内科学

内科学 · G-01

食道・胃疾患

Disorders of the esophagus and stomach

前提:病態
食道の病理胃炎
前提:正常
消化管の運動機能とその調節唾液腺の機能と唾液分泌の調節。胃液分泌とその調節
疾患
Boerhaave症候群Zenker憩室アカラシアダンピング症候群メネトリエ病胃不全麻痺巨大食道好酸球性食道炎消化性潰瘍食道胃接合部流出障害食道穿孔食道輪蛋白漏出性胃腸症
症状
胸やけ空嘔吐早期満腹感呑酸嚥下痛
検査値
高解像度食道内圧検査
画像所見
くちばし徴候タイムドバリウム食道造影びらん性食道炎の粘膜傷害胃排出シンチグラフィ上部消化管内視鏡
スコア
Eckardtスコア

🧠 全体像:食道・胃症状は「」「逆流・炎症」「出血・穿孔」「」に分ける。嚥下障害では構造病変を内視鏡で除外してからを測り、や穿孔徴候では通常の外来鑑別を中断して救急対応する。

症状から検査を選ぶ

症状 主な鑑別 中心となる検査
嚥下障害 腫瘍、狭窄、、、、憩室 、造影嚥下、必要なら
感染性・、潰瘍 内視鏡+生検
・逆流 GERD、、 治療試験、内視鏡、携帯型pH/
胸痛 GERD、運動障害、穿孔に加えACS・大動脈疾患 まず心血管救急を除外し、その後に食道評価
早期飽満・食後膨満・嘔吐 、消化性潰瘍、胃癌、 内視鏡で閉塞除外、4時間
flowchart TD
    A["嚥下障害"] --> B["口腔咽頭性か食道性か"]
    B --> C["固形物から始まる<br>構造病変を疑う"]
    B --> D["最初から固形物・液体とも困難<br>運動障害を疑う"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>+必要な生検"]
    D --> E
    E --> F["構造病変なし"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution esophageal manometry'>高解像度食道内圧検査</span>"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='achalasia'>アカラシア</span>などを分類"]

進行性嚥下障害、体重減少、貧血・出血、、高齢での新規症状、上部の家族歴は器質的疾患を疑うである。嚥下障害は年齢を問わず緊急内視鏡の対象になる(英国の紹介基準)1。一方、を伴うをどこまで内視鏡に直結させるかは指針で違う。米国・カナダの/CAG 2017は年齢を主軸に置き、60歳以上には内視鏡を条件付きで提案し、60歳未満ではがあっても自動的に内視鏡へ進めず個別に判断するとする2。英国の 2022は、他の症状が無ければ緊急内視鏡を「体重減少を伴う55歳以上」と「胃癌の多い地域の出身か食道胃癌の家族歴をもつ40歳超」に絞り、55歳以上の治療抵抗性や・悪心・嘔吐を伴う場合は非緊急の内視鏡を考慮するとしている1。

先天性・憩室性食道疾患

先天性、、先天性狭窄、重複食道、は、年齢と病歴に応じて嚥下障害、誤嚥、反復肺炎の原因となる。

食道憩室

型 機序・壁 典型部位 主な関連
内圧上昇で粘膜・が筋層を抜ける 咽頭食道移行部の、下部食道の 機能異常、などの運動障害
症・線維化に引かれる 、付近 結核、真菌感染などの

は後壁のから生じ、未消化食物の逆流、、頸部膨隆、嚥下後の咳、誤嚥・肺炎を来す。では背景のを評価する。

  • 造影嚥下が形態と大きさを示す。内視鏡は併存粘膜病変を評価するが、への誤挿入・穿孔に注意する。
  • 症候性は内視鏡的(septotomy/diverticulotomy)と、または外科的+を検討する。
  • 胸部憩室はで運動障害を調べ、憩室だけでなく原因となる括約筋・筋層を治療する。
  • は一部の運動障害でに耐えない患者へ用いることがあるが、憩室そのものの標準ではない。

