微生物学

微生物学 · 5/19

空気感染性ウイルス感染の病原体(一覧)

Pathogens of air-borne viral infections (list)

微生物
Human metapneumovirusMorbillivirusRespiratory syncytial virusRubella virusVaricella zoster virus
疾患
咽頭結膜熱

🧠 Air-borne(・飛沫感染)ウイルスは「入口」を共有する。 すべて呼吸器・を介して鼻腔・咽頭の上皮に最初に定着するが、そこから先の運命は分かれる——①その場でにとどまる型(インフルエンザ、など)と、②粘膜を突破してウイルス血症を起こし、遠隔臓器(皮膚・胎盤など)で本当の病気を起こす型(=, varicella-zoster virus、パルボウイルスB19、など)である。「侵入経路」と「病気が現れる場所」は必ずしも一致しないという点がこのリストの読み方の軸になる。

ウイルス科別の一覧

ウイルス科 代表ウイルス 主な臨床像
Influenza virus A, B, C インフルエンザ
・、・RSウイルス 麻疹、、〜
の主因
コロナウイルス 〜
パルボウイルスB19 。先天感染のリスクは5/24参照
水痘・帯状疱疹
(は現在Matonaviridae科1) 風疹。のリスクは5/24参照
(ノロウイルスなど) 本来は経腸感染が主体だが、嘔吐物の化により飛沫感染も起こりうる
(BK・JC) 初感染は無症候性の呼吸器感染が多く、腎・中枢神経への潜伏後に免疫不全下で再活性化する
、、肺炎
——済みだが想定病原体

⚠️ の「Air-borne」は「厳密な」と「飛沫感染」を一括りにしている。 感染制御の分類では、(>5μm、近距離のみ伝播)と真の(<5μmの、長距離をし隔離室を要する)は区別され、麻疹・水痘()は真のの代表例である一方、インフルエンザ・RSウイルス・・は飛沫感染に分類される2。上表はこの区別をせず一括して「性」としている点に注意する。

💡 SARS-CoV-2のは「かか」で論争があった。 表のは〜を起こすとのみ記載しているが、SARS-CoV-2については当初の飛沫感染主体という理解に対し、によるが重要な経路であるとする科学的根拠が提示され、論争を経て空気中の微小()による伝播が広く認められるようになった3。

💡 「」でも病気は皮膚や胎盤に出る。 ・パルボウイルスB19・はいずれも呼吸器粘膜から侵入するが、そこからウイルス血症を経て皮膚(発疹)や胎盤(先天感染)で本体の病気を起こす。侵入経路だけでウイルスの臨床像を予測してはいけない。

⚠️ (ノロウイルス)は本来「経腸感染」の代表(5/20参照)だが、集団発生(施設・船舶など)では嘔吐物由来のによる的な伝播も報告される——伝播経路は一つに固定されない点に注意する。

まとめ

  • Air-borne感染ウイルスはいずれも呼吸器・で鼻腔・咽頭上皮に定着するという「入口」を共有する。
  • にとどまる型(インフルエンザ、、コロナウイルス、)と、ウイルス血症を経て皮膚・胎盤など遠隔臓器で発症する型(、パルボウイルスB19、)に分かれる。
  • は麻疹・・パラインフルエンザ・RSウイルスをまとめて含む主要なウイルス群である。
  • は本来経腸感染が主体だが、嘔吐物の化により的伝播も起こりうる。
  • ()は済みだが、想定病原体として位置づけられる。

出典

  1. 1.ICTV Virus Taxonomy Profile: Matonaviridae 2022(International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV) / Journal of General Virology・2022)風疹ウイルスを含むルビウイルス属は現在ICTVにより新設された科Matonaviridaeに分類され、かつてはトガウイルス科に分類されていたことを確認した。閲覧 2026-08-26
  2. 2.2007 Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Health Care Settings(American Journal of Infection Control (Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee)・2007)飛沫(>5μm、近距離のみ伝播)と空気感染(<5μmの飛沫核、長距離を浮遊し空気感染隔離室を要する)を区別し、インフルエンザウイルス・アデノウイルス・ライノウイルス・Mycoplasma pneumoniae・SARS-CoVは飛沫感染経路の例、麻疹・水痘は空気感染経路の例に挙げていることを確認した。閲覧 2026-08-26
  3. 3.Ten scientific reasons in support of airborne transmission of SARS-CoV-2(The Lancet・2021)SARS-CoV-2の伝播様式について、大型飛沫感染が主体とする従来説に対し、エアロゾルを介した空気感染が重要な経路であることを支持する10の科学的根拠を提示し論争があったことを確認した。閲覧 2026-08-26