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Imaging findings · Published

タイムドバリウム食道造影

Timed barium esophagram

別名
TBE時間計測バリウム食道造影
臓器系
消化器
科目
Internal MedicineSurgery
トピック
内科学 G-01:食道・胃疾患外科学 S-05:食道良性疾患の診断と治療(アカラシア・憩室・食道裂孔ヘルニア・胃食道逆流症)
関連疾患
アカラシア食道胃接合部流出障害輪状咽頭筋障害

🧠 全体像:タイムド(TBE)は、立位で一定量のを飲み、決めた時刻に食道内の造影剤柱を測って、食道が内容物を排出する速さを定量化する検査である。鳥のくちばし状狭窄などの形を眺めるだけの造影ではなく、1分後・2分後・5分後に残る高さと13 mm錠の通過を記録する(判定に古典的に用いるのは1分後と5分後の高さである)。やを支持し、治療前後の排出を比較できる一方、原因の確定は内視鏡・などと統合して行う。

定義

通常のに時間軸と定量を加えた検査である。を飲み終えた時点を起点とし、立位のまま一定時刻ごとに撮影して、から造影剤柱の上端までの高さ、食道の最大幅、が接合部を通過したかを記録する。

この検査が直接測るのは食道排出であり、の圧や弛緩そのものではない。したがって、排出遅延があれば流出障害を支持するが、運動障害の病型を単独で確定する検査ではない。

実施法

段階 標準的な進め方 記録すること
前提 誤嚥リスクとの可能性を確認し、立位で開始する 検査前の体位、造影剤量・濃度
液体 一気に飲用する。実用的プロトコルとして236 mL(8オンス)が挙げられる 飲み終わりを時刻0とする
時間撮影 1分後・2分後・5分後に同じ投影・体位で撮影する(判定に用いる時刻は資料によって違う。下の⚠️を見る) 造影剤柱の高さ、最大食道幅、接合部の最大径と形
錠 液体評価に13 mm錠を追加する が通過・遅延・停滞したか

標準化した立位プロトコルでは、1分後に5 cm超、または5分後に2 cm超の造影剤柱が残れば食道排出異常を支持する1。13 mm錠がで停滞すれば、液体だけでは見えにくい閉塞性病態を拾える2。

⚠️ 量と撮影時刻は資料によって違う。 ガイドライン自身が「報告されているプロトコルはやや多様で、薄い100〜250 mLが用いられている」「正常値のデータは得られていない」と述べており、実用的な基準として236 mLで1分後・5分後を挙げているにすぎない1。一方、前向き精度研究は200 mLを一気に飲ませて1分・2分・5分に撮る手順で行われている3。⭐ 2分後の柱高を撮り落とさない——同研究で流出障害の識別能()は2分後 0.836が最も高く、1分後 0.829・5分後 0.795がこれに続いた3。古典的な判定に用いる時刻(1分・5分)と、いちばんよく分ける時刻が一致していない。

判定基準と臨床的な意味

判定 読み方 次の行動
1分後5 cm超 初期排出が遅い 5分後までの減少量と通過を確認する
5分後2 cm超 持続する排出遅延 または他の接合部流出障害を支持する
13 mm錠の停滞 液体は通っても固形物大の通過に抵抗がある 内視鏡で機械的狭窄を除外し、内圧検査・FLIPと照合する
治療後に柱が縮小 排出はに改善 症状との一致を確認して経過観察する
症状改善後も停滞 症状と排出が乖離 拡張の進行やの必要性を継続評価する

古典的な閾値は未治療を他群から識別するに基づき、1分後5 cmで感度94%・特異度71%、5分後2 cmで感度85%・特異度86%だった2。しかし、とFLIPを参照基準に据えた前向き研究(290例)では、「5分後2 cm超または停滞」という従来判定の感度は77.8%・特異度86.0%・正確度82.2%にとどまり、陰性だけで流出障害を除外できない3。

⭐ 単一の高さで読むより、複数の指標を組み合わせるほうがよく分かれる。 同研究が作った3層の分類木は、最大幅を最に、最大径と造影剤柱高を2層目に、の通過を最下層に置き、感度84.2%・特異度92.1%・正確度88.3%と従来判定を上回った3。最初の分岐ほど重みが大きいので、最大幅がいちばん重要なという読み方になる。

評価の進め方

flowchart TD
    A["固形物・液体の嚥下障害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>"]
    B --> C{"腫瘍・狭窄など<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical obstruction'>機械的閉塞</span>があるか"}
    C -->|"ある"| D["原因病変を治療"]
    C -->|"ない"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution esophageal manometry'>高解像度食道内圧検査</span>"]
    E --> F{"確定所見か<br>境界域か"}
    F -->|"確定"| G["病型に応じて治療"]
    F -->|"境界域"| H["TBE+13 mm錠またはFLIPで<br>排出障害を支持する所見を確認"]
    G --> I["治療後・症状<span class='jp-term jp-term-diagram' title='relapse'>再燃</span>時にTBEで<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='objective'>客観的</span>排出を比較"]

