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Microbe Atlas · ウイルス

Human metapneumovirus

ヒトメタニューモウイルス

分類
パラミクソウイルス / Paramyxoviruses
性状
エンベロープあり Enveloped(−)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/28: Paramyxoviruses: RSV, Parainfluenzavirus5/19: Pathogens of air-borne viral infections (list)
自然耐性薬
パリビズマブ
原因となる疾患
細気管支炎(RSウイルス)市中肺炎

🧠 全体像は2001年に発見された比較的新しいウイルスだが、臨床像はRSウイルスとほぼ見分けがつかない。同じPneumoviridae科(RSウイルスと同亜科)に属し、・F蛋白という同じ役割分担の表面蛋白で乳幼児の下気道を攻撃する——乳幼児の原因としてRSウイルスに次ぐ第2位という位置づけがこのウイルスの臨床的な重要性のすべてと言ってよい。ただし構造が似ていてもは別物で、RSV予防抗体のはhMPVを中和しない。

構造とゲノム

項目 内容
科・ゲノム Pneumoviridae科(RSウイルスと同じ亜科)。(−)、エンベロープあり、
表面蛋白 ——への接着/F蛋白——。RSウイルスと同様HA・NAを持たない
RSウイルスとの関係 遺伝子構成・複製様式はRSウイルスに酷似するが、遺伝子の並び順が異なり、別属に分類される

病原性の仕組み

RSウイルスとほぼ同じ機序でを攻撃する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory droplets'>飛沫</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contact transmission'>接触感染</span>でhMPVが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway epithelium'>気道上皮</span>へ"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='G protein'>G蛋白</span>で上皮に接着"]
    B --> C["F蛋白による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='syncytium formation'>合胞体形成</span>で増殖"]
    C --> D["下<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway epithelium'>気道上皮</span>の傷害・炎症"]
    D --> E["乳幼児:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchiolitis'>細気管支炎</span>・肺炎<br>(RSウイルスに次ぐ第2位原因)"]

💡 F蛋白が似ていてもは効かない。 hMPVのF蛋白はRSウイルスのF蛋白と全体構造に高い相同性を持つが、が結合する(エピトープ)は異なる。そのためRSウイルスのF蛋白を標的とする(および)はhMPVを中和しない——「構造が似ている=薬も効く」とは限らないことを示す好例である。

感染経路と疫学

  • 温帯地域ではRSウイルスの流行期よりやや遅く(冬の終わり〜春)にピークを迎える傾向がある
  • 生後6か月〜5歳頃までにほぼ全員が初感染を経験する。RSウイルスと同様には成立せずを繰り返す
  • 重症化の危険因子はRSウイルスと共通する:早産児、、免疫不全、高齢者

起こす疾患

年齢層 病型
乳幼児 ・肺炎——RSウイルスに次ぐ第2位の原因
年長児・成人 〜気管支炎
高齢者・免疫不全者 を来しうる

臨床像だけではRSウイルス感染と区別できない。 発熱・咳嗽・喘鳴という所見は(RSウイルス)と重なり、確定には検査を要する。

診断

  • 臨床診断が基本で、確定にはRT-PCR(多くは他のと同時に検出するマルチプレックスパネルの一項目として検査される)を用いる
  • はRSウイルスほど普及していない
  • 個々のを大きく変えるものではなく、主に院内感染対策・疫学の目的で行う

治療と予防

  • 特異的な抗ウイルス治療はなく、支持療法が基本(RSウイルスと同様、・全身ステロイドのルーチン使用は推奨されない)
  • ⚠️ などRSウイルス向けの予防抗体はhMPVには無効——F蛋白のが異なるため交差中和が成立しない
  • 承認されたワクチンはない

まとめ

  • はRSウイルスと同じPneumoviridae科に属し、(接着)とF蛋白()で乳幼児の下気道を攻撃する。
  • 乳幼児の・肺炎の原因としてRSウイルスに次ぐ第2位で、臨床像だけでは区別できない。
  • F蛋白はRSウイルスと構造的に似るがが異なり、は無効
  • 診断はRT-PCR、治療は支持療法のみ。承認されたワクチン・特異的抗ウイルス薬はない。