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T-ACE
T-ACE
- 臓器系
- 精神
- 科目
- Public Health
- トピック
- 公衆衛生 09:アルコールSBI(スクリーニングと短時間介入)(roleplay)
- 適用疾患
- 胎児性アルコール症候群
🧠 全体像:T-ACEは、CAGECAGE(CAGE questionnaire)質問票 questionnaire質問票(questionnaire) questionnaire(質問票)の4項目のうちGuiltyを、飲酒への耐性を問うTolerance項目に置き換え、妊婦の胎児に害を及ぼしうる飲酒を検出する目的で専用設計された4項目の質問票 questionnaire 質問票(questionnaire) questionnaire(質問票) である。Tolerance項目だけ2点、残り3項目は各1点という重み付き配点が特徴で、CAGEでは拾いにくい妊婦の飲酒問題を、より高い感度で拾い上げる。
目的と適用場面
| 内容 | |
|---|---|
| 目的 | 胎児に害を及ぼしうる量の飲酒を、妊婦を対象に短時間で拾い上げる |
| 対象 | 妊婦(初回妊婦健診時の問診 medical interview (history-taking) 問診(medical interview (history-taking)) medical interview (history-taking)(問診) が典型的な使用場面) |
| 使う場面 | 全妊婦を対象とした非懲罰的な一律スクリーニングの一部として、飲酒歴の問診 medical interview (history-taking) 問診(medical interview (history-taking)) medical interview (history-taking)(問診) に組み込む。陽性なら量的な飲酒歴の聴取と、アルコール使用障害alcohol use disorder, AUDアルコール使用障害(alcohol use disorder, AUD)alcohol use disorder, AUD(アルコール使用障害)の評価・胎児性アルコール症候群fetal alcohol syndrome, FAS胎児性アルコール症候群(fetal alcohol syndrome, FAS)fetal alcohol syndrome, FAS(胎児性アルコール症候群)のリスクを念頭に置いた妊娠管理へ進む |
| 評価しないもの | 診断基準diagnostic criteria 診断基準(diagnostic criteria)diagnostic criteria(診断基準) そのもの、現在の児への影響の有無、胎児性アルコール症候群fetal alcohol syndrome, FAS胎児性アルコール症候群(fetal alcohol syndrome, FAS)fetal alcohol syndrome, FAS(胎児性アルコール症候群)の確定診断 |
CAGEは生涯歴を問う設計のため妊婦のリスク飲酒を捉えにくく、Sokol・Martier・Agerは1989年、CAGEのGuilty項目を、酔うために必要な酒量が増えていないか(飲酒への耐性の変化)を問うTolerance項目に置き換えたT-ACET-ACE(T-ACE questionnaire)を考案した1。米国ミシガン州の産科施設で、初回妊婦健診を受けた971人の妊婦を対象に開発された1。
構成要素と配点
4項目、Toleranceのみ2点・他3項目は各1点で合計0〜5点。
| 項目 | 質問の要旨 | 配点 |
|---|---|---|
| Tolerance | 「酔いを感じるには何杯必要か」に対し、2杯以上と答えた場合 | 2点 |
| Annoyed | 他人から飲酒を批判されて苛立ったことがあるか | 1点(「はい」で) |
| Cut down | 飲酒量を減らす必要を感じたことがあるか | 1点(「はい」で) |
| Eye-opener | 神経を落ち着かせる、または二日酔い hangover 二日酔い(hangover) hangover(二日酔い) を解消するために朝の飲酒(迎え酒eye-opener迎え酒(eye-opener)eye-opener(迎え酒))が必要だと感じたことがあるか | 1点(「はい」で) |
配点はSokol・Martier・Ager(1989年)の原著による1。
💡 CAGEとの違いはGuilty項目をTolerance項目に置き換えた点だけだが、この1項目の入れ替えが妊婦での感度を大きく引き上げる。妊娠中は代謝の変化で通常より酔いやすくなる女性が多いため、「以前より多く飲まないと酔えない」という耐性の上昇は、それ自体が問題飲酒を強く示唆するというのが設計上の考え方である。Toleranceだけが2点と重み付けされているのはこのためである。
解釈とカットオフ
| 点数帯 | 目安となる対応 |
|---|---|
| 0〜1点 | 拾い上げなし |
| 2点以上 | 陽性。胎児に害を及ぼしうるリスク飲酒の可能性を疑い、量的な飲酒歴の聴取と非懲罰的なカウンセリング counseling カウンセリング(counseling) counseling(カウンセリング) へ進む |
原著のカットオフ cut-off カットオフ(cut-off) cut-off(カットオフ) 2点以上で、感度69%・陽性的中率positive predictive value 陽性的中率(positive predictive value)positive predictive value(陽性的中率) 23%と報告されている1。系統的レビュー(Burnsら、2010年、Addiction)では、他の研究も含めた感度69〜88%・特異度71〜89%という範囲が示されている2。