食道裂孔ヘルニア

は胃の一部が横隔膜を越えて胸腔へ入る状態である。加齢、肥満、妊娠、腹水、・便秘などによる組織弛緩と腹圧上昇が関与する。

型 解剖 主な問題
I: とが横隔膜より上へ移動 最も多い。GERDとの関連
II:(paraesophageal/rolling) GEJはに残り、が横へ脱出 食後圧迫、早期飽満、捻転・虚血リスク
III: GEJとの両方がへ移動 I+IIの特徴
IV 胃の大部分や結腸・脾など他臓器も脱出 、閉塞・捻転リスク

造影、内視鏡、必要に応じで解剖を確認する。無症候のはヘルニア自体を治療せず、GERDがあれば生活支援とを用いる。症候性の大きな、閉塞、出血、捻転・虚血リスクでは、、裂孔修復、またはを外科的に検討する。は360°、はで、と術後嚥下障害リスクを考慮して選ぶ。

胃食道逆流症

は、胃内容の逆流が煩わしい症状または合併症を起こす状態である。の、、腹圧、低下が関与する。**感染をGERDの直接原因とみなさない。

flowchart TD
    A["LES・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphragmatic crura'>横隔膜脚</span>・ヒス角による逆流防止"] --> B["一過性LES弛緩/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hiatal hernia'>裂孔ヘルニア</span>/腹圧上昇"]
    B --> C["酸・非酸性胃内容が食道へ逆流"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heartburn'>胸やけ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acid regurgitation'>呑酸</span>"]
    C --> E["食道炎・潰瘍・狭窄"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Barrett esophagus'>バレット食道</span>"]
    C --> G["咳・嗄声など食道外症状<br>ただし他原因も評価"]

診断

  • のない典型的・では、食前1日1回を8週間試す。
  • 嚥下障害、出血、体重減少、貧血、があれば内視鏡を行う。びらん、潰瘍、、を評価する。
  • 内視鏡が正常でもGERDは否定できない。診断未確立で症状が続く場合は下でを行い、治療抵抗例では状況に応じ投与下のpH検査を用いる。
  • はGERDそのものを診断せず、手術前や嚥下障害の運動評価に用いる。もルーチンのGERDではない。

治療

  • ・肥満では減量し、就寝前2~3時間の食事を避ける。夜間症状ではを行う。喫煙、アルコール、個別に症状を誘発する食品を調整する。
  • は朝食前、1日2回なら朝・夕食前に正しく服用する。効果後は必要最小量へ減量するが、重症やでは維持が必要なことがある。
  • 長期は適応を定期確認するが、根拠の乏しい副作用恐怖だけで必要な治療を中止しない。
  • GERDがあり薬物で不十分、の多い、本人が手術を選ぶ場合は、などを専門評価する。

バレット食道

は、下部食道のがを伴う円柱上皮へ置換されるで、腺癌リスクが上がる。慢性GERD、男性、50歳超、、喫煙、家族歴がリスク因子である。

病理 管理の原則
異形成なし 、リスク管理。病変長1 cm以上3 cm未満は5年ごと、3 cm以上10 cm未満は3年ごとにを行い、10 cm以上は専門施設で管理する。1 cm未満の不整Z-lineにはルーチン生検・を行わない3
少なくとも2回の内視鏡で確認され、専門病理医が確認した例ではを推奨し、選択例で厳密なを行う3
/ 可視病変はまず内視鏡切除し、残存粘膜をする。可視病変のないもし、T1aで分化良好~中等度かつがなければをとして扱う3
癌 病期評価後に外科・腫瘍治療を検討

「なら」という歴史的な一括治療は行わない。異形成なしではをルーチンに行わず、異形成・早期癌では低侵襲なが中心である。

好酸球性食道炎

は慢性性疾患で、喘息、、、を伴いやすい。小児では摂食困難・嘔吐・腹痛、成人では固形物嚥下障害とが典型である。

診断は食道機能障害症状、食道生検で当たり好酸球15個以上(≥15 eosinophils/high-power field)、他原因の除外を組み合わせる。4 正常に見える食道でも近位・遠位から複数生検を採る。不応を診断必須条件にはしない。4

治療 要点
抗炎症効果を含む第一選択の一つ
またはを嚥下してへ作用させる
食物除去 1~2食品から始める経験的除去をと行い、生検で反応を確認
などに不応・不耐、強いを伴う例などで検討
食道拡張 固定狭窄の嚥下障害を改善するが、炎症治療を併用する

