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Mallampati分類

Mallampati classification

別名
Mallampati scoreMallampati testmodified Mallampati classification改変Mallampati分類Samsoon-Young分類
臓器系
呼吸器耳鼻咽喉科
科目
SurgeryIntensive Therapy and AnesthesiologyObstetrics and Gynecology (Obstetrics)
トピック
外科学 G/04:術前管理麻酔科学 B-14:周術期管理とリスク評価産科学 20:分娩準備と産科麻酔

🧠 全体像:は、患者に口を大きく開けて舌を出してもらい、口の奥のどの構造まで見えるかで舌の大きさ(の)を見積もる、挿管前の気道診察である。奥が見えにくいほど、で喉頭を展開しにくいと予想する。を使わず数秒でできるため麻酔前診察で広く使われるが、単独では当たり外れが大きく、顎の動き・頸部の可動性・開口度など他の診察と組み合わせてを予測する。⚠️ の後に付けるCormack-Lehane分類とは別物(の違い)。

目的と適用場面

内容
目的 の前に、や挿管が難しくなる可能性を見積もる1
対象 を要する麻酔・救急の患者。意思疎通でき、開口して舌を出せることが前提
使う場面 麻酔科の術前診察、の直前。を疑う所見(、、低下)と併せて評価する
評価しないもの で実際に見える範囲(Cormack-Lehane分類)、の難しさ、の使いやすさ

1985年にMallampatiらが3段階の分類として発表し、1987年にSamsoonとYoungが4段階に改変した。現在広く使われるのは4段階のである2。

構成要素と分類

⭐ 点数を足す形式ではなく、見える構造の範囲で決める順序分類である。

手順

座位で、できるだけ大きく口を開け、舌を最大限に突出させて、口の奥を観察する。原法も改変法も、発声(「あー」)を含まない手順である2。

改変Mallampati分類の4段階

段階 見える構造 一般的な読み
I ・・・ 低リスク
II ・の大部分・ 低リスク
III のみ(は見えないか、基部がわずかに見える程度) 困難を疑う
IV のみ(が見えない) 困難を疑う

I・IIを低リスク、III・IVを困難とみなして使う2。IIIの記載は資料によって「のみ」と「との基部」に分かれるが、がほとんど見えないという点は共通である。

flowchart TD
    A["座位で最大開口、舌を最大限に突出"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uvula'>口蓋垂</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palatine arch'>口蓋弓</span>がともに見えるか"}
    B -->|"はい"| C["段階I"]
    B -->|"いいえ"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uvula'>口蓋垂</span>の大部分が見えるか"}
    D -->|"はい"| E["段階II"]
    D -->|"いいえ"| F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='soft palate'>軟口蓋</span>は見えるか"}
    F -->|"はい"| G["段階III"]
    F -->|"いいえ(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hard palate'>硬口蓋</span>のみ)"| H["段階IV"]

発声あり(「あー」と声を出す)で行う変法もあり、研究ごとに手順が異なる。結果を比べるときは、発声の有無と姿勢をそろえる。

解釈とカットオフ

結果 解釈
段階I・II のがあり、の予測としては陰性(ただし除外はできない)
段階III・IV の予測として陽性。他の診察を重ね、などの準備、救済計画、必要ならを検討する

成人を対象とした133研究のでは、の精度は次のとおりだった3。

対象とした困難 感度 特異度
難しい 0.51 0.87
難しい に記載なし 0.80
難しい 0.17 0.90

💡 特異度は高く、感度は低い。 段階III・IVならがやや疑わしい一方、段階I・IIでもを除外できない。見逃し(偽陰性)が多いことが、この診察の最大の弱点である。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 単独のとしては不十分。 検討されたどの気道診察も感度が低く、ベッドサイドの気道診察は良好なとは言えないとされている3。Mallampatiで段階I・IIでも、・顎や頸部の所見・既往の挿管記録を確認し、に備えた計画を持つ。Mallampatiを構成要素に含み、外観・開口と顎の距離・閉塞・を併せて評価する手順がLEMON法である。

⚠️ 発声の有無など手順で結果が変わる。 発声ありと発声なしを比べたでは、発声なしは感度が高く、発声ありは特異度・正確度・が高かった(成人258例の単施設研究)2。手順を統一せずに記録すると、再現性が落ちる。