⭐ TBEは、内圧検査が示す「圧の異常」とは別に、食道全体として内容物を排出できているかを示す。特に治療後は症状だけが改善して造影剤停滞が残ることがあり、だけで成功・失敗を決めず、評価を組み合わせる。

紛らわしいものと限界

  • 通常のは形態や一時点の通過を評価するが、撮影時刻・量を揃えなければ治療前後の数値比較はできない。
  • はの弛緩と収縮を測り、の確定・病型分類を担う。TBEとは代替ではなく相補的である。
  • FLIPは内視鏡中に接合部の開きやすさを測る。TBEが食道全体の排出を示すのに対し、FLIPは接合部局所のを示す。
  • 量、濃度、撮影体位、測定時刻が施設間で異なると数値を直接比較できない。経時比較では同じプロトコルを使う。
  • 停滞は機能性流出障害だけでなく、・術後の解剖学的狭窄などでも起こる。内視鏡によるの除外を飛ばさない。
  • ⚠️ 支持的検査としてのTBEとFLIPは、しばしば食い違う。 は内圧検査上のを確定するのにTBEまたはFLIPの支持的所見を求めるが、両方を受けた101例で突き合わせると、同じ向きに出たのは67例(66.3%)にとどまり、一致度はκ 0.22(95%CI 0.01-0.44)だった4。⭐ 錠の所見を加えるとκは0.43(0.25-0.61)へ改善する——の併用は診断率だけでなく、FLIPとの整合性も上げる。はFLIPと45.7%・TBEと44.7%でしか一致せず、39.4%はだった4。💡 陰性のTBEは流出障害を否定しない。 著者らは、臨床的な疑いが強ければ支持的検査が陰性でも追加の検査を要しうるとしている。⚠️ この数値は「両検査を受けた症候性のEGJOO 101例」という集団のもので、嚥下障害患者全体の話ではない。
  • ⚠️ を飲ませられないことがある。 前向き研究では参加者のおよそ4分の1がの評価を受けておらず、主な理由は5分後もが残っていたことだった——排出障害が強い患者ほどの情報が得られない方向に働く3。
  • 食道が大きく屈曲・拡張した末期像(・S状食道)では、垂直方向の柱高だけでは実際の停滞量を表しにくい。最大幅・最大径・柱高・の通過を組み合わせて読むほうが、柱高だけの判定より診断性能が高い3。💡 ・S状食道・といった形態は同研究でも定性的な所見として記録されているが、上の分類木を構成するには入っていない。

まとめ

  • TBEは一定量のを立位で飲み、1分後・2分後・5分後の造影剤柱を測る食道排出のである。判定に使う古典的な時刻は1分と5分だが、識別能がいちばん高いのは2分後の柱高だった。
  • 1分後5 cm超または5分後2 cm超は排出異常を支持し、13 mm錠の停滞は接合部の閉塞性病態を拾い上げる。
  • ・の支持的検査であり、内視鏡によるの除外とによる確定を置き換えない。
  • 治療前後を同じプロトコルで比較し、症状と排出の乖離を見つけることに価値がある。
  • 単一閾値の感度には限界があるため(従来判定は感度77.8%)、造影剤柱高だけで陰性・陽性を断定せず、最大幅・最大接合部径・通過も統合する(分類木で感度84.2%・特異度92.1%)。
  • 内圧検査上のEGJOOの確定に使う2つの支持的検査(TBEとFLIP)は、両方を受けた101例で3例に1例が食い違う(66.3%、κ 0.22)。錠の所見を加えるとκは0.43へ改善する。陰性のTBEだけで流出障害を否定しない。