症状だけでは組織炎症と相関しないため、治療後は症状、内視鏡、生検を統合して寛解を確認し、維持療法を続ける。皮膚アレルギー検査だけで除去食品を決めない。

アカラシア

はの抑制性神経が失われ、LESと蠕動消失を来す運動障害である。固形物・液体の両方の嚥下障害、未消化食物の逆流、夜間咳・誤嚥、胸痛、体重減少を呈する。

flowchart TD
    A["抑制性神経・NO/VIPの低下"] --> B["LES<span class='jp-term jp-term-diagram' title='impaired relaxation'>弛緩不全</span>"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esophageal body'>食道体部</span>の蠕動消失"]
    B --> D["GEJ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstruction to passage'>通過障害</span>"]
    C --> D
    D --> E["近位食道拡張・食物停滞"]
    E --> F["嚥下障害・逆流・誤嚥・体重減少"]

診断

  • 上部内視鏡で、狭窄、EoEを除外する。高齢で急速な体重減少・短い病歴なら特に癌を疑う。
  • が確定との標準である。
  • では食道拡張、液面、遠位の鳥のくちばし状狭窄、排出遅延を示す。
  • Trypanosoma cruziによるは中南米に関連する二次性であり、南アフリカ固有の疾患ではない。

治療

方法 位置づけ
LES筋線維を段階的に裂開。I・II型で有効
+ 持続的効果。逆流予防を組み合わせる
I~III型に有効で、長いが必要なIII型で特に適する。一方、術より術後が多い5
に耐えない患者へ。効果は一時的
/Ca拮抗薬 効果が弱く副作用もあり、不能時の限定的選択

PD、、は患者、病型、施設経験で選ぶ。末期でが失敗した場合に限りを検討する。

感染性食道炎

免疫抑制、、移植、悪性腫瘍治療、副腎皮質ステロイドなどで起こりやすく、急なが手がかりとなる。

病原体 内視鏡・病理 治療
カンジダ 剥離しにくい白~黄白色の、菌糸・酵母 全身性が第一選択。不能・耐性時はなど
小さな深い、辺縁生検で アシクロビル系
大きな、生検で /、選択例で

抗ウイルス薬を一括投与せず、病原体と免疫状態に合わせる。でをルーチンの第一選択にはしない。

嘔吐後の食道損傷

病態 損傷 典型像 対応
GEJ周辺の粘膜 嘔吐・後の。多くは 循環評価、内視鏡。持続出血ならクリップ、、注入など
食道全層の 古典像は(嘔吐・胸痛・)。ほかに上腹部痛、呼吸困難、発熱、 、、輸液、緊急画像、外科・内視鏡・ドレナージを即時相談

⚠️ が揃うことはまれで、訴えは曖昧なことが多い。 出典は「患者がこれらの症状すべてを呈することはまれで、しばしば漠然とした非特異的な訴えを示す。これが診断の遅れと不良な転帰の一因になる」と述べ、さらに受診時に嘔吐の既往が無い患者が約25〜45%を占めるとする6。三徴を「揃えば診断、揃わなければ否定」という閉じた列挙として覚えると、診断が遅れる方向へ倒れる——介入しても死亡率は最大60%、無治療ではほぼ100%に達する病態である6。嘔吐の既往が聞き出せないことも、が触れないことも、除外の根拠にはならない。

両者は同じ嘔吐を契機にし得るが、が必ず段階を踏んでへ進むという関係ではない——の深さが初めから違う、別々の病態として扱うのが原則である。

⚠️ ただし「な別物」と割り切るのも行き過ぎである。 未治療のマロリー・ワイス症候群が、さらなるを受けてへ移行した経過が剖検で確認された症例報告があり、著者らは「遠位食道の裂傷は独立した別個の疾患というより一連のスペクトラムの一部でありうる」と述べている(症例報告1例に基づく観察で、頻度を示すものではない)7。と判断したあとも、嘔吐運動を止める治療を怠らない。

