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Microbe Atlas · ウイルス

Lymphocytic choriomeningitis virus

リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス

分類
アレナウイルス / Arenaviruses
性状
エンベロープあり Enveloped(−)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/20: Arenaviruses (LCM-, Lassa-, Machupovirus)5/11: Zoonotic infections (list) and their prevention5/22: Pathogens of viral and fungal meningitis and encephalitis (list)

🧠 全体像:LCMVはLassa virusと同じ・同じ「げっ歯類の排泄物を介した人獣共通感染症」だが、行き着く先はではなく髄膜炎——免疫正常な成人の急性感染は多くが無症候〜軽症の自然軽快性疾患で済む。それにもかかわらずLCMVが臨床的に重要視されるのは、妊娠中の母体感染が胎児にという重篤な障害を残すからであり、この一点が本ノートの軸になる。

微生物学的な特徴

に属する。ゲノム構造(、2分節、エンベロープあり、)はLassa virusと共通——詳細はそちらのノートを参照。

病名の「」は、ウイルスが(脳室内で脳脊髄液を産生する組織)にを起こすという病理所見に由来する。

病原性の仕組み

マクロファージ・への感染からサイトカイン放出、T細胞を介したというLassa virusと共通するが、LCMVでは標的臓器が中枢神経系(に向かう点が異なる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Mus musculus'>ハツカネズミ</span>の<br>尿・便・唾液への曝露"] --> B["マクロファージへの感染・全身への播種"]
    B --> C["第1相:発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flu-like symptoms'>インフルエンザ様症状</span>"]
    C --> D["数日間の見かけ上の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recovery phase'>回復期</span>"]
    D --> E["ウイルスが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid plexus'>脈絡叢</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pia mater'>軟膜</span>へ到達"]
    E --> F["T細胞を介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunopathological response'>免疫病理的反応</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid plexus'>脈絡叢</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphocytic infiltration'>リンパ球浸潤</span>)"]
    F --> G["第2相:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aseptic meningitis'>無菌性髄膜炎</span>/脳炎症状"]

💡 症状の主因はウイルス自体のではなくT細胞性の免疫反応である。 第2相の髄膜炎症状は、ウイルスを排除しようとするに集まることで起こる——免疫不全者ではむしろ髄膜炎症状が乏しくウイルス血症が持続することがあり、「症状の強さ=免疫の強さ」というな関係になる。

感染経路と疫学

  • は普通のハツカネズミ(Mus musculus——家屋内・その周辺に生息し、糞尿で汚染された環境からの曝露やペットのげっ歯類(ハムスターなど)を介した感染が報告されている
  • ヒト-ヒト感染は基本的に成立しないが、⚠️ 臓器移植を介した伝播が例外——ドナーのに気づかず移植した結果、免疫抑制下のが致死的な全身感染を来したが複数報告されている
  • 世界的に分布し、都市部の家屋内曝露でも起こりうる

起こす疾患

を起こす。

  • 免疫正常者では無症候〜軽症が大半。症候性の場合はの経過をたどる:①発熱・・筋肉痛(第1相)→数日の見かけ上の→②髄膜炎/脳炎症状(頭痛・・意識障害などの第2相)
  • 予後は一般に良好で、免疫正常者の髄膜炎としては軽快することが多い
  • 妊娠中の母体感染は胎児に重篤なを残す。 によりまたはを来しうる——臨床像は・先天性感染症など他の症と類似し、鑑別の対象になる
  • 免疫不全者(など)では致死的な全身性感染に至ることがある

診断

  • 、急性期はRT-PCRも有用
  • 脳脊ではを認める(のパターン)
  • 妊婦のLCMV感染が疑われる場合は胎児の頭部画像評価(水頭症・石灰化の有無)を行う

治療と予防

  • 治療は支持療法が中心——免疫正常者の髄膜炎/脳炎は多くが自然軽快する
  • が重症例・免疫不全者で使われることがあるが、確立されたエビデンスは限定的
  • 承認済みワクチンはない
  • 予防:げっ歯類(特にペットのハムスター・野生のハツカネズミ)との接触回避、妊婦は特にげっ歯類やその排泄物との接触を避ける指導が重要
  • 移植医療では、ドナー・のスクリーニングでLCMV感染の再発が課題となっている

まとめ

  • LCMVはに属し、Lassa virusと同じ・2分節の構造を持つが、普通のハツカネズミで、標的はではなく中枢神経系
  • 臨床像は——発熱期(ウイルス血症)→→髄膜炎/脳炎期(T細胞性免疫病理)。免疫正常者では多くが軽快する。
  • 妊娠中の感染はなどの重篤な胎児障害を来す——・先天性CMV感染症と並ぶ症の鑑別に入る。
  • ⚠️ 臓器移植を介した伝播が免疫抑制下ので致死的を起こした報告がある。
  • 治療は支持療法が中心。承認済みワクチンはなく、妊婦・移植医療でのげっ歯類曝露回避が予防の要。