出典

  1. 1.ACG Clinical Guidelines: Clinical Use of Esophageal Physiologic Testing(American College of Gastroenterology・2020)PMC9468980の全文(2026-09-07再取得)で、標準化した立位の時間計測プロトコルを用いるべきこと(Key concept 2)、バリウム236 mL(8オンス)を飲用して1分後5 cm超または5分後2 cm超の造影剤柱を食道排出異常とする実用的基準、13 mmバリウム錠の停滞が食道胃接合部の閉塞性病態を支持することを確認した。あわせて原文が「報告されているプロトコルはやや多様で薄いバリウム100〜250 mLが用いられる」「正常値のデータは得られていない」「時間計測を行わない造影と直接比較した研究は無い」と限界を明記していること、アカラシア治療後の追跡では患者報告アウトカムに食道機能の客観的指標(TBEなど)を併用しうるとする一方、どちらか一方で他方を代替できるかを示すデータは無いとしていることを確認した閲覧 2026-09-07
  2. 2.Timed Barium Swallow: Diagnostic Role and Predictive Value in Untreated Achalasia, Esophagogastric Junction Outflow Obstruction, and Non-Achalasia Dysphagia(The American Journal of Gastroenterology・2018)抄録(Methods・Results・Conclusions)で、未治療アカラシア117例・食道胃接合部流出障害46例・非アカラシア性嚥下障害146例の後方視的比較であること、測定したのは1分後と5分後の柱高および錠剤停留であること、1分後5 cmの造影剤柱は感度94%・特異度71%、5分後2 cmは感度85%・特異度86%で未治療アカラシアを他の2群から識別すること、液体バリウムと錠剤の併用で診断率が未治療アカラシアで79.5%から100%へ、食道胃接合部流出障害で48.9%から60%へ上がること、著者らが5分後2 cm超をアカラシア識別のカットオフとして提案していること、錠剤単独の停留が食道胃接合部の機能的・解剖学的閉塞を示唆することを確認した。全文は未取得で、確認したのは抄録の範囲にとどまる閲覧 2026-09-07
  3. 3.Diagnostic Accuracy of Timed Barium Esophagram for Achalasia(Gastroenterology・2025)PMC12185239(NIHの著者最終稿。誌上版そのものではない)の全文で次を確認した。2019-2022年に前向き登録した食道性嚥下障害290例(食道胃接合部流出障害121例42%、非該当151例52%、判定保留18例6%)で、参照基準はシカゴ分類v4.0のHRMとFLIPによるアカラシア/FLIP陽性の食道胃接合部流出障害であること。TBEの手順が「バリウム200 mLを一気に飲ませ1分・2分・5分に連続撮影する」ものであること。「5分後2 cm超または錠剤の停滞」という従来判定の感度77.8%・特異度86.0%・正確度82.2%に対し、3層の分類木(最上位が最大食道体部幅、2層目が最大食道胃接合部径と造影剤柱高、最下層が錠剤通過)は感度84.2%・特異度92.1%・正確度88.3%であったこと。柱高の識別能(AUROC)は2分後0.836が最大で1分後0.829・5分後0.795が続き、最大食道体部幅0.867・最大接合部径0.856はいずれもこれらを上回ったこと。参加者のおよそ4分の1が錠剤の評価を受けておらず主因は5分後もバリウムが残存していたことで、全例に錠剤を用いていれば感度はより高くなると著者が述べていること。⚠️ コークスクリュー/S状食道・巨大食道は定性的所見として記録されただけで分類木の変数ではない(過去の実行がこれらを診断性能向上の要素として書いていたのを是正した)。⚠️ 分類木の性能は本文の検定データでは感度86.8%・特異度96.8%・正確度91.3%と抄録の数値と異なるため、本ノートは抄録の数値(従来判定と同じ枠で比較されている側)を採っている閲覧 2026-09-07
  4. 4.Discordance Between Functional Lumen Imaging Probe and Timed Barium Esophagram in Patients With a Chicago Classification v4.0 Manometric Diagnosis of Esophagogastric Junction Outflow Obstruction(Neurogastroenterology & Motility・2026)Europe PMCの抄録(Methods・Key results・Conclusions)で次を確認した。対象は、シカゴ分類v4.0で内圧検査上のEGJOOと診断された有症状患者のうち、FLIPとタイムドバリウム食道造影の両方を受けた101例に限られること(=両検査を受けた集団であって、EGJOO全体ではない)。FLIP単独陽性30例・TBE単独陽性4例・両方陽性11例・両方陰性56例で、両者が同じ向きに出たのは67/101例(全体一致率66.3%)、κ=0.22(95%CI 0.01-0.44)であったこと。バリウム錠の所見をTBEに加えるとκが0.43(95%CI 0.25-0.61)へ改善すること。急速飲水負荷はFLIPと45.7%・TBEと44.7%でしか一致せず、39.4%が判定不能であったこと。著者らが「FLIPとTBEの食い違いは3例に1例で起こり、急速飲水負荷の結果もしばしば結論に至らない。臨床的な疑いが強ければ、支持的検査が陰性でも内圧検査上のEGJOOを確定するために追加の検査を要しうる」と結論していること。⚠️ 全文はWileyが403を返して取得できず、確認したのは抄録の範囲にとどまる。書誌はCrossrefで解決し、Neurogastroenterol Motil 38巻9号・2026年・第一著者Ahujaを照合した閲覧 2026-09-07