疑いでは/で漏出と縦隔・胸腔汚染を評価し、内視鏡を安易に先行させない。

胃炎と胃粘膜障害

胃炎は組織学的炎症を伴い、は炎症が乏しい反応性を指す。

病型 機序・所見 重要な合併症
H. pylori胃炎 前庭部優位から全胃炎/萎縮へ進み得る 消化性潰瘍、、MALTリンパ腫
自己免疫性 ・への自己免疫、低胃酸・高 鉄/ビタミンB12欠乏、胃NET、胃癌。T1D・と関連
反応性/化学性 、胆汁逆流、アルコールなど びらん、出血、潰瘍
ショック、敗血症、、中枢神経障害など でのびらん・出血
血管性 、門脈圧亢進性胃症 慢性または、貧血
肥厚性 (Ménétrier disease)、などで または酸過分泌

、萎縮、、過形成を生検で評価し、原因ごとに除菌、欠乏補充、薬剤中止、、を選ぶ。

消化性潰瘍

消化性潰瘍は胃・十二指腸がを越える病変で、表層性びらんより深い。大きさ0.5 cmを必須定義にはしない。主因は*H. pylori*とで、香辛料や精神的ストレスを主要原因とみなさない。

flowchart TD
    A["H. pylori<br>ウレアーゼ・炎症・毒素"] --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal defense'>粘膜防御</span>低下/酸負荷増加"]
    B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclooxygenase'>COX</span>阻害・プロスタグランジン低下"] --> C
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrinoma'>ガストリノーマ</span>・喫煙・重症ストレス"] --> C
    C --> E["胃・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duodenal ulcer'>十二指腸潰瘍</span>"]
    E --> F["出血"]
    E --> G["穿孔・穿通"]
    E --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric outlet obstruction'>胃出口閉塞</span>"]

はHClと、主細胞は、は粘液とHCO3−を供給する。と粘液・・粘膜血流・プロスタグランジンの均衡が破綻すると潰瘍になる。

診断と合併症

  • 、悪心、膨満は非特異的で、・を食事との時間関係だけで判別しない。
  • H. pyloriは、、による/組織でを確認する。血清抗体は既感染と現感染を区別しにくい。
  • は内視鏡で生検し、悪性を除外する。嚥下障害は年齢を問わず内視鏡の対象で、は/CAGでは60歳以上に内視鏡を提案する。60歳未満のをどこまで内視鏡に直結させるかは指針で違う(英国は体重減少を伴う55歳以上などを緊急内視鏡の対象とする)。
  • ・、急なと、持続嘔吐・はそれぞれ出血、穿孔、を示唆する。

治療

  • H. pylori陽性者は全例除菌する。2024年の指針は、未治療で抗菌薬感受性が不明な例に14日間のを推奨レジメンとする。「最適化」を冠したが優先されるのは既治療で感染が持続している例であって、未治療例ではない8。構成は++テトラサイクリン+メトロニダゾールである9。
  • 欧州のMaastricht VI/Florence合意(2022)は、個別のが利用できない場合、率が高い(15%超)か不明の地域の一次治療をとし(治療WG Statement 2、合意率92%、Grade B1)、それも使えなければ非含有の併用四剤療法を考慮しうるとしている。(++アモキシシリン)を用いるのは、局所で有効性が示されているか感受性が判明している場合に限られる9。韓国の2025年版ガイドラインを解説した総説も、耐性率が30%を超えて一次治療に求められる intention-to-treat 除菌率80%に届かなくなったことを、を経験的一次治療から外した理由に挙げている10。 2024が「感受性が確認された場合にのみ用いる」と明示的に制限しているのは、またはを含むについてであり、一次治療についての文言ではない8。
  • ⚠️ 日本では地図が違う。 国内ではを使用できないためが選ばれる機会は限られ、保険診療の一次除菌はまたは+アモキシシリン+の7日間である。日本ヘリコバクター学会は、をしない一次除菌に+アモキシシリン+、または+アモキシシリン+メトロニダゾールのいずれかを推奨している(推奨の強さ「強い」、エビデンスの確実性A)11。
  • は全例で行う8。時期は薬の内服終了後4週以降とし、偽陰性を避けるため・は少なくとも2週間、抗菌薬は4週間以上中止することが望ましい12。判定にはまたはモノクローナル抗体を用いた測定を用いる。
  • は可能なら中止し、継続必須なら併用、選択的阻害薬、H. pylori除菌をリスクに応じて組み合わせる。は有効だが下痢とに注意する。
  • 出血は蘇生と早期内視鏡止血、穿孔は抗菌薬・、は減圧・原因治療・内視鏡/を行う。