⚠️ 妊娠で悪化する。 妊婦242例を妊娠12週と38週で比べると、38週ではグレード4の症例数が34%増加し、体重増加と相関した(咽頭の浮腫が示唆される)4。妊娠初期に段階が低くても、分娩時の挿管ではもう一度評価し直す。

⚠️ 意思疎通ができない患者には使えない。 意識障害、強い鎮静下、小児で指示に従えない場合は、本来の手順を実施できない。

まとめ

  • は、開口して舌を出したときに口の奥のどこまで見えるかで、の難しさを挿管前に予測する診察法で、現在は4段階の改変法が広く使われる。
  • 段階I:・・・が見える/II:の大部分まで/III:のみ(はほぼ見えない)/IV:のみ。III・IVをの予測として扱う。
  • 感度が低く(難しいで0.51)、特異度のほうが高いため、段階I・IIでもは除外できない。単独のスクリーニングには使わず、他の診察と組み合わせる。
  • 発声の有無など手順で結果が変わる。には悪化するので再評価する。
  • の後に付けるCormack-Lehane分類とはの違う別のツールである。

出典

  1. 1.A clinical sign to predict difficult tracheal intubation: a prospective study(Canadian Anaesthetists' Society Journal(Mallampati SR, Gatt SP, Gugino LD, et al.)・1985)抄録で確認した。舌根部の大きさが直達喉頭鏡での喉頭展開の難しさを決める要因であるとの考えから、術前に口蓋弓・軟口蓋・口蓋垂の基部をどこまで見られるかで段階づけする簡便な分類を考案し、210例で評価して、この3つの構造の見えにくさが喉頭展開困難の予測に有意に役立った(p<0.001)。全文は購読誌のため、原法の各段階の定義は未確認。閲覧 2026-10-27
  2. 2.Comparison of modified Mallampati test with and without phonation for prediction of difficult laryngoscopy and intubation among adult surgical patients: cross-sectional study(Annals of Medicine and Surgery(Yirga S, Samuel H, Markos Z, Yohannes W)・2025)PMC11918731の全文(Europe PMCのfullTextXML)で確認した。原法のMallampati分類は3段階で、Samsoon-Youngが4段階に改変し、どちらも発声を含まない手順であること、改変Mallampati分類はグレードIが軟口蓋・口蓋垂・口峡・口蓋弓が見える、IIが軟口蓋・口蓋垂の大部分・口峡が見える、IIIが軟口蓋のみ、IVが硬口蓋のみであること(授業ノートなど他の資料はIIIを「軟口蓋と口蓋垂の基部」と記し、本文ではこの差を注記した)、グレードI・IIを低リスク、III・IVを困難とみなすことを確認した。座位で最大限に開口し舌を突出させ、発声ありと発声なしを比べたエチオピアの単施設横断研究(成人待機手術258例、喉頭展開困難13.6%・挿管困難10.5%)で、発声なしは感度が高く、発声ありは特異度・正確度・陽性的中率が高かった。閲覧 2026-10-27
  3. 3.Airway physical examination tests for detection of difficult airway management in apparently normal adult patients(Cochrane Database of Systematic Reviews(Roth D, Pace NL, Lee A, et al.)・2018)抄録で確認した。明らかな気道の解剖学的異常のない成人を対象に133研究・844,206例を統合した。難しい気管挿管に対する改変Mallampati分類は感度0.51(95%CI 0.40〜0.61)・特異度0.87(0.82〜0.91)、難しい喉頭展開に対する特異度は0.80(0.74〜0.85)、難しいマスク換気に対する感度0.17(0.06〜0.39)・特異度0.90(0.81〜0.95)。検討したどの診察法も感度が相対的に低く特異度のほうが一貫して高いため、ベッドサイドの気道診察は良好なスクリーニング検査とは言えず慎重な解釈が必要で、上唇咬合試験が最も良好な診断精度を示したと結論した。全文は取得できず、抄録の範囲で使った。閲覧 2026-10-27
  4. 4.Increase in Mallampati score during pregnancy(British Journal of Anaesthesia(Pilkington S, Carli F, Dakin MJ, et al.)・1995)抄録で確認した。写真を用いた版のMallampati試験を妊婦242例に妊娠12週と38週で行い、38週ではグレード4の症例数が34%増加した(P<0.001)。Mallampati分類の悪化は体重増加と相関し(r=0.3)、咽頭の浮腫が産科での気管挿管の妨げになることを示唆するが、報告されている高い挿管失敗率を説明するほどではないと結論した。全文は購読誌のため未確認。閲覧 2026-10-27