スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Los Angeles分類

Los Angeles classification

別名
LA分類ロサンゼルス分類
臓器系
消化器
科目
SurgeryInternal Medicine
トピック
外科学 B/05:食道裂孔ヘルニアと胃食道逆流症(GERD)内科学 L-44:胃食道逆流症・嚥下障害の鑑別
構成:画像所見
粘膜傷害
適用疾患
胃食道逆流症

🧠 全体像:は、内視鏡で観察された(GERD)のを、長さ・・全周に対する割合という3つのな物差しだけでA〜Dの4段階に分ける分類である。な「軽度・中等度・高度」という表現を排し、評価者間のを高めることを目的に作られた。この分類の実務上の核心は非対称性にある——グレードAは健常者にも見られうるため単独では確定診断にならない一方、グレードB以上はの確定的な証拠として扱われ、以後の検査やを大きく左右する。

目的と適用場面

内容
目的 内視鏡で見えるの重症度をな基準で標準化して分類する
対象 を受けた、逆流症状または症状を有する患者
使う場面 の重症度判定、治療薬選択(との使い分け)、維持療法要否の判断、治療後の治癒判定
評価しないもの 内視鏡でが無い患者()、症状の強さそのもの

構成要素と配点

⭐ 判定の基本単位は「」——周囲の正常な粘膜との境界が明瞭な、限局した粘膜の脱落()または発赤域を指す。単なる発赤やむくみ、の肥厚はに数えない。

判定軸は3つだけである。①傷害の長さ(5mm)、②傷害がの頂点間を連続してまたぐか、③全周に対する割合(75%)。この3軸を段階的に適用してA〜Dを決める。

グレード 定義
A 長さ5mm以内のが1つ以上あり、いずれもの頂点間をまたがない
B 長さ5mmを超えるが1つ以上あるが、の頂点間をまたがない
C 2つ以上のの頂点間を連続してまたぐがあるが、全周の75%未満にとどまる
D 全周の75%以上に及ぶがある

解釈とカットオフ

グレード 意味・対応
A 健常者にも一定の頻度で見られ、単独ではGERDの確定診断としない。典型症状とへの反応を合わせて判断する
B Lyon consensus 2.0ではB以上を確定的証拠とする1。 2022はより慎重で、典型的なGERD症状とへの反応が伴えば確定と扱ってよいとする2
C ほぼ常にGERD確定的で、追加のを診断目的に行う必要はない
D 重症GERDの所見。ただし入院患者では重症度の指標として必ずしも信頼できない2

⚠️ グレードC・Dは「」として扱われ、(など)かかという薬剤選択、無期限の維持療法またはの適応判断に直結する。グレードC食道炎は中止後1〜2週間という短期間でしうるため、治癒確認と維持療法継続の必要性を治療後ので評価する2。

💡 グレードAとB以上で扱いが非対称なのは、健常者でのが違うためである。グレードAの食道炎は健常者の5〜7.5%にも見られる一方、B以上は健常者ではきわめてまれである1。だからAは「あっても正常でありうる所見」、B以上は「あれば病的」と読み分ける。

⚠️ グレードBの位置づけは版で変わっている。 初版のLyon consensusはグレードBを(確定でも否定でもない所見)に置いていたが、2.0はB・C・Dの食道炎と生検で確認した・をGERDの確定所見とし、グレードBでは管理を始める前に逆流モニタリングで確認し直す必要はないと明記した(に残るのはグレードAだけ)1。グレードBとCはもへの症状反応も近いことが根拠になっている。

⚠️ 内視鏡で見える所見のうち、GERDの確定所見に数えられるのは(グレードB以上)・生検で確認した・の3つである。は2.0でも確定所見ではなく支持所見であり、単独ではGERDを確定しない1。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ ()はこの分類で評価できない。 内視鏡でが無い患者は定義上グレード外であり、症状があってもでは「異常なし」としか記述できない。の診断は中止下の内視鏡または逆流モニタリングに委ねる2。

⚠️ 症状の強さと内視鏡グレードは相関しない。グレードAでも症状が強い患者、グレードC・Dでも無症状に近い患者がいずれも存在する。の判断材料を内視鏡所見だけに絞らない。

⚠️ の存在・進展範囲の評価にはこの分類を使わない。粘膜の周方向・最大進展を記述するには別の分類()を用いる。

まとめ

  • は、の長さ(5mm)・をまたぐ・全周に対する割合(75%)という3軸でA〜Dの4段階に分ける内視鏡的である。
  • グレードAは健常者にも見られうるため単独でGERD確定診断としない。一方、Lyon consensus 2.0はグレードB・C・DをいずれもGERDの確定所見とし(初版でグレードBはだった)、グレードC・Dはさらに追加のを経ずに無期限の維持療法やの適応判断につながる。
  • ()は内視鏡でが無いため評価対象外で、症状の強さと内視鏡グレードは相関しない。
  • の進展範囲評価には別の分類()を用いる。

出典

  1. 1.Updates to the modern diagnosis of GERD: Lyon consensus 2.0(Gut(国際ワーキンググループ)・2024)全文(PMC10846564)で確認した。LA分類のグレードB・C・Dの食道炎、生検で確認したバレット食道、消化性狭窄がGERDの確定所見とされること(合意率95%)。初版のLyon consensusではグレードBは判定保留(borderline)に置かれていたが、2.0で確定所見へ変更され、管理の前に逆流モニタリングで確認し直す必要はないとされたこと。グレードA食道炎は健常者の5〜7.5%に見られるため2.0でも判定保留にとどまり、グレードB・C・Dは健常者ではきわめてまれであること。食道裂孔ヘルニアは確定所見ではなく支持所見(補助的所見)として扱われること閲覧 2026-09-17
  2. 2.ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease(American College of Gastroenterology・2022)全文(PMC8754510)で確認した。グレードAは単独でGERD確定診断に不十分であること、グレードBは典型的なGERD症状とPPIへの反応が伴えば診断的でありうること、グレードCはほぼ常にGERD確定的であること、グレードC/Dでは無期限の維持療法または逆流防止手術を推奨しPPI中止下の逆流モニタリングを診断目的に行わないこと、非びらん性GERD(NERD)の診断はPPI中止下の内視鏡でのみ確定できること閲覧 2026-09-17