歴史的な酸分泌手術

と以前は、、が潰瘍治療に用いられた。現在は難治例よりも、穿孔、制御不能出血、瘢痕性閉塞、などの合併症が主な外科適応である。

術式 再建 主な・学習点
迷走神経幹切離。通常ドレナージ術を併用 、下痢、
遠位胃切除+ 生理的経路に近い
遠位胃切除+ 胆汁胃炎、、など
胃とRoux脚を吻合 胆汁逆流を減らすが、吻合・栄養合併症がある

胃不全麻痺

は、がないのに固形食がに遅延し、早期飽満、食後膨満、悪心、嘔吐、上腹部痛を来す病態である。

原因 例
代謝・内分泌 糖尿病、甲状腺機能低下症、電解質異常
術後・神経損傷 、胃・食道手術
神経・結合組織 パーキンソン病、、、SLE
薬剤 オピオイド、、関連療法など
その他 感染後、摂食障害、放射線、特発性
flowchart TD
    A["早期飽満・食後膨満・悪心・嘔吐"] --> B["内視鏡/画像で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric outlet obstruction'>胃出口閉塞</span>を除外"]
    B --> C["標準固形食の4時間<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric emptying scintigraphy'>胃排出シンチグラフィ</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='objective'>客観的</span>排出遅延"]
    D --> E["原因薬剤・血糖・甲状腺・術後歴を評価"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='small-particle'>小粒子</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low-fat meal'>低脂肪食</span><br>栄養と症状治療"]
  • 4時間固形食が標準で、短時間検査だけで除外しない。高血糖と運動促進薬、オピオイド、などは結果に影響する。
  • 少量頻回の、低脂肪・低不溶性繊維食を基本とし、血糖を最適化する。重症ではを空腸へ投与する。
  • は症状と排出を改善し得るが、・を説明し最小・期間で用いる。は利用可能地域・制度に従い、は速やかな耐性化のため主に短期使用する。
  • は悪心を軽減するが排出を改善しない。オピオイドはと疼痛を悪化させるため避ける。
  • 難治例では栄養経路、、などを専門施設で検討する。をルーチン治療にしない。

まとめ

  • 食道性嚥下障害は内視鏡で構造病変を除外し、で運動障害を確定する。
  • GERDは典型例の治療試験と必要時の逆流モニタリングで診断し、異形成はを中心に扱う。
  • EoEは症状+当たり好酸球15個以上、はが診断の軸である。
  • 、潰瘍穿孔・出血は救急病態として蘇生、抗菌薬、早期専門介入を優先する。⚠️ の(嘔吐・胸痛・)は揃うことがまれで、25〜45%は嘔吐の既往すら無い——三徴を除外のにしない6。
  • H. pyloriは耐性を踏まえた除菌と全例のを行い、は閉塞除外+4時間検査で診断する。

