微生物学

微生物学 · 4/11

カンジダ属

Candida genus

応用トピック
微胞子虫症・小胞子菌症と表在性真菌症カンジダ症の臨床病型性器カンジダ症局所・全身性真菌感染症口腔・咽頭の炎症性疾患食道の検査・疾患、嚥下障害、食道異物
微生物
Candida albicansCandida aurisCandida glabrataCandida kefyrCandida kruseiCandida spp.Candida tropicalis
疾患
カンジダ症
画像所見
びらん性食道炎の粘膜傷害

🧠 Candida属は「どこにでもいる常在菌が、宿主の防御が崩れた瞬間に日和見感染を起こす」という構図で読む——4/1・4/4で学ぶ真菌の基本を前提に、というキーワードで統一する。 口腔・消化管・腟に常在するCandida albicansが、免疫不全・抗菌薬による・糖尿病・ステロイド使用・など「宿主側の隙」に付け込んで表在性〜の感染を起こす。侵入する場所と宿主の背景因子さえ押さえれば、臨床像はすべて説明がつく。

形態

Candida属のうち臨床検体から最も高頻度に分離されるのはCandida albicansであり、の95%はC. albicans、C. glabrata、C. parapsilosis、C. tropicalisの4菌種が占める。

⚠️ 主要4菌種のうちC. glabrataは属レベルで改称されている。 2013年の二重(/アナモルフで別名を持つ慣行)廃止以降のにより、C. kruseiは優先権に基づきPichia kudriavzeviiとして正式記載され、C. glabrataは近縁種とともにNakaseomyces属へ移されNakaseomyces glabrataとなった(ただし正式な種記載は保留中)1。臨床検査報告では旧名のCandida属名も引き続き併記されることが多い。

項目 内容
病原性 全身性真菌症の日和見病原体として最も頻度が高い
カタラーゼ 陽性
形態 二形性真菌
  • 環境形(20度):/。
  • 組織形(37度):胞子からのを形成/。

感染経路

  • 常在部位:口腔、消化管、腟の正常フローラ。
  • ほとんどのカンジダ症は——が宿主の隙に乗じて感染を起こす。

臨床像:カンジダ症

  • 表在性カンジダ症: 口腔・咽頭・食道・腸管・膀胱・腟など表皮/が対象。
  • ()カンジダ症: 腎、肝、脾、脳、眼、心臓など主要臓器に及ぶ。

免疫不全患者(、抗菌薬使用者、糖尿病〈diabetes mellitus, DM〉、乳児、ステロイド使用者)に多い病型:

病型 特徴
(thrush、) 免疫不全患者やステロイド使用者に多い。使用後にうがいをしない場合など
おむつ内の熱と湿気による
糖尿病患者や、を破壊する抗菌薬・経口避妊薬の使用者に多い
白色の/斑状病変を呈する。の初発症状となりうる
(→敗血症) (薬物静注使用者に多く、を侵しやすい)

⚠️ はの初発症状になりうる。 若年〜中年で明らかな免疫抑制の既往なくを来した場合は、背景に感染がないかを検討する必要がある。

⚠️ のはの心内膜炎を起こしやすい。 通常のが弁膜(・大動脈弁)を好むのと対照的に、に伴う感染は()を侵すという鑑別ポイントを併せて覚える。

⚠️ Candida auris(2024年提案ではCandidozyma auris)は多剤耐性・性の新興カンジダで、の真菌優先病原体リスト(2022年)でcritical群に分類されている。 2009年に記載された比較的新しい種で、環境表面での長期生存・抵抗性・形成を特徴とし、耐性を示す株が多い。2024年の系統ゲノム学的解析でCandida auris-Candida haemuli系統群が新属Candidozymaへ再分類する提案がなされたが2、この改称・呼称の是非は専門誌上で現在も議論が続いており定着していない3。優先病原体リストのcritical群にはC. albicans・Aspergillus fumigatus・C. auris・Cryptococcus neoformansが含まれる4。

診断

検査 内容
喀痰、、滲出液
培養 が疑われる場合:、Chrom-agar、形成用の
標本 、、を確認
生化学的検査 ——C. albicansに特徴的

治療

病態 治療
軽症・局所 (など)
口腔・ (口腔内でしてから使用)
静注(amphotericin B)、静注/経口(耐性菌に注意)、(アムホテリシン耐性例)

まとめ

  • Candida属は口腔・消化管・腟のであり、ほとんどのカンジダ症は宿主側の防御破綻をきっかけとするである。
  • 二形性真菌で、環境温度(20度)では/、体温(37度)では/をとる。
  • 臨床像は表在性(口腔・食道・腟など)と(腎・肝・脳・心臓など主要臓器)に大別され、免疫不全・抗菌薬使用・糖尿病・ステロイド使用が共通の背景因子となる。
  • はの初発症状になりうる点、のがを起こしやすい点は特に押さえる。
  • 診断は・標本での/確認が中心。治療は軽症に、口腔・食道に、に//という段階的選択になる。

出典

  1. 1.Fungal Nomenclature: Managing Change is the Name of the Game(Open Forum Infectious Diseases・2023)真菌の二重命名法は2013年に廃止され分子系統解析による属再編が続いていること、Candida kruseiが命名優先権によりPichia kudriavzeviiとして正式記載されたこと、Candida glabrataが近縁種(C. bracarensis、C. nivariensis)とともにNakaseomyces属へ移されNakaseomyces glabrataとなったが正式な種記載は保留中であることを、本文Candida節の記述として確認した。閲覧 2026-08-26
  2. 2.Phylogenomic analysis of the Candida auris-Candida haemuli clade and related taxa in the Metschnikowiaceae, and proposal of thirteen new genera, fifty-five new combinations and nine new species(Persoonia・2024)Candida auris及びCandida auris-Candida haemuli(CAH)系統群に属する近縁種が、系統ゲノム学的解析により新属Candidozymaへ再分類されたことをアブストラクトで確認した(13新属・55新組み合わせ・9新種の提案の一部)。閲覧 2026-08-26
  3. 3.Beyond candidiasis: should infections caused by Candidozyma auris be renamed?(Journal of Clinical Microbiology (ASM)・2025)2024年にCandida aurisが新属Candidozymaへ再分類され学名の変更が提案されたが、この改称・呼称(candidiasisという疾患名を維持すべきか等)の是非が専門誌上で今も議論されており呼称は定着していないことを、本文(レター本文)で確認した。閲覧 2026-08-26
  4. 4.The WHO fungal priority pathogens list as a game-changer(Nature Reviews Microbiology・2023)WHOが2022年に公表した初の真菌優先病原体リスト(FPPL)でCandida albicans・Aspergillus fumigatus・Candida auris・Cryptococcus neoformansがcritical(緊急性が最も高い)群に分類されたことを本文で確認した。閲覧 2026-08-26