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Microbe Atlas · 真菌

Candida spp.

カンジダ属

分類
酵母 / YeastsCandida
科目
Medical Microbiology
トピック
4/11: Candida genus
原因となる疾患
心臓デバイス関連感染性心内膜炎

🧠 全体像:カンジダ属を読むときの軸は「が効くかどうか」で菌種を並べることに尽きる——200種以上が知られるが臨床的に重要なのは6菌種程度で、C. albicansが(通常は感性)、それ以外のnon-albicans種は「感受性がどこでどうずれるか」で位置づけられる1。すべての種に共通するのは、口腔・消化管・腟に常在する菌が宿主側の防御破綻(免疫不全・・カテーテル)に乗じて感染を起こすという構図であり、血液培養の感度が不十分なためにを待たずにを始めるという臨床上の判断が生まれる。

微生物学的な特徴

  • 二形性真菌(酵母):環境温度では・、体温ではを形成しへ転換する。。
  • 200種以上が同定されているが、ヒトに感染症を起こすのは約20種にとどまる1。
  • 世界的にはC. albicansが最多分離菌種だが、non-albicans種のが増している——特に多剤耐性・を起こすC. auris、耐性傾向を持つC. glabrata・C. kruseiが重要1。

⭐ 6菌種の見分け方はこの1枚に集約できる。 C. albicansを基準に、他の菌種は「陰性」かつ「感受性のどこがずれているか」で位置づけられる。詳細は各菌種のノートを参照。

菌種 感受性 特記事項
C. albicans 感性(通常) 最多分離菌種。陽性・形成
C. tropicalis 感性(通常、耐性増加傾向) 好中球減少患者の
C. glabrata 〜耐性 高齢者に多い。が優先される
C. krusei 無効。か
C. auris 多くの株で耐性(多剤耐性) ・同定困難・が要
C. kefyr 感性(通常) まれ。好中球減少患者での

病原性の仕組み

flowchart TD
    A["Candida属<br>口腔・消化管・腟の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='normal flora'>常在フローラ</span>として定着"] --> B{"宿主の防御は保たれているか"}
    B -->|"保たれている"| C["無症候の保菌"]
    B -->|"崩れている<br>(免疫不全・抗菌薬・カテーテル)"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='yeast form'>酵母形</span>から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyphal form'>菌糸形</span>への転換<br>組織侵入・カテーテル表面での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biofilm formation'>バイオフィルム形成</span>"]
    D --> E["表在性:口腔・食道・腟のカンジダ症"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep-seated'>深在性</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bloodstream infection'>血流感染</span>→播種<br>(心内膜炎・肝脾・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endophthalmitis'>眼内炎</span>)"]

💡 なぜ属全体を「常在菌の日和見感染」で読めるのか。 菌種によっての強弱(形成能・能・)は異なるが、感染が成立する条件——常在部位への定着+宿主側の防御破綻——は属を通じて共通している。菌種ごとの違いは「破綻したときにどの薬が効くか」に集約され、そこが唯一の実務的な分かれ目になる。

感染経路と疫学

  • が中心:口腔・消化管・腟のが宿主側の隙に乗じて感染する。ヒト-ヒト感染は基本的に問題にならない(C. aurisは例外的に医療環境でのが起こる)。
  • 高リスク因子:免疫不全()、による、糖尿病、ステロイド使用、、中心静脈カテーテル留置、好中球減少、入室。
  • 院内ではカテーテル関連のがの主要な入り口になる。

起こす疾患

病型 特徴
表在性カンジダ症(口腔・食道・腟) 免疫不全・ステロイド使用者・糖尿病患者に多い。はの初発症状となりうる
カンジダ症(播種性・→敗血症) (に多くを侵しやすい)
C. aurisに特有——皮膚定着・環境残存を介した患者間伝播

⚠️ は血液培養だけに頼れない。 の症例の30〜50%で血液培養が陰性となりうる1——臨床像・宿主リスク因子と統合して判断し、陰性でも否定しない姿勢が要る。

診断

検査 内容
・標本 ・・を確認
培養 、CHROMagar(菌種により発色が異なる)、形成用の
血清中37℃・2時間で形成——陽性はC. albicansに特徴的だが、陰性だけではnon-albicans種を絞り込めない
・ または。C. aurisは従来の生化学的パネルで誤同定されやすく確実な同定を要する

治療と予防

⭐ でが第一選択になる理由。 ・感受性の結果が出るまでの間、のC. kruseiやのC. glabrata、多剤耐性のC. aurisを取りこぼせない。非好中球減少患者ではを第一選択とする12——・・で広くカバーしたうえで、感受性確認後に安定していればへする。

病態 治療
軽症・局所(皮膚・粘膜) (など)
口腔・ 、または経口
・ 初期治療は、感受性確認後にへ。耐性例には
  • 中心静脈カテーテルを感染源と推定する非好中球減少患者では安全な範囲で早期、診断後1週間以内の下眼科診察、血液培養陰性化・症状改善後最低2週間の治療継続が推奨される3。
  • 予防:好中球減少患者・患者への予防投与、カテーテル管理の徹底。ワクチンは実用化されていない。

まとめ

  • カンジダ属はヒトので、200種以上のうちヒト感染症を起こすのは約20種、臨床的に重要なのは6菌種程度。
  • C. albicansが世界的に最多だが、C. glabrata()・C. krusei()・C. auris(多剤耐性)といったnon-albicans種の重要性が増している。
  • 感染は内因性が中心——が宿主側の防御破綻に乗じて起こる。
  • の30〜50%で血液培養が陰性になりうるため、培養陰性は否定材料にならない。
  • はnon-albicans種のを広くカバーできるが第一選択で、感受性確認後に狭域化する。

出典

  1. 1.Candidiasis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)Candida属は200種以上が同定されているがヒトに感染症を起こすのは約20種にとどまること("Candida albicans is the predominant species worldwide"としつつ非albicans種(C. glabrata、C. parapsilosis、C. tropicalis、C. krusei、C. auris等)の臨床的重要性が増していること)、播種性カンジダ症では血液培養が30〜50%の症例で陰性となりうること("Blood cultures may be negative in 30% to 50% of individuals with disseminated candidiasis")、非好中球減少患者ではエキノキャンディン系を第一選択とすべきこと("Echinocandins should be considered first-line therapy in nonneutropenic patients")を確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Global guideline for the diagnosis and management of candidiasis: an initiative of the ECMM in cooperation with ISHAM and ASM(European Confederation of Medical Mycology (ECMM) / ISHAM / ASM・2025)エキノキャンディン系が引き続き侵襲性カンジダ症の第一選択であること、週1回投与のレザフンギンと経口薬イブレキサフンガープが新しい治療選択肢に加わったこと、Candida aurisの薬剤耐性と院内伝播が重点課題であることを確認した。閲覧 2026-08-02
  3. 3.Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America(Infectious Diseases Society of America (IDSA)・2016)非好中球減少症患者のカンジダ血症で中心静脈カテーテルを感染源と推定する場合は安全な範囲で早期に抜去すること、診断後1週間以内に散瞳下眼科診察を行うこと(好中球減少症患者は回復後に実施)、血液培養陰性化・症状改善後最低2週間治療を継続することを推奨している。閲覧 2026-08-02