精神
科目
PsychiatryNeurology
トピック
精神医学 B-07:睡眠障害神経内科 G3-25:生理的睡眠と睡眠障害
関連疾患
概日リズム睡眠・覚醒障害睡眠不足症候群非24時間睡眠覚醒障害不眠障害・ナルコレプシー

🧠 全体像:は、などに装着したセンサーで体動を数日間〜数週間連続記録し、睡眠と覚醒を推定する検査である。分かるのは「いつ寝ていつ起きたか」という時刻の推定であり、分からないのは睡眠の「質」——呼吸イベント(無呼吸・)も睡眠段階(レム・ノンレム)も、この検査単独では判定できない1。(PSG)が1泊の詳細な生理学的記録であるのに対し、は日常生活下で複数日にわたる睡眠・覚醒パターンそのものを捉える点に価値がある。

何を測っているか(原理)

でない側のに小型のセンサーを装着し、一定時間(通常30秒〜1分)ごとの体動量を連続記録する。アルゴリズムが体動の多寡から各区間を睡眠・覚醒に二値判定し、、入眠後時間、などのを算出する。動きの有無を睡眠のとして使うという原理上のが、後述する限界すべての根源である。

実施法と判定基準

flowchart TD
    A["日中の眠気・不眠・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circadian rhythm'>概日リズム</span>のずれを評価したい"] --> B{"呼吸イベントや<br>睡眠段階の判定が必要か"}
    B -->|"必要(無呼吸疑い・睡眠段階分類)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polysomnography'>終夜睡眠ポリグラフ検査</span>を選ぶ"]
    B -->|"不要・複数日の睡眠パターンを見たい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='actigraphy'>アクチグラフィ</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep diary'>睡眠日誌</span>を<br>7日間以上(非24時間型は14日間)記録"]
    D --> E{"平日・休日で睡眠時間に<br>大きな差があるか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='behaviorally induced insufficient sleep syndrome'>睡眠不足症候群</span>を疑う"]
    E -->|"なし"| G{"入眠・覚醒時刻が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='social'>社会的</span>に<br>望ましい時間帯からずれるか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circadian rhythm sleep-wake disorder'>概日リズム睡眠・覚醒障害</span>を評価"]
    G -->|"なし"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central disorders of hypersomnolence'>中枢性過眠症</span>など他の原因を検討"]

AASMの2018年臨床実践ガイドラインは、7つの条件付き推奨として次の適応での使用を提案している1。

適応 用途
成人・小児の 睡眠(入眠時刻・覚醒時刻・)の推定
成人・小児の 日々の入眠・覚醒時刻の並びから位相のずれとその方向を評価
が疑われる成人 と組み合わせたの推定
が疑われる患者 実施前のの確認
成人の 平日・休日を通じたの推定

装着期間は目的で変わる。の評価では最低7日間、非24時間型が疑われる場合は最低14日間の連続記録が必要とされ2、勤務日と休日の両方を含めることが望ましい。AASMの診療ガイドラインも、をもつ成人・小児の評価にを用いることを条件付きで推奨している1。判定は個々の値の一点読みではなく、複数日にわたる入眠・覚醒時刻の並びのパターンで行う。

所見の意味(何が示唆されるか)

  • 平日と休日で睡眠時間が大きく異なる:(休日の)を示唆する。
  • 入眠・覚醒時刻がに望ましい時間帯から一貫してずれる:の病型評価に用いる(型・前進型・非24時間型・不規則型は、ずれの方向と規則性で区別する)。
  • 記録期間を通じてがに短い:を積極的に疑う所見で、の評価に先立って確認する。
  • ⭐ と組み合わせて初めて解釈が完成する。 就床・起床の意図(「寝ようとした時刻」)はセンサーだけでは分からず、患者による記録が必要になる。

⚠️ 測定上の注意

  • PSGの代用にならない。 呼吸イベントを検出せず、を記録しないため睡眠段階も判定できない。やが疑われる場合は、だけで評価を終えてはならない1。
  • ⚠️ 睡眠を過大評価し、覚醒を過小評価する方向へ系統的に偏る。 PSGとの30秒区間ごとの比較では、睡眠検出の感度は高い(約95%)一方、覚醒検出の特異度は低く(約33%)、動かずにじっとしている覚醒を睡眠と誤判定しやすい3。やをとするの評価では、この偏りが症状を過小評価する方向に働くことを念頭に置く。
  • 障害の診断にの代わりに使ってはならない。 AASMガイドラインが唯一の強い推奨として明記している事項である1。
  • 装着部位の外れ・電池切れ・強い薬剤性の不動(鎮静薬など)は測定不能・誤判定の原因になる。

経時変化とモニタリング

単発の記録より、複数日〜数週間にわたるパターンの推移を見る検査である。・・などの介入前後で・入眠時刻の変化をに追跡できる点が、なだけに頼るより優れる。ただし記録期間中の生活イベント(旅行、当直、体調不良)は結果を大きく動かすため、記録期間中の特記事項も併せて確認する。

まとめ

  • は体動から睡眠・覚醒を推定する検査で、時刻の推定はできるが睡眠の質(呼吸イベント・睡眠段階)は分からない。
  • AASMは、、の評価(在宅検査併用)、のMSLT前評価、を条件付き推奨の適応として挙げる。
  • ⚠️ PSGの代用にはならず、睡眠を過大評価・覚醒を過小評価する系統的な偏りを持つ。
  • 障害の診断にの代替として用いてはならない(唯一の強い推奨)。
  • と組み合わせ、複数日間の記録として解釈する。

出典

  1. 1.Use of Actigraphy for the Evaluation of Sleep Disorders and Circadian Rhythm Sleep-Wake Disorders: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline(Journal of Clinical Sleep Medicine(American Academy of Sleep Medicine)・2018)7つの条件付き推奨として成人・小児の不眠症、概日リズム睡眠・覚醒障害、在宅睡眠検査と組み合わせた睡眠呼吸障害疑い例の総睡眠時間推定、中枢性過眠症疑い例のMSLT前総睡眠時間確認、成人の睡眠不足症候群でのアクチグラフィ使用を提案していること、周期性四肢運動障害の診断に筋電図の代わりに使わないことを唯一の強い推奨としていること、アクチグラフィが呼吸イベントを検出せず睡眠段階も判定できないため施設内PSGの代用にならないことを確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Circadian Rhythm Sleep–Wake Disorders: a Contemporary Review of Neurobiology, Treatment, and Dysregulation in Neurodegenerative Disease(Neurotherapeutics(Steele TA, St Louis EK, Videnovic A, Auger RR)・2021)概日リズム睡眠・覚醒障害の診断には睡眠日誌・アクチグラフィを最低7日間、非24時間型では最低14日間記録する必要があることを確認した閲覧 2026-08-20
  3. 3.Measuring Sleep: Accuracy, Sensitivity, and Specificity of Wrist Actigraphy Compared to Polysomnography(SLEEP(Marino M, Li Y, Rueschman MN, et al.)・2013)PSGと同時記録した23万を超える30秒エポックの解析で、手首アクチグラフィの睡眠検出感度が高い一方(約95%)覚醒検出の特異度は低く(約33%)、睡眠を過大評価し覚醒を過小評価する系統的な偏りがあることを確認した。閲覧 2026-08-20