出典

  1. 1.British Society of Gastroenterology guidelines on the management of functional dyspepsia(Gut(British Society of Gastroenterology)・2022)全文(PMC9380508)で確認した。ほかに上部消化管の警告症状・徴候が無い場合、緊急内視鏡が必要なのは体重減少を伴うディスペプシアの55歳以上、または胃癌リスクの高い地域出身か食道胃癌の家族歴をもつ40歳超に限られるとし(強い推奨、エビデンスの質は非常に低い)、55歳以上の治療抵抗性ディスペプシアや、血小板増多・悪心・嘔吐を伴うディスペプシアでは非緊急の内視鏡を考慮するとしていること(強い推奨)。Box 1が英国NICEの紹介基準として、年齢を問わない嚥下障害を緊急内視鏡の対象に挙げていること閲覧 2026-09-24
  2. 2.ACG and CAG Clinical Guideline: Management of Dyspepsia(American College of Gastroenterology (ACG) / Canadian Association of Gastroenterology (CAG)・2017)抄録(Europe PMC)で確認した。60歳以上のディスペプシアには器質的疾患の除外のため上部消化管内視鏡を条件付きで提案し(胃癌高リスク国で幼少期を過ごした人や家族歴のある人ではより若い年齢での内視鏡も考慮しうる)、60歳未満では警告徴候があっても自動的に内視鏡へ進めず個別に検討するとしていること。60歳未満はまずH. pylori非侵襲検査を行い陽性なら除菌治療、陰性または無効ならPPIの試行、それでも改善しない例に三環系抗うつ薬または消化管運動促進薬へ進む段階的方針であること閲覧 2026-09-24
  3. 3.Diagnosis and management of Barrett esophagus: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline(Endoscopy・2023)バレット食道の病変長別サーベイランス間隔と異形成・早期癌に対する内視鏡治療閲覧 2026-08-09
  4. 4.Updated International Consensus Diagnostic Criteria for Eosinophilic Esophagitis: Proceedings of the AGREE Conference(Gastroenterology・2018)好酸球性食道炎は食道機能障害症状と食道生検の高倍率視野当たり好酸球15個以上(約60個/mm²)、および食道好酸球増多を来す他疾患の包括的評価により診断すると定め、PPI治療試験を診断要件から外した閲覧 2026-08-13
  5. 5.Long-term outcomes after per-oral endoscopic myotomy versus laparoscopic Heller myotomy in the treatment of achalasia: a systematic review and meta-analysis(Surgical Endoscopy・2025)POEMと腹腔鏡下ヘラー筋層切開術の長期成績および術後逆流性食道炎リスクの比較閲覧 2026-08-09
  6. 6.Boerhaave Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)全文で確認した(素のcurlはreCAPTCHAを返すため、Waybackのid_付きURL〈2026-06-13保存分〉で取得。章の更新表示は December 4, 2023)。Introductionは逐語で "Boerhaave syndrome is classically associated with the Mackler triad of vomiting, chest pain, and subcutaneous emphysema. However, patients rarely present with all of these symptoms and often have vague, nonspecific complaints. This can contribute to a delay in diagnosis and poor outcomes." と述べ、History and Physicalは "The traditionally taught clinical presentation of Boerhaave syndrome, known as the Mackler triad involving vomiting, lower thoracic pain, and subcutaneous emphysema in middle-aged men post excessive food or alcohol intake, is rarely observed."、"Approximately 25% to 45% of patients have no history of vomiting upon presentation, and rupture can occur at any age and in all ethnicities and genders." と続ける。本症は全食道穿孔の10〜15%を占め、介入しても死亡率は最大60%、無治療ではほぼ100%に達する。閲覧 2026-09-21
  7. 7.Transition of a Mallory-Weiss syndrome to a Boerhaave syndrome confirmed by anamnestic, necroscopic, and autopsy data: A case report(Medicine (Baltimore)・2018)全文(PMC6310542、Europe PMCのfullTextXML)で確認した。独居の45歳男性が約1週間続く胸腹部痛のあと嘔吐を契機に急死し、剖検で食道壁の全層破裂が確認された症例報告。考察は逐語で "This observation supports the concept that distal esophageal tears, rather than constituting a distinct entity, may be part of a spectrum of diseases, and that a partial lesion of the esophageal wall caused by barogenic injury may evolve into a full-thickness rupture following further barotraumas." と述べ、未治療のMallory-Weiss症候群が急速に致死的なBoerhaave症候群へ移行しうることを、既往・剖検・組織所見を統合して示している。⚠️ 症例報告1例に基づく観察であり、頻度を示すものではない。閲覧 2026-09-21
