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修正Ferriman-Gallweyスコア

Modified Ferriman-Gallwey score

別名
mFGスコア
臓器系
内分泌・代謝生殖・産婦人科
科目
Gynecology
トピック
婦人科 37:男性化と多毛症

🧠 全体像は、の重症度を「見た目」から数値化する視覚的評価法である。上口唇・顎・胸部・上腹部・下腹部・上背部・下背部・上腕・大腿というアンドロゲン依存9部位それぞれの量を0(なし)〜4(男性的な発毛)の5段階で採点し、合計0〜36点で表す。を測る指標ではなくによる段階評価である点が特徴で、判定には除毛歴の聴取という手順上の注意が要る。診断とみなす閾値には強い民族差があり、欧米の基準をそのまま日本人診療に当てはめるとを見落としうる——ここが本ノートで最も外してはいけない一点である。

目的と適用場面

内容
目的 の重症度を数値化し、診断・治療効果判定・研究の指標に用いる
対象 ・身体所見で(アンドロゲン依存部位に限局した男性型の増加)と判断された女性
使う場面 初診時の重症度評価、などによる治療開始後の効果判定(少なくとも6か月間隔で再評価)1での標準化された指標
評価しないもの 生化学的な血中アンドロゲン値、高アンドロゲン症の男性化所見、(アンドロゲン非依存の全身性体毛増加)

1961年にFerrimanとGallweyが英国人女性を対象に11部位で提唱した原法を、1981年にHatchらが9部位に簡略化した版が、現在「(mFGスコア)」として広く使われている。

構成要素と配点

9部位のいずれも、同じ0〜4点の基準量を視覚的に採点する2。0点はなし、4点は男性に典型的な発毛量にあたる。採点前に、患者が除毛をしていないかを必ず確認する——レーザー脱毛・電気脱毛は3か月以上、ワックス脱毛・除毛は4週間以上、は5日以上前から中止していなければ、実際より低く採点してしまう2

採点する9部位

領域 部位
上口唇、顎
体幹前面 胸部、上腹部、下腹部
体幹後面 上背部、下背部
四肢 上腕、大腿

9部位に共通する0〜4点の判定基準

点数 所見
0 なし
1 かろうじて視認できる程度のわずかな
2 1点より多いが、男性の発毛量には及ばない
3 体毛の少ない男性に匹敵する程度の
4 体毛の多い男性に匹敵する

合計は0〜36点で、点数が高いほどの広がり・量が大きいことを示す。

💡 総合点が同じでも、部位ごとの分布は一様とは限らない。上口唇・顎・下腹部の3部位は、9部位の中でもの判別力が最も高いとされ、この3部位に限局した中等度〜高度の発毛は、合計点がに届かなくても受診理由になりうる2

解釈とカットオフ

集団 判定
米英の白人・黒人女性 8点以上 1
モンゴロイド系アジア人 2〜3点以上 と判定する報告がある2

⚠️ は単一の絶対値ではなく、集団ごとの正常な体毛量の分布から決めた相対的な基準である。 東アジア人を含むアジア系集団は、欧米人と同程度のアンドロゲン値でも体毛量そのものが少ないため、欧米で使われる8点という閾値をそのまま当てはめるとを見落としうる1

💡 そのものも改訂され続けている。Endocrine Societyのガイドラインは集団の95値(米英の白人・黒人女性で8点以上)を採用する一方、2023年の国際PCOSガイドラインはを4〜6点へ引き下げた。民族差をより反映させる意図だが、感度・特異度のをめぐって批判も残る3

臨床では8〜16点を軽度、17〜24点を中等度、25点以上を高度とおおまかに層別することもあるが、この重症度区分は文献間で境界値にばらつきがあり、統一された基準ではない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 評価者間・評価者内変動が大きい。 視覚的な段階評価であるため、同じ患者でも判定者や判定日によって点数が動きうる2。経過を追う際は可能な限り同一評価者で評価する。

⚠️ 除毛歴を確認せずに採点しない。 直近のレーザー脱毛・電気脱毛・ワックス脱毛・は発毛量を実際より少なく見せ、点数を過小評価させる2

⚠️ 民族固有の正常分布を考慮せずに欧米の閾値をそのまま当てはめない。 東アジア人診療で欧米の8点という基準を機械的に使うと、感度が下がりを見落としうる1

⚠️ このスコアはのみで構成され、生化学的(テストステロン・)や男性化所見の評価を代替しない。の原因検索には高アンドロゲン症側の生化学的評価・画像検査を併用する。

⚠️ 合計点だけを見て判断しない。 上口唇・顎・下腹部に限局した発毛は、合計点が未満でも患者の受診理由・苦痛の指標になりうる2

まとめ

  • は、アンドロゲン依存9部位(上口唇・顎・胸部・上腹部・下腹部・上背部・下背部・上腕・大腿)の量を各0〜4点、合計0〜36点で視覚的に採点するの重症度評価法である。
  • 1961年のFerriman-Gallwey原法(11部位)を、1981年にHatchらが9部位へ簡略化した版が現行の形である。
  • 診断閾値には強い民族差があり、米英の白人・黒人女性では8点以上、モンゴロイド系アジア人ではより低い値が目安になる。2023年の国際PCOSガイドラインは4〜6点へを引き下げたが議論が残る。
  • 採点前に除毛歴(レーザー・電気脱毛・ワックス・の中止期間)を確認し、評価者間変動が大きいことを踏まえて経過は同一評価者で追う。
  • 上口唇・顎・下腹部は判別力が最も高い部位で、合計点が未満でもこの3部位への限局した発毛は受診理由になりうる。
  • 生化学的や男性化所見の評価は代替せず、高アンドロゲン症側の評価と併用する。

出典

  1. 1.Evaluation and Treatment of Hirsutism in Premenopausal Women: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline(Endocrine Society・2018)修正Ferriman-Gallweyスコアの診断閾値には民族差があり、米英の白人・黒人女性では8点以上を目安とする一方、東アジア人はより低い値を目安とすべきこと、治療効果判定には少なくとも6か月を要すること閲覧 2026-08-10
  2. 2.Visually scoring hirsutism(Human Reproduction Update・2010)修正Ferriman-Gallweyスコアの各部位は終毛量に応じ0(終毛なし)〜4(男性的な発毛)の5段階で視覚的に採点すること、採点前にレーザー・電気脱毛は3か月以上、ワックス脱毛・除毛は4週間以上、剃毛は5日以上中止させる必要があること、コーカサス系では6〜8点、モンゴロイド系アジア人では2〜3点が目安のカットオフとされること、評価者間・評価者内変動が大きいこと、上口唇・顎・下腹部が9部位の中でも多毛症の判別力が最も高い部位であること閲覧 2026-08-10
  3. 3.Approach to the Patient: Hirsutism(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2025)Endocrine Societyガイドラインは米英の白人・黒人女性における集団の95パーセンタイル値(8点以上)を診断閾値として用いる一方、2023年の国際PCOSガイドラインは修正Ferriman-Gallweyスコアのカットオフを4〜6点へ引き下げたがこれには批判もあること閲覧 2026-08-10