⭐ CAGEと比較したBurnsらの系統的レビューでは、CAGE・SMASTは妊婦のスクリーニング Testing of the pregnant mother 妊婦のスクリーニング(Testing of the pregnant mother) Testing of the pregnant mother(妊婦のスクリーニング) として性能が劣ると結論 conclusion 結論(conclusion) conclusion(結論) されており、T-ACE・TWEAK・AUDIT-CAUDIT-C(Alcohol Use Disorders Identification Test-Consumption)が妊婦向けとして有望なツールとされている2。
限界と使ってはいけない場面
⚠️ 陽性的中率positive predictive value 陽性的中率(positive predictive value)positive predictive value(陽性的中率) が低い。 原著の陽性的中率 positive predictive value 陽性的中率(positive predictive value) positive predictive value(陽性的中率) は23%にとどまり、陽性でも実際にリスク飲酒がある妊婦は一部にすぎない1。陽性はあくまで「量的な飲酒歴を詳しく聴取すべき」という合図であり、それ自体で診断や治療方針 treatment strategy 治療方針(treatment strategy) treatment strategy(治療方針) を決めない。
⚠️ 自己申告に依存し、社会的望ましさバイアスsocial desirability bias 社会的望ましさバイアス(social desirability bias)social desirability bias(社会的望ましさバイアス) を受ける。 妊娠中の飲酒は特に申告をためらわれやすく、実際より少なく申告される傾向がある。
⚠️ 量そのものは測れない。 陽性であっても具体的な飲酒量・頻度・時期は分からないため、陽性の場合は量的な飲酒歴を別途聴取する必要がある。
⚠️ 妊婦以外の集団や、生涯にわたる依存傾向の評価には設計されていない。 妊婦以外の一般成人の依存傾向を評価する場面ではCAGEやAUDITを使う。
まとめ
- T-ACEは、CAGEのGuilty項目をTolerance項目に置き換え、妊婦のリスク飲酒を検出する目的で専用設計された4項目の質問票 questionnaire 質問票(questionnaire) questionnaire(質問票) である。
- Tolerance(2点)・Annoyed・Cut down・Eye-opener(各1点)の合計0〜5点で、2点以上を陽性とする。
- 原著のカットオフ cut-off カットオフ(cut-off) cut-off(カットオフ) 2点以上で感度69%・陽性的中率positive predictive value 陽性的中率(positive predictive value)positive predictive value(陽性的中率) 23%、系統的レビューでは感度69〜88%・特異度71〜89%という範囲が報告されている。
- Burnsらの系統的レビューでは、CAGEが妊婦のスクリーニング Testing of the pregnant mother 妊婦のスクリーニング(Testing of the pregnant mother) Testing of the pregnant mother(妊婦のスクリーニング) として性能が劣るのに対し、T-ACE・TWEAK・AUDIT-Cが妊婦向けとして有望とされている。
- 陽性的中率positive predictive value 陽性的中率(positive predictive value)positive predictive value(陽性的中率) が低く診断ツールではないため、陽性はあくまで量的な飲酒歴聴取・非懲罰的カウンセリング counseling カウンセリング(counseling) counseling(カウンセリング) へ進む合図として扱う。
出典
- 1.The T-ACE questions: practical prenatal detection of risk-drinking(American Journal of Obstetrics and Gynecology・1989)原著(Sokol・Martier・Ager, 1989)が、初回妊婦健診を受けた971人の妊婦を対象に開発されたこと、配点(Toleranceは2点、Annoyed・Cut down・Eye-openerは各1点)とカットオフ2点以上、感度69%・陽性的中率23%であること、CAGEの4項目にTolerance(耐性)を加えて妊婦向けに改変した設計であることを確認した閲覧 2026-08-10
- 2.Brief screening questionnaires to identify problem drinking during pregnancy: a systematic review(Addiction・2010)妊婦の問題飲酒スクリーニングを対象とした系統的レビューが、T-ACEの感度69〜88%・特異度71〜89%と報告する一方、CAGE・SMASTは妊婦のスクリーニングとして性能が劣ると結論していること、AUDIT-C(感度95%・特異度85%)がT-ACE・TWEAKと並んで有望とされていることを確認した閲覧 2026-08-10