  8. 8.ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori Infection(American College of Gastroenterology・2024)抄録のみ閲覧(誌上版本文は取得できず)。未治療で感受性が不明な例では14日間のビスマス四剤療法が推奨レジメンであること。「最適化」ビスマス四剤療法が優先されるのは既治療で感染が持続している例であること。クラリスロマイシンまたはレボフロキサシンを含むサルベージレジメンは感受性が確認された場合にのみ用いるとされること。治療後は全例で除菌判定が必要とされること。ビスマス四剤療法の構成薬、除菌判定の待機期間の数値、クラリスロマイシン三剤療法を一次治療にしないという明示的な文言は、いずれも抄録に無い閲覧 2026-08-03
  9. 9.Management of Helicobacter pylori infection: the Maastricht VI/Florence consensus report(Gut(European Helicobacter and Microbiota Study Group ほか、29か国41名の専門家)・2022)リポジトリ版(repositorio.uam.es)から全文PDFを取得して確認した。取得できたのは Gut 2022;0:1-39 と表記されるonline-first 版で、誌上版 71(9):1724-1762 とはページ番号が異なる。H. pylori 感染はICD-11で感染症として正式に位置づけられ、原則として感染者全員が治療対象になる。診断ワーキンググループのStatement 9は「Clarithromycin susceptibility testing, if available through molecular techniques or culture, is recommended before prescribing any clarithromycin containing therapy.」(合意率91%、Grade A1)で、分子生物学的手法または培養による感受性検査が利用できる場合という条件つきの推奨である。治療ワーキンググループのStatement 2(合意率92%、Grade B1)は、個別の感受性検査が利用できない場合、クラリスロマイシン耐性率が高い(15%超)か不明の地域の一次治療をビスマス四剤療法とし、それも利用できなければビスマス非含有の併用(concomitant)四剤療法を考慮しうるとする。図1の凡例はビスマス四剤療法をPPI・ビスマス・テトラサイクリン・メトロニダゾール、クラリスロマイシン三剤療法をPPI・クラリスロマイシン・アモキシシリンと定義し、後者は局所で有効性が示されているかクラリスロマイシン感受性が判明している場合にのみ用いるとする。治療Statement 1(Grade D2)は一次治療前でも感受性検査をルーチンに行うことを reasonable とするが、原文自身が「そのような感受性検査に基づく戦略を日常診療で一般的に用いることの妥当性はまだ確立されていない」と続けている。なおMethodsの定義により、Gradeの英字はエビデンスの質(A高〜D非常に低)、数字は推奨の強さ(1強い/2弱い)を表す閲覧 2026-09-08
  10. 10.Treatment of Helicobacter pylori Infection in Korea: An Evidence-Based Analysis of the Upcoming 2025 Guideline(The Korean Journal of Helicobacter and Upper Gastrointestinal Research・2026)全文を確認した。ビスマス四剤療法(BQT)の構成をPPI・ビスマス・テトラサイクリン・メトロニダゾールと明記していること。国際ガイドラインは、韓国のようにクラリスロマイシン耐性率が15%を超える地域では三剤療法を一次治療として推奨しておらず、三剤療法を用いるなら感受性検査に基づくレジメン選択が必須とされること閲覧 2026-09-08
  11. 11.H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024 第2章「治療」(日本ヘリコバクター学会・2024)第2章「治療」のPDF全文を確認した。CQ2-5は、本邦で一次除菌治療に感受性検査をしないときはボノプラザン+アモキシシリン+クラリスロマイシン、またはPPI+アモキシシリン+メトロニダゾールのいずれかを推奨する(推奨の強さ「強い」、合意率90.5%、エビデンスの確実性A)。総論は、本邦のクラリスロマイシン耐性率が30%以上でどの地域でも15%以上でありMaastricht VI/Florenceに従えばビスマス製剤を含む4剤療法が適切な推奨レジメンとなるが、本邦ではビスマス製剤を使用することができないと述べる閲覧 2026-09-08
  12. 12.H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024 第1章「診断」(日本ヘリコバクター学会・2024)PDF全文を確認した。BQ1-7は除菌判定を除菌治療薬内服終了後4週以降に行うとし(同じ解説の後半では、欧州のMaastricht VI/Florence consensus reportが偽陰性回避のため4-6週間以降としていることを併記する)、尿素呼気試験およびモノクローナル抗体を用いた便中H. pylori抗原測定を有用とする。偽陰性を避けるため、PPI・P-CAB等の静菌作用を有する薬物は少なくとも2週間、抗菌薬投与時は4週間以上の中止が望ましいとする閲覧 2026-09-08