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Imaging findings · Published

びらん性食道炎の粘膜傷害

Mucosal break in erosive esophagitis

別名
食道の粘膜傷害mucosal break
臓器系
消化器
科目
PathologyInternal MedicinePharmacologyMedical Microbiology
トピック
病理学 C/32:食道の病理内科学 G-01:食道・胃疾患薬理学 Core67:薬剤性有害反応:粘膜障害微生物学 4/11:カンジダ属
スコア
Los Angeles分類

🧠 全体像は、の重症度を判定するときの最小単位そのものである。で決めるのは「傷害があるかないか」という二択ではなく、のどのグレードに当たり、治療をどう続けるかという次の行動である。この所見が分類として機能するのは、境界の明瞭さを要件にしているからで、発赤だけ・の消失・浮腫のような境界の曖昧な変化を含めないことで、初めて評価者間のが保たれる。

所見の定義

  • とは、周囲の正常に見える粘膜との境界が明瞭に区切られた、または発赤を伴う限局したを指す。
  • ⚠️ 発赤のみ・の消失・浮腫はに含めない。 これらはいずれも周囲との境界が曖昧で、観察者間の判定が割れやすい変化である。が「傷害なし」の段階でも発赤・浮腫・は存在しうると定義しているのは、この境界基準を厳格に保つためである1
  • ⭐ この「境界が明瞭かどうか」という一点が、グレードA〜Dすべての出発点になる。境界の曖昧な発赤病変まで数えると、実際より重いグレードに誤判定する。

LA分類との対応

が確認できたら、3つの判定軸を段階的に適用してグレードを決める1

判定軸 内容
長さ 5mmを境にグレードA・Bを分ける
をまたぐ 2つ以上のの頂点間を連続してまたぐかでグレードB・Cを分ける
全周に占める割合 75%を境にグレードC・Dを分ける

配点・グレードごとの定義との詳細はを正本とする。

モダリティと写り方

  • 標準はで、日常臨床で最も広く使われている2
  • (NBI等)は微細な変化の検出に有望とされるが、主に)など内視鏡が正常に見える例での補助的位置づけで、のグレード判定そのものはで行うのが原則である2
  • ⚠️ ・CTでは軽症のを評価できない。 いずれも解剖学的な狭窄・輪郭異常を見るのには向くが、5mm前後の粘膜の・発赤を検出できるを持たない。

リスクを上げる形態

  • グレードC・Dは「」として扱われ、治癒しにくく無期限の維持療法またはの適応判断に直結する(詳細は)。
  • ⚠️ の合併評価は、が治まってから行う。 ベースライン内視鏡でグレードB以上のが見られた場合は、8〜12週間のPPI治療後にで治癒を確認したうえでの有無を評価する3。急性期は炎症のために境界そのものが不明瞭で、の範囲を正確に見積もれない。

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal injury'>粘膜傷害</span>を疑う所見"] --> B{"境界明瞭な<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='white plaque (white coating)'>白苔</span>または発赤か"}
    B -->|"いいえ<br>(発赤のみ・浮腫など)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal injury'>粘膜傷害</span>としてカウントしない"]
    B -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Los Angeles classification'>Los Angeles分類</span>でグレードを判定"]
    D --> E["グレードに応じてPPIまたは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='potassium-competitive acid blocker'>P-CAB</span>を開始"]
    E --> F{"グレードB以上か"}
    F -->|"はい"| G["8〜12週間の治療後に治癒確認内視鏡"]
    F -->|"いいえ"| H["症状で経過観察"]
    G --> I["治癒を確認してから<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Barrett esophagus'>Barrett食道</span>を評価"]

⚠️ 内服中の内視鏡は所見を過小評価する。 PPI治療を受けている患者では内視鏡所見が正常化する割合が上がるため、治療中の1回の内視鏡だけでの既往を否定できない2

紛らわしいもの

類似所見 見分けるポイント
カンジダ 剥離しにくい白〜黄白色のが散在性に付着する。は逆流の通り道である遠位食道に連続的に分布する点が異なる
(ヘルペス・ ヘルペスは小さく深いは大きなを作る。免疫抑制患者の急なが手がかりで、辺縁またはからの生検で鑑別する
テトラサイクリン系・クリンダマイシン・メトロニダゾール・などの内服後に限局した潰瘍・びらんを作る。逆流の通り道とな部位に生じやすい
の輪状化・という別ので評価する。境界明瞭なというの単位とは別物で、内視鏡が正常に見えても確定診断には生検が必須
の潰瘍 辺縁が不整・隆起し、でPPI治療にも反応しない。短期間の再評価で治癒傾向を確認できるかが鑑別の手がかりになる

と即断しない。 でも生じ、免疫抑制患者・糖尿病患者・抗菌薬使用歴があればを先に疑う。

まとめ

  • は、周囲の正常粘膜と明瞭に境界された、または発赤を伴うと定義され、の判定単位そのものである。
  • 発赤のみ・の消失・浮腫はに含めない。境界の明瞭さを要件にすることで観察者間のを保っている。
  • 標準は白色光内視鏡での観察で、・CTでは軽症のを評価できない。
  • グレードC・D、および治療中の内視鏡による過小評価に注意し、の評価はが治まってから行う。
  • 感染性・の潰瘍との鑑別では、と即断しない。

出典

  1. 1.Drug Class Review: Proton Pump Inhibitors: Final Report Update 5 — Appendix E. Esophagitis grading scales used in randomized controlled trials(Oregon Health & Science University(Drug Class Review, NCBI Bookshelf)・2009)Los Angeles分類の「傷害なし(Not present)」段階を「粘膜の傷害(びらん)が無い。浮腫・発赤・易出血性は存在しうる」と定義していること、およびグレードA〜Dの原文定義(5mm、2つ以上の粘膜ヒダの頂点間の連続性、75%)。なお本文献に「粘膜傷害」という語そのものの定義文は無い閲覧 2026-08-04
  2. 2.Role of Endoscopy in Gastroesophageal Reflux Disease(Clinical Endoscopy・2023)白色光内視鏡が日常臨床で最も一般的に用いられる基本手技であり、画像強調内視鏡はNERDなど微細所見の検出で有望とされる一方、PPI治療を受けた患者では内視鏡所見が正常化する割合が上がり所見を過小評価しうること閲覧 2026-08-04
  3. 3.ACG Clinical Guideline: Diagnosis and Management of Barrett's Esophagus(American College of Gastroenterology・2016)グレードB以上のびらん性食道炎がベースライン内視鏡で見られた場合、8〜12週間のPPI治療後に再内視鏡を行い治癒を確認したうえでBarrett食道の評価に進むことが推奨されること閲覧 2026-08-04